(3)第2回アフリカ難民援助国際会議「宣言」と「行動計画」(要旨)
(84年7月9日~11日,ジュネーブ)
I 宣言
(1)国際社会の責任
本会議は,難民の状況は国際社会全体の責任に帰するものであることを認識し,特にLLDCを配慮した国際社会全体による公正な負担の分担の必要性を強調する。
(2)アフリカ地域の責任
アフリカの難民問題に取組む際には,アフリカの地域的特殊性及びOAU憲章その他の地域的な法規定に特段の配慮をする必要がある。
(3)1969年OAU協定
1969年OAU協定は,アフリカ難民に関する基本的な法規定である。同規定中の重要な原則のひとつは,「(難民に対する)保護の提供は,平和的,人道的行為であり,他の如何なる加盟国からも非友好的な行為とみなされない」という規定である。
(4)アルーシャ会議
1979年,アフリカ難民問題に関し,アフリカ諸国が開催したアルーシャ会議は,難民の法的地位,難民の定義,難民の権利と義務等に関する勧告を行なったが,右勧告は,アフリカ難民問題に関する重要な原則となっている。OAUとUNHCRは,アルーシャ会議の勧告実施のモニタリングを継続しなければならない。
1983年3月に開催されたOAUとボランタリー団体の会合においては,難民救助の方法等につき勧告が行われたが,右勧告は,難民問題への現実的アプローチである。
(5)OAU人権憲章
人権尊重及び国連憲章第55条に則った経済社会の発展がもたらす利益の尊重は,難民の保護と援助の基礎でなければならない。本会議は,OAUの首脳が採択したOAU人権憲章に留意する。
(6)解決へのアプローチ
○難民流出の防止及び難民問題の解決のためあらゆる可能な方策がとられなければならない。
○最良の恒久的解決の方法と認められている本国への自主帰還を支持するための状況がまず醸成されるべきであり,それが不可能な地域では,流出先の地域社会への現地定住を促進すべきである。
○難民問題の恒久的解決のためには,地域住民も考慮に入れた開発援助が重要である。
II 行動計画
(1)本国への自主帰還
本国への自主帰還は,難民問題の理想的解決策であり,関係国政府は,そのための条件作りの責任を負う。
またUNHCRは,難民の本国への自主帰還に便宜を図ることが要求されており,その促進のため適切かつ実効性のある全ての措置をとるべきである。一方,帰還した社会への定着,生活再建の促進のため,UNHCRの関与しうる範囲を超える場合には,UNDP等開発機関,できうればNGOも参画すべきである。
(2)現地定住
自発的帰還が不可能な地域では,現地定住の促進が肝要である。そのためには,難民に雇用機会を与え,社会・経済生活に参加できるよう,地域社会の開発に重点を置いた難民定住計画が必要である。
(3)経済社会インフラ関係援助
過大な負担を強いられているアフリカ難民受入国の多くはLLDCであり,かかる諸国が大量の難民の流入に対処するためには,経済社会インフラ強化のための援助が必要である。右援助は,追加的援助であるべきで,当該国の開発計画がそのために犠牲にされるべきではない。
(4)プロセス
国際社会は,次の三つのレベルで援助を行なうよう努力する。
○緊急事態に直面している難民に対しては,必要とされる救済,保護のための援助を供与すべきである。
○長期的解決策である本国への自主帰還あるいは現地定住促進の努力は継続されるべきであり,そのための追加的援助が供与されるべきである。
○難民及び帰還民受入国に対する技術・財政援助は新しい重要な国際的援助として認識されるべきである。本会議は,ICARA-Hで表明されたコミットメントが,できる限り速やかに実施されることを希望する。
(5)帰還民を含む難民への援助及び右援助と開発援助の調整のための体制
UNHCRは,難民救済のための援助及び恒久的解決のための援助において,中心的役割を果たし,他の関係機関と緊密な協力を行うべきである。
難民受入国の行政機関の難民関係部局と開発関係部局の緊密な協力は,難民関連開発プロジェクトの促進に貢献するものである。
同様に,援助国の難民関連部局と開発関連部局の緊密な協力は,難民に関係した開発問題の推進に貢献するものである。
開発機関の執行部は,同機関の計画立案において,難民と帰還民を十分考慮すべきである。特に,UNDPは,難民関連開発プロジェクトの調整,実施,モニタリングにおいて指導的役割を果たすことを要請される。また,NGOの専門的知識・技術も活用されるべきである。
(6)ICARA-IIのフォローアップ
ICARA-IIは,アフリカ難民の恒久的解決に向けての長期的プロセスの重要なステップである。
国連事務総長は,OAUとの緊密な協力の下,既存のチャンネルを通じて,本会議のフォローアップをモニターし,そのための適切な行動につき勧告を行うこととする。
関係政府は,人道的援助(国連決議37/197の5b)についてはUNHCRを通じて,また,開発プロジェクト(同5c)については,国連事務総長の事務局及び/又はUNDPを通じて,国連事務総長に対し,実施した行動を報告する。
国連事務総長は,第39回国連総会にICARA-IIのフォローアップに関する最初の報告を提出することとする。