(2)第23回OECD閣僚理事会共同声明
(84年5月17日~18日,パリ)
1)経済協力開発機構(OECD)の閣僚理事会は,5月17日及び18日に開催された会合において,国際貿易・金融体制を強化し,経済回復を持続的な雇用創出的成長へと広げるために必要な政策につき合意した。
2)会合の議長は,フィンランドのパーボ・ヴァユリュネン外相及びイエルモ・ライネ外国貿易相であり,副議長はドイツのオットー・グラフ・ラムスドルフ経済大臣,及びハンス・ヴェルナー・ラウテンシュラーガー外務省次官並びにトルコのカヤ・エルテム国務大臣兼副首相及びバヒット・ハレフオウル外相であった。
3)閣僚は,ヴァン・レネップ事務総長に対し,過去15年にわたる強力な指導力並びにOECD及び国際経済協力の大義に対する際立った献身について高い評価と感謝の意を表した。閣僚は,同氏の将来の健康と好運に対する希望を表明した。理事会は,同氏の後任として,1984年9月30日付にて現在フランス外務省経済金融局長であるジャン・クロード・ペイユ氏を任命した。
4)閣僚は,インフレの鎮静化と経済回復により,今後数年間にわたり,OECD諸国経済の次の様な諸目標を達成するための好条件が整っている事につき合意した。
―OECD諸国の状況を一層収れんさせ,特に欧州において未だに高い失業を減少させるような持続的な経済成長
―インフレの一層の抑制と金利の低下
―新技術や市場の変化を活用した投資の力強い増加
―世界貿易の全般的な拡大
―開発途上国に対する資金フローの継続,及び適当な場合にはその増大により生産的な投資を通じて途上国の潜在的開発能力を強化すること。
5)よって加盟国政府は次の意図を有する。
―インフレ的でない持続的成長と雇用増大を企図した経済政策を遂行する。
―市場の効率的機能を可能にする安定的な経済・財政環境を提供する。
―民間及び公共部門並びに国際間において柔軟性及び技術革新を推進することにより,更に強靱な経済・社会的構造を育む。
―政策遂行に当たり,国際的な経済的相互依存関係に妥当な配慮をする。
―貿易制限措置や貿易歪曲的国内措置を緩和・撤廃し,多角的な貿易体制を一層強化するために処置を講じる。
―先進国・途上国相互に利益をもたらすものとして,途上国との貿易・金融及び投資関係を強化・改善すると共に,より貧しい途上国の困難な調整・開発努力に対する支援を増大しかつ効率化する。
6)閣僚は,成長の過程に内在する変化が,脅威として忌避されることなく,新たなチャンスをもたらすものとして歓迎されるような経済・社会的環境に向けて努力することに合意した。
閣僚は,経済構造の強靱性を増す政策を維持するためには,変化の恩恵とコストが公平に分担されなければならないことを認識した。これらの課題に応えるため,各国は,それぞれの歴史的事情及び現実の諸問題を考慮しつつ体制を適応させる必要がある。
持続的成長の達成
マクロ経済のバランス
7)閣僚は,低いインフレ率が安定的な経済環境の不可欠の要素でありより高い成長と雇用につながるものであることを再確認した。
8)閣僚は,金融政策が緊要であることについて合意した。閣僚は,過去の経済回復の初期には,金融の伸びがしばしば不当に刺激的であった事実を認め,これを回避すべきことを認めた。各国は自国の状況に即した金融調節の方法をとりつつも,これらの政策は物価の一層の安定と持続的な実質成長という中期的目標に沿ったものでなければならない。安定的で穏やかなマネーサプライの増加に特別に留意することが適当である一方,国によっては名目所得の枠組が有用である。また,いくつかの加盟国にとっては,為替相場のようなその他の指標をより重視することも正当であろう。
