(14)85年レーガン米国大統領の一般教書(要点)
(85年2月6日,ワシントン)
1.主題
(1)国民の団結により,米国民は,より強力で自由,安全な国家をもたらした。
具体的には,過去34年間のうちで最も力強い成長,3年連続のインフレ低下,過去2年間における730万名以上の雇用実現等である。
(2)今までに成し遂げた成果に満足するだけではなく,まだ実現されていないことを成就すべきであり,将来の障害に対する挑戦,すなわち「第2のアメリカ革命」を呼びかける。「第2のアメリカ革命」の具体的目標は次のとおり。
(イ)税制簡素化。
(ロ)マイノリティーのための経済活力。
(ハ)成長と支出抑制による赤字削減。
(ニ)予算システムの改革。
(ホ)市場の規制徹廃。
(ヘ)有人宇宙基地の展開。
(ト)基本的価値観の継続。
(3)米国は自由世界の指導者として,民主主義と自由のチャンピオンとしての役割を回復。
2.「第2のアメリカ革命」の推進。
(1)公平,成長のための税制簡素化。
税制簡素化のための財務省案での原則を盛込んだ超党派的立法を議会とともに作業することを指示。
(2)マイノリティーのための経済活力をうるためのイニシアティヴとして,エンタープライズゾーン,青年雇用等の政策を推進。
(3)一層の成長と支出の抑制を通じた赤字削減。
(イ)赤字削減のための最良の方法は,経済成長を通じた赤字削減。
(ロ)政府支出削減のための最良の方法は,繁栄をはかることによって支出の必要性を減じること。
(ハ)政府支出の伸びよりも迅速な経済成長をはかる。
(ニ)86年度予算計画の支出を85年度レベルに凍結。ただし,社会保障の聖域,国防力の回復を目指し,費用のかさむ政府補助金の中止をはかる。
(ホ)予算均衡のための憲法修正,予算項目に対する大統領拒否権の実現をはかる。
(4)経済の強化と安定。
(イ)長期にわたる経済の強化と安定のためには,健全な金融政策がカギとなる。
(ロ)金利を人為的に高くすることなく,また,不必要に成長を低下させることなく,物価の安定化をはかるための堅実な政策を目指し,連邦準備制度との協調を継続。
(ハ)経済規制の緩和を推進。
(5)知識,宇宙の領域拡大。
(イ)「第2のアメリカ革命」は,地上での新たな可能性を目指すだけではなく,宇宙でのフロンティアをも目指すものである。
(ロ)米国民は1990年代においては,宇宙で生活し,仕事をすることとなろう。
(6)信仰,自由,家庭,勤労,隣人愛等,米国の伝統的価値を新たにしていく。
(7)より安全で自由な世界の創設。
(イ)米国の経済と同盟の強化によって,米国は,自由世界のリーダーの地位を再確立。
(ロ)米国の国防力近代化がソ連の軍備管理交渉への復帰を促した。相互的かつ検証可能な兵器削減,そして核廃絶を探求。
(ハ)意義ある軍備管理交渉のために,国防力近代化に対する議会の協力を要請。
(ニ)「恐怖の均衡」に代わるものとして,SDIへの支持を要請。ソ連はすでに若干の戦略防衛を行っている。米国のSDIは「空間での戦争」をもたらすものではなく,戦争を抑止し,平和の機会を高めるもの。
(ホ)第三世界における自由と民主主義の醸成と防衛。
(ヘ)米国の貿易相手国に対し,ニュー・ラウンド交渉への参加呼びかけ。
(ト)自由が守勢にある場合,受け身の姿勢ではいけない。
(i) 自由主義政府支援のための経済,安全保障援助に対する議会の支持要請。
(ii) 米国はすべての民主主義国家を支援。
(iii) アフガニスタンからニカラグァに至るまで,生命をかけて侵攻と闘い,人権を守っている人々を守る。
(iv) ソ連の支援を受けたサンディニスタのテロリズムに反対。