(24)ワインバーガー米国防長官の1985会計年度国防報告(要旨)
(84年2月1日,ワシントン)
1.直面する挑戦
(1)同盟内の挑戦
防衛同盟体制を維持することは,攻撃を抑止するためにも,又自由を守る責任を分担するためにも必要である。我々の同盟は成功して来ているが,ソ連軍事力の世界的展開によって,更に協力を強化することが必要となっている。米国は又,中国との間の更に緊密な関係の基礎を築いた。
(2)第三世界の挑戦
米国の安全保障と係わりの深い第三世界の不安定化要因及び同地域へのソ連の介入による事態の悪化に対処するため軍事援助の増大が必要となっている。
(3)ソ連からの挑戦
デタント時代のソ連の自制に対する希望は消え,米国民及び議会は米国の抑止力の信頼性を回復するための行動を支持してきた。ソ連の軍事費の伸び率は近年鈍っているが,過去25年に亘る大規模な軍事投資により,ソ連は1970年代にはそれまでの米国の優位を覆し,且つ質の面でも追い上げている。
(イ)ソ連の軍事力の量及び質の両面における増強は,核戦力及び通常戦力の両面において均衡を変えた。
(a)米国の最新のICBMは1970年配備のミニットマンIIIであるが,その1970年以降ソ連は4種類の新型ICBMを配備した。ソ連のこのような核兵力の増強は米国の抑止態勢に対する信頼性を脅かしている。非戦略核兵器に関する分野でも不均衡は拡大している。
(b)通常兵器の量ではソ連は第二次大戦以来優位を保った来たが,その格差は更に広がった。例えば,1965年から現在に至る間にワルシャワ条約軍は戦力を90%向上させたがNATOの戦力向上は40%以下でしがなかった。又近年ソ連は海軍の目ざましい拡張を行っており,海上交通路の自由に対し脅威を増している。更にソ連は現在原子力推進の中型の通常型戦闘機搭載可能空母を建造中であり,それが就役する1990年代初期にはソ連軍の展開能力は一層大きくなる。
(c)ソ連軍は攻撃的性格を強めており・具体的には生物化学兵器の脅威の増大,戦闘機の対地攻撃能力の増加等がある。更に,NATOの後背地を脅すことができる作戦機動グループの創設及びソ連空軍の改編による戦略予備航空軍の編成等はソ連軍が攻撃的性格をより強調していることを示している。
(d)ソ連海軍は,補給上の問題のため本国から遠隔した地点での継戦能力は限られているが,外洋海軍に向かって発展して来ている。又,ソ連軍の空輸能力の拡充は,給油能力上の制約はあるものの,1973年の中東紛争,アンゴラ紛争,アフガニスタン侵攻等において示されている。ソ連が何故軍備拡張を行うのかは我々にとり不明である。ソ連は戦争を求めてはいないかもしれないが,紛争の可能性は常に存在するという彼らの信念に基づいて,どのような戦争にも勝てるような軍事力を備えている。又ソ連は,軍事的優勢は平和時における政策手段の一つになると信じているようである。何れにしろ,ソ連は経済にどのような負担がかかろうとも,軍備拡充はそれに見合う利益があると信じているようである。
2.国防政策
米国の防衛政策の最終目標は自由のある平和の維持であり,脅威の増大,世界環境の変化及び軍事技術の発達により米国の軍事態勢及び能力が修正されても,米国の安全保障政策の三原則,即ち(イ)抑止へのコミットメント,(ロ)防衛的指向,(ハ)抑止が失敗した場合に有利な条件で平和を回復,の三原則は不変である。
(1)抑止力の強化と軍備削減
抑止政策は米国の国防政策の要石である。米国は,いかなる潜在的な侵略者に対しても,侵攻から得られる利益よりも侵攻による損害の方が大きいことを納得させられるような核戦力及び通常戦力を求め続ける。不幸にしてソ連の指導者は,核戦争も含めて,一定の条件では米国との間で戦争を行い,これに勝利することができると信じている。従って,ソ連の指導者が侵攻のリスクを計算する際に,米国の報復力によってソ連が利益を得る可能性はないと悟るように米国は仕向けなければならない。
1960年代に米国とNATO同盟国は「柔軟反応」の概念を採用し,強力な通常戦力も含めた幅広い防衛力を持つこととした。レーガン政権は,NATOが依然として核抑止力に大きく依存していること及び,ワルシャワ軍が核・非核の両分野で軍備を増強していることに鑑み,通常兵力の増強の必要性を強調して来た。
(イ)通常戦力抑止
米国一国ではソ連の脅威に対処することが出来ないので,米国は,同盟国との集団防衛,それを支えるための前進配備戦力を西欧,日本,フィリピン,韓国並びに南西アジア周辺の地域及び海域に維持し,及び緊急展開能力の保持により通常戦力による抑止力を維持する。
