(7) 10カ国蔵相会議コミュニケ(仮訳)
(86年9月27日,ワシントン)
1. 一般借入取極(GAB)に参加している国々の大蔵大臣及び中央銀行総裁は、O.ルーディング蘭蔵相を議長に1986年9月27日にワシントンで会合を持った。本会合にほ,J.ド・ラロジエールIMF専務理事が参加し,J.G.リトラーOECD第3作業部会議長・J.C.ペイユOECD事務総長・A.ラムファルシーBIS総支配人,A.マテユートEC委員会メンバーも出席した。
2. 大臣及び総裁は,その後行われる暫定委員会及び開発委員会の会合での討議事項について,意見の交換を行った。
3. 大臣及び総裁は・世界経済情勢について・多くの先進国における高い失業率にかかわらず,インフレが更に引き続き低下していく中で内需の拡大によって刺激された最近における多くの先進国の経済成長の強化の兆候に勇気づけられた。しかしながら・主要国の国際収支不均衡は依然として非常に大幅なものとなっている。大臣及び総裁は,国際収支パターンの均衡を中期的に回復することに高度の優先順位が与えられるべきであることについて合意した。為替レートについて生じた調整は,これらの不均衡の修正を促進するであろうが,大臣及び総裁は,赤字国及び黒字国の双方において,これを支持する適切な政策の重要性を強調した,大臣及び総裁は,保護主義圧力に対する抵抗の重要性を強調し・プンタ・デル・エステにおける合意を歓迎した。
4. 大臣及び総裁は・最近の一次産品価格の一層の低下が,多くの途上国の対外ポジションを悪化させてきた点に留意した。しかしながら,彼らの困難は,金利の低下及び先進国において現在進行中の経済活動の回復によって改善されるはずである。大臣及び総裁は,借入国,IMF及び世銀,債権国,民間銀行による協調的努力が,借入国によって持続的成長及び金融上の安定が達成されることを確実にするために必要であることを強調した。その関連で,大臣及び総裁は,IMFと共に取り組むとの幾つかの国のイニシアティブを歓迎した。これらの場合において,世銀も構造改革を支持するための追加的資金を供与することにより,その役割を拡大しており,債権国政府は,パリ・クラブを通じて協力を行ってきた。これらのイニシアティブの成功は,依然として,十分な額の民間銀行貸付けの再開に依存しているとともに,金融困難の永続的解決のための債務国による健全なマクロ経済政策及び成長指向の構造改革を支持する適切な貸付条件に依存している。この関連で,大臣及び総裁は,近年はとんどの国際銀行の資本が十分に増加してきたことを歓迎した。
また,大臣及び総裁は,債務負担の重い国に対する債権が,その期間を通じて,資本に比してかなり減少してきたことに留意した。
5. 大臣及び総裁は,IMFの貸付政策に関し,増枠融資制度は一時的であり,徐々に縮小されるべきであることを強調した。しかし,大臣及び総裁は,増枠融資制度は・更に1年継続されるべきであること・及び・多くのIMF加盟国の継続的な対外困難にかんがみ,アクセス・リミットは,1987年においては変更すべきでないことに合意した。大臣及び総裁は,世銀が,多くの債務国との政策調整融資のプログラムの交渉及び債務戦略の必要に応じた融資の構成において進捗を示したことに満足の意を示した。大臣及び総裁は,世銀グループ及び他の国際機関の資金が,債務戦略上これらの機関に要請された役割に応じうるようにする旨のコミットメントを再表明した。
6. 大臣及び総裁は,多角的サーベイランスの強化に係る1985年6月のG-10報告書の勧告の実施について進捗がみられたこと,しかし,特に指標のより体系的な利用を通じ,一層の作業が必要であることに留意した。大臣及び総裁は,中期的枠組みにおいて,主要国間の政策の一貫性が欠如している状況を確認するのに資するために一連の数量的指標を開発する努力をIMFが続けるととを奨励した。大臣及び総裁ほ,主要な焦点は,経常収支ポジションの持続可能性及び国内政策がいかにしてその目標に貢献しうるか,という点に当てられるべきであることに合意した。大臣及び総裁は,世界経済の状況に関する定期的な討議を通じ,多角的サーベイランスの過程に貢献する意図を再確認した。
7. 英国,ローソン大蔵大臣が明年の10カ国蔵相会議議長に選出された。
8. 大臣及び総裁は,ド・ラロジエールIMF専務理事の辞任の意向表明に関し,G-10の作業及び国際通貨面でのあらゆる面に対する多くの顕著な貢献に対し,賛辞を表明した。大臣及び総裁は,ド・ラロジエール氏が最も困難な時代において発揮した啓発的かつ創造的リーダーシップに対して深い謝意を表明した。