第4節 邦人に対する援助

1.一般邦人,船員,船舶に対する援助

84年中に在外公館で取扱い,外務省に報告のあった一般邦人,船員,船舶等に関係する事件,事故件数は585件(746人)であった。

このうち,地震,火災,風水害などの被害は4件(以下カッコ内の数字は死亡者数)(3人),船舶,航空機,列車,自動車事故73件(84人),山岳遭難,遊泳事故33件(35人),犯罪被害による死亡者14人,自殺(未遂を含む)28件(17人),病気120件(75人),精神異常44人,行方不明21人,邦人による殺人事件1件,麻薬覚醒剤等犯罪19件等がある。

これら事故,病気等により海外にいる邦人を援護する必要が生じた場合,外務省は在外公館と緊密な連絡をとりつつ,留守宅への通報をはじめ,当該邦人が安全かつ速やかに帰国できるようにする等必要な措置をとっている。

また,84年には83年に引き続き,邦人観光旅行者の現地の治安状況や法令規則等についての不注意に基づく事故やトラブルが多発したので,運輸省を通じ旅行業界に対し注意喚起を行った。

帰国を希望するが帰国費を負担し得ない邦人に対しては,審査の上貸付けを行っているが,84年中の貸付けは,6件(15名)であった。

2.巡回医師団の派遣

外務省は,72年以来,海外在留邦人の健康管理の見地から,衛生環境が悪く,かつ,十分な医療施設のない開発途上国に在留する邦人を対象に巡回医師団を派遣している。84年度においては,アフリカ,中近東,アジア,オセアニア,中南米の各地域に合計12チームの医師団を派遣し,約6,000名の邦人の健康相談に当たった。

3.海外子女教育

5月現在,海外の学齢子女(小・中学生)は36,223名である。このうち,43%が全日制日本人学校に就学しており,37%が現地校などに通学するとともに補習授業校に通っており,残り20%が専ら現地校などに就学している。海外子女教育は,国内と異なった種々の問題を抱えているが,外務省は文部省と協力してできる限り海外子女教育を充実強化するよう努めている。

(1)援助の状況

外務省は,校舎建設,借料補助,現地採用教員の謝金補助等を行っており,文部省は教員派遣,教材の供与等の援助を行っている。なお,外務省の海外子女教育予算は,84年度約17億円となっている。

(2)日本人学校

日本人学校は,84年にバンドン,バハレーンの2か所に新設され,合計76校となった。

在籍児童生徒数は,5月現在15,456名で,派遣教員の数は,935名に上っている。

(3)補習授業校

補習授業校は,現地校などに通学する邦人子女に対し,週末等に国語を中心に補習授業を行っているものであり,5月現在102校となっている。

在籍児童生徒数は,5月現在13,329名である。

補習授業校の講師は,84年には合計1,020名となっている。大規模な補習授業校及び全日制に準じた授業を行っている補習授業校に対しては,原則として専任教員が派遣されている。

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