(17)第1回南アジア地域協力首脳会議宣言(要旨)
(85年12月8日,ダッカ)
1.SARC7カ国による第1回首脳会議の開催。
2.今回首脳会議の歴史的意義の確認及び南アジア地域内の協力により共通の諸問題を解決していくとの決意の表明。
3.定期的な首脳レベル会合は,相互信頼,協力等の推進の中核である。
4.メンバー各国の国民の生活向上のための経済社会開発の加速を基本的目標とし,平和及び安全が右目標実現の基本的前提条件である。
5.国連憲章及び諸原則を遵守することの再確認。国連は,国際の平和及び安全にとって最も重要なフォーラムである。
6.非同盟運動は,国際関係において重要な勢力である。
7.南アジア諸国は,過去の搾取等により貧困等の困難に直面しているが,社会的,民族的,文化的及び歴史的に見て共通の価値を共有しており,地域協力はこれらの困難解決のための方策となる。有効な地域協力により開発を加速し,各国及び地域の自立を高めることができよう。
南アジア諸国は,過去において人類の文化に大きく貢献したが,今後は協同して国際社会における役割を果していくこととなろう。
8.地域協力を強化するため,国民レベルの交流を拡大する。
9.これまでSARCで行われてきた9分野での統合行動計画を歓迎し,今後は適切なフレームワークによりかかる協力を拡大強化していくことを希望する。
10.悪化する国際政治情勢を懸念し,また,軍備競争,とりわけ核のエスカレーションを警戒する。核兵器保有国に対し,包括的核実験停止条約の交渉を要請する。この関連で,最近のジュネーヴでのレーガン・ゴルバチョフ会談を歓迎し,右会談が国際の平和及び安全に好影響を及ぼすことを希望する。
11.引き続く世界経済の危機的状況は,南アジア等の開発途上国に深刻な悪影響を及ぼしている。開発途上国のニーズに対する国際援助機関の対応能力が低下し,またマルチの場での(開発)協力精神が弱化していることを憂慮する。南北間相互依存及び北側諸国の経済回復が南の経済成長と密接に関連していることに照らせば,上記状況は憂うべきことである。
過去10年の進展をみるに,現状の国際経済システムは,不均衡,不平等であり開発問題を対処するに不適切でもある。
12.国際社会が,国際開発戦略及び新実質行動計画に関する確固たる努力を行うことを要請し,南北対話の再開及び開発のための通貨金融国際会議の開催を求める。
13.今回の首脳会議で発足したSAARCは,南アジア地域の協力の堅固な土台となり,社会経済開発を加速するであろうことを希求する。
14.ホスト国バングラデシュヘの謝意表明。