4. 日本国政府が関与した主要な共同コミュニケ等

(1) 10カ国蔵相会議コミュニケ(仮訳)

(86年4月8日,ワシントン)

1. 一般借入取極(GAB)に参加している10カ国の大蔵大臣及び中央銀行総裁は,O.ルーディング蘭蔵相を議長に1986年4月8日にワシントンで会合をもった。本会合には,J.ド・ラロジェールIMF専務理事が参加し・J.G.リトラーOECD第3作業部会議長,J.C.ペイユOECD事務総長,A・ラムファルシーBIS総支配人,M.ルッソーEC委員会経済金融総局長も出席した。

2. 大臣及び総裁は,その後行われる暫定委員会及び開発委員会の会合での討議事項について,意見の交換を行った。

3. 大臣及び総裁は,開発途上国の経済状況及び国際的債務問題に対処するための戦略について検討を行った。大臣及び総裁は,国際的債務戦略を強化するためのベーカー・イニシアチブに対し満場一致の支持を表明し,この戦略を実施するに当たって達成されつつある前進を歓迎した。大臣及び総裁は,インフレなき世界的経済成長及び世界貿易の拡大のための条件を強化することの重要性を認めた。したがって,大臣及び総裁は,健全な経済政策の追求を継続し,及び保護主義的措置に対抗することの必要性について合意した。大臣及び総裁は,債務国,民間銀行及び国際機関に対し,持続的成長及び持続可能な国際収支ポジションを達成するのに必要な包括的なマクロ経済及び構造調整政策を実施に移すための協調的努力を適切な関連の融資とともに継続し,適切な場合には強化するよう促した。大臣及び総裁の側としては,国際金融機関にとって十分な資金が利用可能であることを確保し,IMFに支援された調整計画を実行している国々に,パリ・クラブを通じて債務繰延べを認め,適切な調整政策を実施している国々に対する輸出信用カバーの再開に関して協力することを進んで行う用意がある旨再確認した。大臣及び総裁はまた,継続的な国際収支問題を抱えた低所得国のための構造調整ファシリティーを設立したIMFの行動及びこのイニシアチブを支援しようとする世銀の行動を歓迎した。

4. 大臣及び総裁は,10カ国蔵相会議及び24カ国蔵相会議によって作成された国際通貨制度の機能に関する報告書に含まれている結論及び政策提案について検討を行った。大臣及び総裁は,10カ国蔵相会議報告書の分析の基本的考え方が引き続き有効であり,為替相場及びサーベイランスに関する同報告書の勧告を実施するため,一層の前進が必要であると考える。大臣及び総裁は,また,これらの問題及び国際流動性に関する問題の討議を,IMFの枠組み内に維持することの必要性を強調した。大臣及び総裁は,経済パフォーマンス及び経済政策の国際的斉合性を改善するに当たってのサーベイランスの枢要な役割を強調し,その多魚的側面を改善することの必要性を強調しつつ,サーベイランスを強化することの必要性を再確認した。この関連で,大臣及び総裁は,10カ国蔵相会議諸国が,適切な手続の下,多角的サーベイランスの手続に貢献を行う用意があることを再確認した。大臣及び総裁は,政策の斉合性の指標の中で,為替相場が果たしうる重要な役割を認め,調和及び政策の斉合性を国内的及び国際的に評価するための指標の利用を検討することが有用であるかもしれないと合意した。この関係で,大臣及び総裁は,IMFが,各種の可能な指標及びサーベイランス過程において考えられうるその利用についての検討文書を作成することを勧告した。

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