第7章　その他の活動

第1節　外交体制の整備充実

以上述べてきたような外交活動は，外務本省及び168の在外公館(大使館，総領事館，領事館，政府代表部)に働く3,795名(84年度定員)の外務省職員によって支えられている。

現在の複雑かつ厳しい国際情勢の中で，総合的かつ機動的な外交の推進は不可欠であり，外務省は，本省及び在外公館の機構の強化，定員の増強，職員の研修，能率の向上等，各分野で外交実施体制の整備充実に努めてきている。

84年度に講じられた具体的な措置は以下のとおりである。

1.機構・定員

(1)機構に関する85年度予算で，大臣官房に審議官1人を設置するとともに外務参事官1人を廃止した。また経済局に書記官1人を設置し，その存続期間を87年3月31日までとした。このほか条約局調査官1人を廃止した。

在外公館関係では，実館として中国の瀋陽に総領事館を新設することとした。

この結果，85年度末における我が国在外公館数(実館)は，大使館105,総領事館57,領事館2及び政府代表部5の合計169館となる。

(2)外交機能強化のためには，外務省定員の増強が不可欠であるとの認識の下に，外務省では，「定員拡充5,000人計画」を策定し，努力を続けてきた。85年度には，特に，情報の収集・分析機能の強化，経済・経済協力事務の強化及び小規模公館(定員7名以下)の拡充を重点事項として掲げ，厳しい予算・定員状況ではあったが，本省20名，在外公館120名，合計140名(定員削減及び定年退職制実施に伴う削減による合計52名を差し引き，純増は88名)の増員が得られた。これは，外交体制強化の必要性について各方面の理解が深まったことの表われと考えられる。

外務省の85年度末の定員は，3,883名(本省1,617名，在外公館2,266名)となる。

2.職員研修の実施状況

(1)外務省研修所における研修

84年度新規入省者(83年度外務公務員上級及び専門職員採用試験合格者等計65名，国家公務員初級試験合格者等52名)に対する初任研修のほか，在外公館に赴任が予定されている他省庁出身職員134名及び外務本省職員195名，並びにこれら在外赴任予定者の夫人250名に対して，それぞれの必要に応じた赴任前研修を実施した。また特殊語国に赴任する一部の職員に対して必要に応じ随時語学研修を実施するとともに，本省職員に対する語学添削指導等を行った。今後の研修方針としては，従来行っている上記の各種研修を，本省及び在外公館の実務により有効に役立てる観点から，一層充実させるとともに，特に赴任前研修及び本省職員に対する中間研修の拡充と効率化を図る方針である。

(2)在外における研修

80～82年度の外務公務員上級及び専門職員採用試験に合格した職員137名について，語学別に2年ないし3年間，外国の大学等における在外研修を実施した。