(18)南アジア地域協力連合(SAARC)憲章(要旨)
(85年12月8日,ダッカ)
1.国連憲章及び非同盟の諸原則に即し,南アジア地域の平和,安全,友好及び発展を促進することを望み,
2.歴史と文化のきずなで結ばれた南アジア諸国において,相互理解,良好な隣国関係及び有意義な協力を育成することにより,平和,自由,社会的正義及び経済的繁栄を達成することを願い,
3.南アジアにおける共同の活動及び協力の必要性を認識し,
4.地域協力が南アジア諸国国民の福祉及び生活の向上にとり有益かつ必要であると信じ,
5.経済的,社会的及び技術的協力が各国及び地域全体としての自立に貢献するものと信じ,
6.協力,交流等の増大は南アジア地域の人々の友好及び理解の促進に貢献するものと信じ,
7.1983年8月のデリー宣言及びその後の進展を想起し,
8.組織的フレームワークにおいて南アジア諸国の協力を促進するとの決意を再確認し,SAARCの設立をここに合意した。
(第1条:目的)
(a)南アジアの人々の福祉向上及び生活の質の改善
(b)経済成長,社会発展及び文化発達の加速ならびに人々に尊厳と可能性への自覚を与えること。
(c)メンバー国の集団的自立の促進強化
(d)相互信頼,理解及び他のメンバー国の諸問題への認識に資すること。
(e)経済,社会,文化,技術及び科学の分野における積極的協働と相互支持の促進
(f)他の開発途上諸国との協力の強化
(g)国際的フォーラムにおける共通の関心事項についてのメンバー国相互の協力の強化
(h)同様の目的を持つ国際地域機関との協力
(第2条:原則)
1.SAARCでの協力は,主権平等,領土保全,政治的独立,内政不干渉及び互恵の諸原則への尊重に基づく。
2.SAARCでの協力は,バイあるいはマルチの協力の代替ではなく,それらを補足するものである。
3.SAARCでの協力は,バイあるいはマルチの義務と相反するものであってはならない。
(第3条:首脳会議)
メンバー国の首脳は年1回,またはメンバー国が必要と認める場合には,それ以上の頻度で会合を持つ。
(第4条:閣僚理事会)
1.メンバー国の外相で構成される閣僚理事会は次の機能を有する。
(a)SAARCの政策の策定
(b)SAARCの協力の進展のレヴュー
(c)協力の新分野の決定
(d)必要に応じた新規機構の設立
(e)他の一般的関心事項の決定
2.閣僚理事会は,年2回開催する。メンバー国の合意により特別会合を開催できる。
(第5条:常設委)
1.外務次官で構成される常設委は次の機能を有する。
(a)協力プログラムのモニタリング及び調整
(b)プロジェクト及びプログラムならびに右の予算措置についての承認
(c)セクター間のプライオリティーの決定
(d)域内及び域外資金の調達
(e)適切な検討に基づく新協力分野の開拓
2.常設委は必要に応じ開催する。
3.常設委は閣僚理事会に定期的報告を行う。
(第6条:技術委)
1.メンバー国代表で構成される技術委は,各担当分野のプログラムの実施,調整及びモニタリングに責務を有する。
2.技術委の権限は次の通り。
(a)地域協力の可能性と概要の決定
(b)プログラムの形成及びプロジェクトの準備
(c)各担当分野のプログラムの財政的負担の決定
(d)経費配分に関する勧告の作成
(e)各担当分野のプログラムの実施及び調整
(f)プログラムのモニタリング
3.技術委は常設委に定期的報告書を提出する。
4.技術委の議長は,2年毎にアルファベット順にメンバー国で持ち回りとする。
5.技術委は,必要に応じ,次の機構及び態様を活用できる。
(a)各国内技術機関の長の会合
(b)専門家会合
(c)地域内研究所との接触
(第7条:行動委)
常設委は,複数のメンバー国が関係するプロジェクトの実施に関連して,行動委を設立することができる。
(第8条:事務局)
SAARCに事務局を置く(THERESHALLBEASECRETARIATOFSAARC)。
(第9条:財政的アレンジメント)
1.メンバー国からの拠出は,自発的なものとする。
2.各技術委は,プログラムの提案に当っては関連経費に関する勧告を付すこととする。
3.域内で十分な資金調達ができない場合は,常設委の承認を得て域外から調達することができる。
(第10条:一般条項)
1.全レベルの決定は全会一致により行う。
2.パイ及び論争となる事項は審議から除外する。
(結句及び署名)