米国は,友好同盟諸国に対して,共同防衛のための貢献を増強するよう要請している。
(ロ)核抑止
我々は核兵器の危険性について幻想を抱いてはいない。核戦争においてはどちらの側も勝者となることはない。核戦争の発生を防止するためには,この認識を我々だけではなく,ソ連の指導者も持つことが必要である。
米国は,戦力及び反応の選択肢における柔軟性を保持しなければならない。
とれにより米国は有利な条件で紛争を終結し,最低限度の力の使用において抑止を回復し,より深刻な破壊を防ぐことが可能となる。柔軟かつ継戦能力のある軍備によって抑止を維持するとの考え方は過去20年以上に亘って米国の戦略思想の主流であった。戦略的抑止を維持するために米国は地上配備のICBM,有人爆撃機及び潜水艦発射弾道ミサイルを維持する。又,米国は弾道ミサイルに対する防衛の研究も開始した。
米国の戦略核体系はNATOの究極的な抑止力であるが,NATO同盟諸国に対するソ連の核又は大規模な通常戦力による攻撃を抑止するため米国は欧州に非戦略核兵器を保有している。われわれの核戦力はすべて,通常戦力,非戦略核戦力および戦略核戦力を結びつける単一で統合された政策によって統御されている。又,NATOの1979年の二重決定に従い,ソ連のSS-20の配備に対抗して1983年末からパーシングIIと地上発射型巡航ミサイルの配備を開始した。
(ハ)軍備削減
現政権は,純粋の軍備削減を達成すべく決意している。NATOが1979年に二重決定を行った際に,貯蔵されている核兵器1,000個の削減を決定したが,1983年10月には更に1,400個の核兵器を欧州から撤去することを決定した。
他方,SALTI及びII条約は,戦略核戦力の分野での削減及び安定をもたらすものではなかった。逆にSALTI及びIIはソ連に戦略核軍備の拡張及び近代化を許し,安定を損わせるものであった。近年に至り,ソ連がABM条約及びSALTII条約に違反していることを示す証拠が増えている。具体的にはミサイル実験の遠隔計測データの暗号化,大型位相差段列レーダーの建設,新型ICBMの開発,大規模地下核実験等である。これは軍備管理協定における検証措置の重要性及び,ソ連の責任ある態度の必要性を示している。
このように問題はあるが,米国は有意義な軍備削減を追求するとの姿勢は変わっていない。
(a)START交渉においては,1983年10月に米国は,弾道ミサイルの核弾頭を双方が毎年5%ずつ削減し,最終的には5,000個にまで引き下げるとのビルドダウンの提案を行った。
(b)INF交渉においては,1983年3月に,INFの弾頭数を双方がグローバル・ベースで420に制限するとの提案を行った。更に9月には交渉を促進させるため,INF爆撃機の制限,パーシングII及び地上発射巡航ミサイルの削減を適正な割合で行う用意があること,並びにグローバルな制限で保持できることとなるミサイルの全てを欧州に配備しないことを検討してもよいことを提案した。
(c)中部欧州相互均衡兵力削減交渉では,NATOとワルシャワ条約機構の双方の地上兵員を70万人に,空軍兵員を含めて90万人に引き下げるよう交渉している。
(d)ソ連との間でもホット・ラインの高速ファクシミリ化や弾道ミサイル発射の事前通知などの信頼醸成措置について話し合いを行っている。
(e)1984年1月に始まった欧州軍縮会議においては,奇襲攻撃の危険を減らすための措置について話し合いが行われている。
(2)防衛的姿勢の強化
米国の政策は防衛的なものである。米国は新たな領土を求めず,軍事力を使うのは安定と平和に対する明確な脅威に対処する時のみである。米国は,防衛的姿勢の不利をカバーするため次の措置をとる。
(イ)指揮,統制,通信情報能力を改善し,適切な警戒態勢を確保する。
(ロ)即応能力を改善する。
(ハ)予備役戦力を向上させる。
(ニ)戦力の柔軟性及び機動性を高める。
(ホ)小規模の脅威に対処するために特殊行動部隊を強化し,1万人規模の軽歩兵師団を編成し,戦略上の柔軟性を高めた。
(3)平和の回復
米国の戦略の基本は抑止と防衛的性格であるが,核又は通常兵器の抑止が信頼できるものであるためには,抑止が破れた場合に,攻撃を阻止し,米国及び同盟国にとって有利な条件で平和を回復する能力を保有していなければならない。米国軍は世界中の全ての脅威に対して,常に対処できるわけではなく,抑止が破れた場合には,一般的な戦略的優先順位,その時の特殊状況及び利用可能な戦力によって戦力の展開が決定される。