9)閣僚は,大幅な財政赤字は,高額の公的負債,高金利及び民間部門における資本形成の減少と云う結果をまねきかねないことを認めた。増大する利払いの負担は問題を増幅する。他方,政府借り入れが充分に制御可能となり,財政ポジションが健全な国では,一般的な課税水準の引下げの余地がありうる。但し,主要国を含む多くの国では,経済回復にも拘らず多額の財政赤字が持続すると予測されており,政府は,政府支出の対国民所得比率を引下げ,また,支出を削減できない分は歳入を増強することにより,財政赤字を減らそうとしている。このような方法による財政政策の調整は,より均衡がとれた,従ってより持続的な回復の実現に貢献するであろう。また一般的に,国全体の貯蓄に対する政府の取り分は,民間投資と先進国から途上国への貯蓄の流れに対して充分な余地を残すものでなければならない。
10)政府支出は,資源全体の中での割合に関する国民的選択による中期的限度の枠内に抑制されなければならない。こうした限度の中で,支出は,柔軟性を高めるような計画と投質に重点を置くべきである。多くの加盟国では,社会的支出につき,最も必要なものへの支出をとり去ることなく,その伸びを抑制する改革が必要である。また税構造において簡明さ,安定性及び正当な刺激が,民間の意思決定にとり重要である。
11)閣僚は,近年の為替相場の大幅振幅によって,現行為替制度の機能改善が望ましいことが示されているという点につき合意した。政府が為し得る主たる役割は,本来,健全で持続的であり,かつ,経済政策面での収斂を促すような金融・財政政策をとることである。当局は混乱した為替市場にいつでも介入しうる状態にあるべきである。
12)閣僚は,経済パフォーマンスにおいてエネルギー政策がひき続き重要な要素であるものと考える。エネルギーのより合理的な使用,供給源の分散及び石油供給の潜在的中断への対処に関し,これまで得られたモメンタムを維持することが必要である。
適用性のある経済構造
13)閣僚は,経済活動の全般にわたって積極調整政策を実施する必要性につき合意し,かつ,本コミュニケに付属する政策的勧告に示される経済政策委員会の声明を支持した。このような政策は,新たな技術,変化する市場条件及び国際的な競争力の変化に生産構造を適応させることを容易にこそすれ妨げるものではない。政府の責務は,経済パフォーマンスを阻害する措置を徐々に除いていくことであり,それが不可能な場合には,これらを市場原則に沿ったより良い措置におきかえることである。競争の強化,規制の改善,より開放的な貿易政策の推進が肝要である。資本市場を制約から開放することにつき見られた進展を定着化・普遍化する必要がある。閣僚は,全般的な経済的視点から調整政策を検討し評価する方法を強化するようOECDに要請した。
14)閣僚は,インフレなき持続的成長に労働市場の機能改善が伴えば,失業を長く減少させうることに合意した。労働市場関連の政策は,雇用機会を創出し,労働者及び影響を受けている地域社会の調整を助けるような方法で,構造的変化を促進すべきである。労働市場の機能改善のためには構造変化と雇用創出を阻害する政策を変更し,又労働力のモビリティーと新技能の取得を促進する政策を強化することが必要である。同時に実質賃金と非賃金コストの弾力性の増大及び社会的水準の維持と両立する妥当な賃金格差が必要とされる。また場合によっては,所得動向に影響を及ぼす特定の措置が,インフレを抑制し雇用を育成するに当って積極的な役割を果し得る。
閣僚は,若年層と長期失業者のために労働経験と訓練を保証するために注意深く目標を定められた措置が,引き続き有効であることを認識した。
団体交渉とコンセンサス形成がなし得る貢献に鑑み,閣僚はOECDに対し,BIAC及びTUACと協議しつつ上記の方向づけで作業を行うよう要請した。
15)閣僚は,現下の社会的,経済的,技術的変化の重要性に留意しつつ,OECDが中期的かつ長期的展望の下にこれらの問題に対することの重要性を強調した。
世界的コンテクスト―開発途上国との協力―
16)閣僚は,OECD加盟国が開発途上国との協力を一層強化し,これら諸国の経済回復と新たな開発促進に貢献すべきことに合意した。
債務問題
