(6) 7カ国蔵相会議声明(仮訳)

(86年9月27日,ワシントン)

1. 主要先進7カ国の大蔵大臣は本日会合し,その元首及び首相による1986年5月6日の東京経済宣言に従った多角的監視の第1回目の作業を行った。この会合には,IMFの専務理事も参加した。

2. 大臣達は,一連の経済指標を使用して,その相互の斉合性の審査及び矯正措置の必要性の検討を特に考慮しつつ,共同して,最近の経済の動向並びにその経済目標及び経済見通しを吟味した。

3. 大臣達は,彼らの国において着実な,インフレなき成長の促進について進捗がみられたことに留意した。

4. 大臣達の間には,彼らの国の経済見通しについて幅広い合意が見られる。例えば,1987年に更なる成長が達成される見込みは一般的に言って有望であり,国によっては失業の水準は依然として高いであろうが,より多くの就業がみられるであろう。インフレは低い水準にとどまりそうである。金利は低下しており,債務発展途上国には格別の好影響がもたらされている。

5. しかしながら,大臣達は,現在の規模の経常収支不均衡は,持続しえないことに留意した。昨年来の為替相場の変更は,これらの不均衡の矯正に重要な貢献をしつつあり,その完全な効果は,今後において益々現れることになろう。

6. 大臣達は,開かれた,成長している世界経済の状況下で,この不均衡を削減するためには,協調的な努力が強化される必要があることで合意した。この関係で,彼らは,黒字国の経済成長は改善しつつあること,しかし,その成長は維持される必要があり,場合によっては,それが増大する必要があろうことに留意した。大幅な赤字国は,その対外赤字を大幅に減少させる政策を採る必要があり,彼らは対外部門に資源をまわすために,何よりもその財政赤字の削減を更に進めることをコミットした。これらの行為は為替レートの安定に寄与するはずであるし,今後の為替レートのかなりの調整なしに不均衡を十分に是正するためにあらゆる努力が必要である。

7. このような状況の下で,大臣達は,全ての国における今後の政策は次の諸目標に留意して策定されるべきであることにつき合意した。

―ビジネスの信頼及びより低い金利のための条件の維持に資するため,インフレなき成長を支持し国際的調整に寄与するために健全な金融政策を維持すること。

―彼らの経済の長期的な潜在的生産力を高めるため,引き続き構造的な硬直性の除去を進めること。

―保護主義圧力に抵抗するため,引き続き努力すること。

8. 大臣達は,主要先進国は,国際的債務問題の解決に格別重要な,開かれた,かつ成長を続ける世界経済の促進に特別の責任を有していることに合意した。

9. 東京経済宣言の完全な実施についての彼らの責任を果たし,上記の目的を達成するため,彼らは今後も密接かつ継続して経済政策の協調にあたることに合意した。

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