(イ)紛争の範囲を限定するためには,ソ連が複数の戦域で同時に作戦を行う能力があることを考慮して米国は計画を作らねばならない。レーガン政権は海軍の強化,空・海輸送力の拡充を行っている。
(ロ)紛争の期間の限定に関しては継戦能力の増強に努めている。
(ハ)紛争の程度の限定に関しては,兵器の質的優位を維持することにより,量における劣勢を相殺し,且つ,大量装備に要する費用及び紛争初期における核使用の危険を避けることが緊要である。
(4)地域目的と任務
兵力計画においては,米国が重大な利害をもつ欧州,中束及び南西アジア,東アジア及び太平洋の三つの戦域が最も重要である。米国の計画策定者は,双方の同盟国が全て参加するようなソ連の多方面同時侵略があり得るとの想定に基づく必要がある。
(イ)欧州
米国の安全保障は西欧民主主義諸国の独立と密接に結びついている。NATOの戦略核,中・短距離核兵器及び通常戦力はNATOに対する攻撃を抑止するものであり,又抑止が破れた場合にはいかなる侵攻に対しても確実に対応するためのものである。米国は決定から10日以内に10個師団にまで在欧米軍を増強することを誓約している。
共同防衛の費用及び利益の公平な分割は重要な問題であり,レーガン政権は,同盟国に対して防衛費を増加するよう要請して来た。
(ロ)南西アジア及び中東
(a)中東における米国の政策目標は死活的重要性をもつこの地域へのソ連の進出を抑止すること及びイスラエルに安全保障を提供し,穏健アラブ諸国の領土保全,イスラエルとアラブ諸国の間の永続的な平和を達成することである。
(b)南西アジアにおける政策目標は,米国の利害に敵対する勢力がこの地域を奪取したり,地域への影響力をもったりすることを防ぎ,且つこの地域の国家の領土保全を保障し,石油その他資源へのアクセスを確保し,穏健アラブ諸国との安全保障上の連携をより緊密にすることである。ソ連の湾岸油田地域への侵攻に対抗するためには,米軍が紛争の早期に介入することが必要であり,そのためには中央軍の展開能力の強化等が必要である。
(ハ)東アジアと太平洋
米国の利益及び安全保障は,東アジアと太平洋に密接に結びいている。戦時の政策目標は米国領土及び太平洋の同盟国との間の海上交通路を防衛し,同盟国の自衛に対する援助を行うことである。米国は,アジアにおける米国の利益を守るための手段を保持しつつ,太平洋国家としてとどまる意向である。北東アジアでは,米国は同盟国に対し,自国を防衛するためのより大きな責任を果たし,そうすることによってこの地域の防衛に貢献するよう勧奨している。米国は日本に対し,80年代中に1,000カイリまでの海上交通路防衛を含む,自衛任務を遂行するために必要な戦力を整備するよう要請して来た。
更に,中国との間では永続する関係を発展させるための努力を続けた。
(ニ)中南米及びカリブ海
中南米が米国の安全保障にとって重要であるのは,地理的近さ,重要な船舶航路にまたがっていること,及び第一次原材料があるためである。リオ条約及びパナマ運河条約がその要である。
政治的に不安定な地域では,ソ連・キューバの拡張主義が浸透し米国の経済的,政治的,軍事的利益を脅かしている。キューバの軍事能力の拡大は,カリブ地域の米国の同盟国を脅かしており,ニカラグアの軍備増強も自国の防衛目的を越えるものである。
(ホ)アフリカ
アフリカにおける政策目的は,友好諸国の独立・安定を支援して外部敵対勢力が同地域へ介入するような状況を改めること,且つ防衛及び工業上必須であるアフリカの鉱物資源へのアクセスを確保することである。
3.防衛能力
現政権が就任した時に比べて,現在の米国軍は即応能力,継戦能力,及び兵器の近代化で大きく前進した。
(1)即応能力
1980年12月から1983年9月までの間に即応態勢にある現役及び予備の部隊数は39%増加した。
(2)継戦能力
1985会計年度予算が実行に移されると,継戦能力に係わる備蓄水準は,現政権就任時に比べて50%増加する。
(3)近代化
米軍の装備はソ連軍の装備に較べて,質の面では少なくとも同等であるかあるいは優れていると言えよう。