17)閣僚は,国際的債務問題の管理と封じこめに前進がみられたことにつき留意した。然し,いくつかの開発途上国の債務問題は依然として深刻であり,高金利が他の要素とともに債務支払負担を一層重くしている。閣僚は,各国政府,国際金融機関,及び銀行界による継続的協力へのコミットメントが,債務国による効果的な調整努力を行ない,国際金融制度の効果的な機能を継続させる上で不可決であることを認めた。
資金の流れを改善するための政策
18)閣僚は,途上国への資金の流れが開発のためニーズや投資機会に対応し,効率的な資金利用と持続不可能な債務累積パターンの回避に貢献することを保証するという基本的な課題に焦点を当てることの重要性につき合意した。
19)閣僚は,途上国への十分な資金流れを達成するためには,以下の三つの中心的な分野における効果的な政策と国際協力が必要であることを強調した。
(1)先進工業国における適正な貯蓄
(2)開発途上国による効率的な資本の利用
(3)効果的な媒介経路「民間資本市場,国際金融機関及び援助
閣僚は,下記の分野における政策及び行動の改善の必要性につき合意した。
非譲許的な(ノンコセショナル)資金の流れ
20)最近の経験によって,より効果的で,市場志向型の政策は,途上国への持続的な民間資本の流れを動員するうえで重要な役割を演じることがしめされた。閣僚は,国際金融機関が,この点でその役割を一層発展させ得るとの見解であった。効果的な調整を支持する上でのIMFの役割及び世銀による中長期的開発への重要性の付与は極めて重要なものと認められた。こうした背景のもとで,閣僚はIMF及び世銀に対し,相互補完的責務を達成するうえでの,両者の協力を強化することを要請した。
政府開発援助
21)閣僚は,特により貧しい途上国向けの国際的な援助目的に対するコミットメントを実現するために,自国の援助を維持し,また可能な限り増加させるという公約を再確認した。閣僚は,低所得国,特にサハラ以南のアフリカの国における現状や先行きに関し,特に懸念を表明し,DACの援助供与国に対し,これらの諸国の特に困難な状況や要請に関し,援助努力と政策を適応させるための協調的努力を要請した。閣僚は,援助の調整を強化することにより援助の有効性を増してゆくべしとの最近のDACハイ・レベル会合での結論を歓迎した。閣僚は,資金・技術援助を与え,途上国がより効果的な政策を追求することを助ける上で多国間国際機関が重要な役割を有していることにつき意見が一致した。これらの機関は適正な支持を受けねばならない。IDAの役割は極めて重要であり,その適当な増資は高い優先度を有する。
援助と貿易関連の譲許的金融
22)閣僚は,貿易歪曲や,開発目的から離れた援助の流れをもたらすようなすべての法律上及び事実上の信用供与の慣行を避け,合意した指針を十分に適用するとのコミットメントを確認した。閣僚は,あらゆる適当な手段によりこの分野における透明性及び規律を強化するため,既存のアレンジメントを改善するための迅速な行動をとるよう,OECDの然るべき機関に指示した。この行動において,確立された最低グラントエレメントの引き上げを含むことが望ましいか否かについては異なった見解が表明された。閣僚はこれら機関が次回閣僚理事会までにこれらの目的に向けてなされた進展につき報告するよう要請した。
対外直接投資
23)閣僚は,対外直接投資が,効率的な生産,貿易(これらは輸出能力向上を含む),技術移転及び資本輸入国における債務と株式投資との間のより良いバランスの確保に対して重要な貢献をなしうることに留意した。閣僚は,直接投資の流れの監視と,最も効果的に直接投資を誘発するような投資受入国及び投資国の主要な政策や条件(投資家・投資受入国間の信頼と安全の強化を含む)の確認方法を改善するとともに,加盟国政府による途上国との建設的対話の準備を助けるよう,OECDに対し要請した。
経済及び開発に関連する貿易政策
