第2章 > 第4節 > 1 人権
【国連人権委員会】
3月から4月にかけてジュネーブにおいて開催された第57回国連人権委員会は、各国の人権状況等を含む様々な人権問題につき審議を行い、100本を上回る決議・決定等が採択された。同委員会は、例年にも増して西欧諸国と開発途上国との間での対決色が濃いものとなったが、日本は、人権は国際社会の普遍的価値であるとの立場に立って、引き続きアジア諸国やアフリカ諸国と他の地域諸国との間で橋渡しの役割を果たし、委員会の審議に建設的な貢献を行った。また、これまでと同様に、カンボジアの人権状況に関する決議の主提案国となり、カンボジアの人権状況の改善に向けた決議案の作成に積極的な役割を果たした。なお、同委員会において、丸谷外務大臣政務官より、人権問題に関する日本の取組等についての演説を行った。
また、国連による人権分野での技術協力等の活動は、各国の人権状況の改善努力に大きな役割を果たすものであり、日本は、国連人権高等弁務官事務所(UNHCHR)等の活動を支援してきており、UNHCHRの運営する諮問サービス基金を始めとする各種基金に対し、約80万ドルを拠出した。
第57回国連人権委員会で演説後にラムチャラン国連人権副高等弁務官と挨拶を交わす丸谷外務大臣政務官(3月)

【人種主義に反対する世界会議】
8月31日から9月8日にかけて、南アフリカ共和国ダーバンにおいて、人種主義、人種差別、外国人排斥及びそれに関連する不寛容に反対する世界会議が開催された。会議は中東問題や奴隷制に対する謝罪と補償問題等をめぐって激しく紛糾したが、最終日に宣言及び行動計画がコンセンサスで採択された。日本からは、丸谷外務大臣政務官を団長とする政府代表団及び約100名の非政府組織(NGO)関係者等が出席した。
【人権条約に基づく政府報告書審査】
日本が締結している各種人権条約は、それぞれの条約等に基づき設置されている委員会に対し締約国政府による定期報告を義務づけている。3月には、人種差別撤廃委員会による人種差別撤廃条約第1回・第2回定期報告(1999年6月に提出)の審査が、また、8月には、経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会による経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)第2回報告(1998年8月に提出)の審査がそれぞれ行われ、各委員会より、審査を踏まえた最終見解が示された。
【人権対話】
人権の擁護・促進を図っていくためには、国連などのフォーラムを通じた取組のほかに、二国間での対話を通じて相互理解を図ることが重要であることから、日本は、要人往来の機会における二国間会談等の機会を利用し、諸外国との間で人権に関する意見交換を行っている。