(15)国連行財政機能効率化のための「賢人会議」(ハイレベル政府専門家会議)に関する安倍外務大臣談話
(85年12月19日)
1.我が国,ノールウェー等12カ国を共同提案国とする国連行財政機能効率化のための「賢人会議」(ハイレベル政府専門家会議)の設置に関する改訂決議案は,12月18日(日本時間19日),第40回国連総会本会議において,無投票(コンセンサス)で採択された。
2.本件に関しては,去る9月,本大臣が国連総会一般討論演説において具体的提案を行い,また,10月には中曽根総理が国連40周年記念演説において,各国に対し同提案への支持を要請した経緯がある。爾来,我が国は,多数の関係国とその内容につき非公式協議を重ねて来たが,今般採択された改訂決議案は,加盟国の最大多数の支持を得んとの観点から,我が国の当初案に各国の意見を取り入れた内容のものとなっている。
3.同決議が成立したことは,国連の行財政機能の効率化を進めることにより国連システム全体に対する諸国民の信頼の回復を図ろうとする我が国の熱意が各国により支持されたことの表われであり,また,国連の将来について我が国と志を同じくする国が数多く存在することに我が国として大いに勇気付けられた次第である。
4.我が国としては,同決議にそって,ハイレベル政府専門家会議が早期に設立され,国連行財政機能効率化の努力が更に推進されることを切に希望するものである。
他方,我が国としてもハイレベル政府専門家会議の運営には積極的に協力する考えであり,近く我が国より適切な人材を推薦し,もって国連の強化のために尽力して行く所存である。
国連賢人会議決議(骨子)
(共同提案国:オーストラリア,オーストリア,バングラデシュ,バルバドス,カナダ,フィンランド,ジャマイカ,日本,ニュー・ジーランド,ノールウェー,サモア,スウェーデン)
-国連の行財政機能の効率性の検討-
総会は,
1.国連の効率性を全般的に高めることは国連憲章の目的と原則を達成せしめる能力を強めるとの確信を表明する。
2.1年を期限として,ハイレベル政府専門家会議を設置し,国連憲章の原則と規定に遵いつつ次の任務を行わせることを決定する。
(a)国連が政治・経済・社会問題により効果的に対処することに貢献しうるような行財政機能の効率化を図るため国連の行政・財政事項の抜本的検討を行う。
(b)第41総会の開会以前に所見及び勧告を含む報告書を総会に提出する。
3.総会議長は各地域グループと協議の上地理的配分に考慮を払ってハイレベル政府専門家会議の委員を可及的速やかに任命する。
4.同会議の委員は18名とし,事務総長は同会議のビューロー(注)を選出すべく可及的速やかに第1回会合を開催する。
5.事務総長は必要な職員と役務を提供する。
6.事務総長はその見解の提出,必要な情報の提供を行い,同会議に十分な援助を与える。
7.総会の関連補助機関はその関係事項につき情報及び見解を提出する。
8.第41総会の仮議題に「国連の行財政機能の効率性の検討:ハイレベル政府専門家会議報告書」を含める。
9.(注:会議のビューローとは,議長,副議長等,会議の運営に直接当る委員を指す)