24)閣僚は,開放的国際貿易体制の効果的な機能は,全ての貿易パートナーの共通の利益であることを認識した。閣僚は,この関連で,先進諸国の特別の責任を強調するとともに,途上国を徐々にかかる体制の中へ組み込んで行くことの重要性をも強調した。閣僚は,貿易の自由化が各国の経済・開発政策の一環として,より組織的に追求されるべきことを強調した。国際金融機関に対し,一国の経済発展の貿易政策に係る面についての分析,助言及び技術援助の強化を奨励するべきである。
途上国との対話
25)閣僚は,問題の現実的な解決をめざした実質的な討議を可能ならしめるために現在なされている,途上国との対話の改善努力を全面的に支持した。更に閣僚は,第三次国連開発計画のための国際開発戦略の検討及び評価やUNIDOIV及び国際人口会議等来たるべき主要国連会議に対し,積極的貢献を行うことを約した。
東西経済関係
26)閣僚は,OECDの遂行した東西貿易・金融関係に関する作業計画に対し満足の意を表明した。閣僚は,多くの東欧諸国の短期的金融情勢は改善したが,これら諸国の経済の構造的特色及び国家貿易体制の慣行が,東西経済関係の長期的発展に影響を与える重要な要因であることに留意した。
27)閣僚は,東西間の貿易及び信用の流れは,市場動向によって導かれるべきであると再び表明した。これらの動向に照らし,加盟国政府は特別な待遇を与えずに金融面で節度ある対応を引き続きとるべきである。閣僚は,OECDが昨年の指針を基礎に東西経済関係の問題及び進展に関する検討を遂行すべきことにつき合意した。
国際貿易
貿易障害及び歪曲の削減
28)閣僚は,経済回復によって提供された好条件を,保護主義的傾向を覆し,貿易制限措置や貿易歪曲的な国内措置を漸進的に緩和・撤廃する為に活用すべきであるとの昨年の合意を想起した。第一段階の措置として,加盟国政府は,必要な国内手続きの完了を条件に,多角的貿易交渉(MTN)に従って1986年に予定されている全ての関税引き下げを,1年早めて1985年の早い時期に行うことにつき合意した。
閣僚は,そのような繰り上げにより,予定されている残りのすべてのMTN関税引き下げを1年早めて1986年の早い時期までに実現したいという希望を表明した。後発開発途上国からのすべての輸入に対し,無関税かつ輸入枠の対象とならないアクセスを未だ与えていない加盟国は,とりわけ特恵制度を利用しかかる方向に向け一層前進するよう努力する。
29)閣僚は,また,個別及び共同行動の為の特定の提案を検討させる為,次の作業計画につき合意した。
(1)各セクターの一般的経済状況及びこれまで行われた調整措置を考慮の上,貿易制限措置及び貿易歪曲措置に対する行動範囲を各セクター毎に確認する。開発途上国からの輸入を拡大する為の特定行動を含む協調行動の可能性に関する報告は,来年の閣僚理事会までに準備されなければならない。
(2)パラ22で扱われている貿易と援助資金供与における透明性及び規律の強化。
(3)各加盟国に対し,自国が想定する新しい制限措置の経済的帰結を充分吟味し,かつ同措置を相殺する自由化措置を確認するよう奨励する。
(4)セーフガードに関する国際的合意を達成するための努力を新たに行う。
更に,閣僚は,OECDの関連委員会に対し,次の2点を要請した。
(1)貿易歪曲効果を有する国内措置に対処する目的でOECD取り決め(産業関連政策に関する情報システムの改善及び経済全体から見た各国の調整政策の評価を含む)を改善する為の方法及び手段を検討し,適当な場合には行動をとること。
(2)現実的かつ柔軟なやり方で貿易政策の国別レビューの可能性を検討すること。
多角的貿易制度の強化
30)多角的貿易交渉の新ラウンドに関する提議について,閣僚は,かかるイニシアチブは自由貿易制度の強化及び貿易機会の増大にとり極めて重要であることを認識した。
新ラウンドに対する確固たるコミットメントに対し道を開く為には,新ラウンドの目的,参加国及びタイミングにつき,幅広いコンセンサスを確実なものとすべく,すべてのガット加盟国と広汎な協議が行われなければならない。
閣僚は,新ラウンドの早期かつ徹底的な準備は,新ラウンドに関するイニシアチブを成功させる為に不可欠であること及びガットの作業計画は新ラウンドの準備において重要な一歩となることを強調した。
