第6節 外国人に対する査証

1.査証と外国人入国者

近年の我が国と諸外国との人的交流の増大を反映して,我が国の在外公館における査証発給総件数も年々増加の傾向を示している。

84年における外国人に対する査証発給総件数は,約129万件で,前年比6.6%の増加であった。

これをちなみに60年と比べると,約12倍増,70年の約3倍増,80年の1.6倍増に当たる。

なお,外国人の我が国への入国者統計では,84年の入国者は約203万人と史上初めて200万人台を越えたと発表され,上記の査証発給総件数約129万件との間に差があるが,これは,入国者の総数が,査証を取得し入国した者のほか,我が国との査証免除取極により査証を免除されて入国した観光客等短期旅行者の数や,現に我が国に居住する外国人で,我が国への再入国許可を取得していったん外国へ出た後再入国した外国人の数などを含んでいるからである。

以上のとおり,外国人入国者の増加にほぼ比例して我が国の査証発給事務も激増しており,(イ)国の安全ないし公安の維持,(ロ)内国人に対する雇用機会の確保,(ハ)対外政策実施のための措置等を中心とする査証制度の効率的運用の重要性はますます高まっている。

2.査証の発給状況

84年の査証発給総件数約129万件を,地域別に見ると,下表のとおり,アジア地域は前年に比べ4.4%増加し,全体の67%,次の北米地域は11.6%増加し,全体の24.7%で,この両地域だけで発給総件数の9割以上を占めている。

また,査証発給総件数を,査証区分別に見ると,下表のとおり,短期滞在査証(観光,訪問,業務など)が,全体の85.1%(そのうち短期商用目的は全体の18.5%),通過査証は全体の4.9%であり,両査証だけで全体の9割を占めている。

ちなみに,84年の国籍別外国人入国者数を見ると,米国人(43.7万人),台湾人(35万人),韓国人(29.2万人),英国人(16.7万人)の順となっている。

3.査証に関する二国間取極

我が国は,国際間の人的交流円滑化の観点から,相互主義に基づき観光,訪問,商用などの目的の一時旅行者に査証取得を免除する取極を,現在48か国との間で結んでいる。

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