(4)ASEAN第17回年次外相会議共同コミュニケ(主要点)
(84年7月10日,ジャカルタ)
1.カンボディア情勢
(1)越軍の「カ」占領が東南アジアの平和と安定に深刻な脅威を及ぼしていることに対し深い懸念を表明。
(2)包括的政治解決を再度呼びかけ,昨年9月のASEANアピールがそのための妥当なベースを提供していることを確認。かかる政治解決の基本的エレメントは越軍の完全撤退と「カ」の自決・国民的和解の実施。
(3)タイ・「カ」国境で頻発する越の侵略行為に深刻な懸念を表明。越外相のインドネシア,豪州歴訪直後に起ったこれらの攻撃を非難。かかる挑発行為を越が止めるよう要求。越が平和的解決を求める意向を見せないことに深い失望。
(4)タイの自衛権の行使を全面的にエンドース,タイヘの堅い支持と団結確認。
(5)国連事務総長に対し,タイ・「カ」国境の監視継続を要請。「カ」西部に安全地帯を設置するとともに,タイ・「カ」国境のタイ側に国連監視チームが駐留するとの呼びかけ(80年10月の国連決議)を越が真剣に考慮するよう要求。
(6)先の越軍部分撤退に留意。かかる撤退は従来兵員のローテーションにすぎなかった点にも留意。
(7)少なくとも50万にのぼる越人移住者が「カ」人を追いやり,かかる越の植民化に対する不満から多くの「カ」人がタイ・「カ」国境へ移動していることに留意。
(8)民主「カ」連合政府支持を確認。同政府の結束強化に留意。
(9)益々多くの「カ」人民が,民主連合政府に結集。先の越の乾期攻勢の失敗は「カ」愛国抵抗軍の士気を高め,抵抗軍は以前より強化された。
(10)シハヌーク大統領の,全ての「カ」の派閥の国民的和解への呼びかけを全面支持。
(11)先の越の提案には,包括的政治解決へ向けての積極的要素なし。右提案は,越の「カ」軍事占領から目をそらすための単なるプロパガンダと考えられる。
(12)国連加盟国の民主「カ」連合政府支持に感謝。83年には「カ」代表権は争われることがなかった点に留意。
(13)ICK宣言及び同決議の目的実現に向けてのICK議長の努力を評価。また,ICKアド・ホック委の努力に留意し,同委委員長を評価。
(14)包括的政治解決を見出すための国連事務総長の継続的努力を評価。東南アジアにおける人道問題担当特別代表の本件会議への出席歓迎。
(15)包括的政治解決を求めるための努力の継続を決意。かかる努力に越が誠意を持って応えることは越の責任であることは今や誰の目にも明らか。
(16)最近のタイ・ラオス国境事件については,善隣友好の精神に則り,友好裡にラオスとの対立点を解決せんとするタイの政策を歓迎。越に,タイ・ラオス間の問題に干渉することは思いとどまるよう要求。
2.インドシナ難民
(1)越によるタイ・「カ」国境の「カ」難民キャンプ攻撃はタイヘの新たな難民流入を招来。タイ村民も越軍により被害。
(2)ASEAN各国にはなお数十万のインドシナ難民が滞留している。移住受け入れ国の努力強化呼びかけ。
(3)ヴィエトナムよりの不法出国の問題は,出国ポイントにおいて解決すべき。
(4)インドシナ難民の本国帰還促進のためあらゆる必要な援助が与えられるよう要請。
(5)国連事務総長の役割,功刀達朗氏SGSRの任命,ジャクソン前SGSRの功績を評価。
(6)カンボディア難民問題は国際社会にとり依然として主要な人道問題。
3.第三国との協力日・ASEAN経済閣僚会議では,日・ASEAN間の現存の経済問題の解決と緊密な関係の一層の促進に焦点を当てるべしとのASEAN経済閣僚会議の見解を支持。
4.国際経済問題
(1)開かれた国際貿易制度の重要性を指摘。ASEANは保護主義防圧のための経済外交を一致して強化。
(2)一次産品総合計画の目的を実現するため,政活的意思の復活の必要性を強調。
共通基金の早期発足を慫慂。
(3)債務累積問題及び高金利に重大な懸念を表明。国際社会が直ちに効果的な措置を取るよう要請。国際通貨制度の改革についての検討を促進する時期。
(4)ロンドン・サミットは当面の国際経済問題に対処するための措置を規定。しかし右措置は短期的,一時的な措置であり特に貿易自由化,一次産品,資金の流れおよび債務問題に関しては不十分。
(5)南北包括交渉(GN)の早期発足の障害を除去するべく,全関係国と協力する用意。