閣僚は1982年ガット閣僚会議においてとりまとめられた作業計画を最優先項目として実行する決意を強調した。
OECDの作業は,新ラウンドの準備過程に対し有益な貢献を行うことができる。
しかしながら,閣僚は,新ラウンドの準備は,上記において合意された制限的措置の巻き返しに対する努力を遅延させてはならないこと及び保護主義的圧力に対抗する努力が優先させられるべきことに合意した。
31)閣僚は,サービス分野の国際貿易により生ずる諸問題の重要性を認識して,一層の分析が進むに従い,OECDは,不当な障害を除去し国際協力を改善する方策にますますその努力を集中するであろうとの点に留意し々閣僚は,貿易委員会を中心に行なわれている,サービス貿易一般に関する広い概念と特定セクターで確認された諸問題とを結びつける努力を支持する旨表明した。また,閣僚は,サービス分野に適用しうる既存のOECDの取極めを強化する作業の継続を奨励した。閣僚は,2年以内に行動提案を含む報告を理事会に提出するよう事務総長に要請した。
32)現在までの進展を検討した結果,閣僚はOECDに対し,ハイテク製品貿易の分析を継続し,同製品貿易で生じ得る特定の問題を検討し,そのような問題が確認される場合には,可能な解決策を検討するよう要請した。経済成長に対する技術発展の貢献を強化し,技術の国際的流れを促進する手段についても検討が為されなければならない。次回閣僚理事会において報告が検討されるであろう。
33)閣僚は,主として国内的支援政策のため,いくつかの農産物において重大な国際的市場不均衡が存在することについて懸念を表明した。閣僚は、必要な長期的調整を妨げる措置を軽減する必要性及び,保護主義及び貿易歪曲を削減し,国際市場の機能を改善することを目的とした現在の努力を辛抱強く続ける必要性を認識した。閣僚は,これらの諸問題に関するOECDの作業計画に対する支持を確認した。閣僚は,1982年に与えられたマンデートに従って漁業分野における作業が行われていることに留意し,同作業を積極的に続行するよう要請した。
34)閣僚は,競争を制限し,又市場の適正な機能を阻害する効果を有するカルテルや輸出自主規制等,競争及び貿易政策双方との関連で生ずる問題の重要性を承認した。閣僚は,この分野における作業の継続と国際協力の改善を要請した。閣僚は,また,貿易政策の立案に当り,消費者の利益に対し,より大きな重要性を与える必要があることを強調した。
国際投資
35)閣僚は,1976年の国際投資及び多国籍企業に関する宣言及び関連決定の検討を行った。閣僚は,1976年に採択され1979年に改定された(あ)多国籍企業の行動指針,(い)外国人に支配されている企業に対する内国民待遇,並びに(う)国際投資の促進要因及び抑制要因を各々扱っている三つの関連文書は,国際投資環境及び多国籍企業と政府との間の相互信頼の強化に対し重要な貢献を行っているとして満足の意を表明した。
36)閣僚は,加盟国による多国籍企業への相反する要請の賦課から生ずる問題の重要性及び同問題の範囲の増大に留意し,かかる衝突を回避或いはその範囲を制限する為にこの分野における二国間及び多角的協力を強化することにつき合意した。従って,閣僚は,レビューレポート第23項乃至33項で述べられているこれらの問題に対する一連の一般的考慮及び現実的アプローチを承認した。閣僚は,また,合算課税が国際投資に与える影響についての懸念及びこの問題の早期解決達成の重要性に留意した。
37)閣僚は,加盟国間の対外直接投資の重要な役割を強調し,特に内国民待遇に関する文書を含む国際投資及び多国籍企業に関する宣言の適用を強化することに合意した。閣僚は,直接投資に関連した設立権に係る若干の措置をカバーする為に,最近行われた資本移動自由化コードの修正についての決定を承認した。閣僚は,OECDに対し直接投資に対する制限を一層自由化する方向で作業を継続するよう要請した。