(イ)陸上兵力はテロリスト対策から大規模な機械化又は装甲化された軍事闘争に至るまで,全ての水準の敵と交戦できる能力が必要である。NATO正面における165個師団に上るソ連及びワルシャワ条約軍並びに4万7千台の戦車に対処するためには,対機甲戦力及び戦術機動の改善及び指揮・統制・通信の向上が必要である。将来の戦場は軍隊の機動化によって,非常に拡散し,混乱したものとなり,又,戦況も急速に変化するものとなるので,司令官が状況を把握・管理できるC3が必要である。陸上兵力は全部で30個師団で,現役は陸軍17個,海兵3個の計20個師団,予備は陸軍9個,海兵1個の計10個師団より構成される。
(ロ)海軍の任務は対外的な防衛約束を守るために必要な海上交通路を保護すること,海に面する同盟国の防衛を支援すること及び,その遠距離到達能力,柔軟性及び独立した戦闘能力を利用して多様な紛争に対処することである。
ソ連の対艦巡航ミサイル及びバックファイア爆撃機が米国海軍への脅威となっている。更にソ連のオスカー級ミサイル搭載攻撃型原潜,ビクターIII級攻撃型原潜,アルファ級攻撃型原潜等の開発も米国海軍の脅威となっている。
このようなソ連の脅威に対抗するため,就任当時479隻であった海軍を15隻の空母を含む600隻に拡充する計画を実行中であるが,議会の同意が得られるならば,1989会計年度には600隻海軍の目標を達成できる見込みである。
更に質の面では敵航空機の捜索可能距離が3,000kmに及ぶレーダーの開発,高速巡航ミサイル迎撃能力を持つイージスシステムを備えたCG-47級巡洋艦及びDDG-51駆逐艦の配備等を行う。対潜能力の分野では,ロス・アンジェルス級攻撃原潜の改良型の建造及び新型の攻撃原潜の設計を行っている。
攻撃型原子力潜水艦は100隻の保有を目標としている。
又,火砲支援能力の向上のために,4隻の軍艦の現役復帰計画を継続する。
(ハ)戦術空軍力の目的は,欧州及び太平洋の前進展開基地から作戦行動ができること,及びそれらの基地に緊急増援を行う能力を保持することである。ソ連のMIG-29及びSU-27全天候戦闘機及び早期警戒機導入は米国の戦術空軍の優位を崩しつつある。米国空軍力の優勢は空海陸戦の要であり,F14,F15,F16,F/A18の購入を継続し,又新型対空ミサイルを装備する予定である。
現在の25航空団編成を1989会計年度までに27航空団編成にする予定である。
(ニ)機動戦力
緊急展開能力があって初めて集団防衛戦略が成功する可能性を持つ。ソ連は数か所の戦域で同時作戦を行う能力を有しているので,米国は同時展開能力,及び前進展開基地のない地域での紛争に迅速に対処する能力が必要である。米国の目標はNATO及び北東アジアの主要点に増援しつつ,南西アジアに戦力展開する能力を維持することであり,さらに,展開兵力の支援,及び戦域及び戦域間の再展開能力も必要である。これだけの輸送能力があれば殆んどあらゆる事態に対処出来る。1981年と比較して,1990年までに戦域間空輸能力を75%増加し,事前配備船を150%増加することを計画している。
(ホ)特殊行動部隊
ソ連は主に第三世界において騒擾活動を行っており,これに対処するために,特殊行動部隊を用いて15か国で現地の軍隊の訓練を行っている。同部隊はこの他に,非通常戦,テロ対策,警備支援,心理作戦,情報収集等も行う。
陸軍及び海軍にも新たな特殊行動部隊が加えられた。
(4)戦略核政策
(イ)通常戦力による紛争を抑止する能力も究極的には戦略抑止力に依存している。侵略者は,もし通常兵力による抑止が失敗しても我々は信頼できる核抑止力を持っていることを理解すべきである。
(ロ)ソ連の核戦力の拡充
1960年代初期には,米国はソ連に対し戦略戦力の面で圧倒的な優位にあったが,その後の一貫したソ連の核戦力の拡充により,1970年までにはほぼ対米均衡を達成し,次の10年間でバランスを変えてしまった。特にSS18及びSS19はミサイルサイロを攻撃できる精度をもっており,この10年間のソ連の対軍事目標攻撃能力の向上は米国の報復能力を侵食し,戦略核兵力バランスの安定を切り崩している。
(ハ)戦略核戦力近代化計画
米国核戦力の対ソ抑止力を確実にするため次の措置をとる必要がある。
(a)ソ連の攻撃下でも生存機能可能なC3システムの確保。
(b)B1-B爆撃機100機の購入及び21世紀まで使用可能な先進技術機の開発。
(c)毎年1隻トライゲント潜水艦を建造する。硬化目標を攻撃可能なトライゲントIIミサイルの開発及び海上(中)発射トマホーク巡航ミサイルの開発を行う。
(d)偵察システム及び迎撃力の向上により戦略防衛を改善する。
(e)100基のMXピースキーパーミサイルの配備及び新型の単弾頭小型ICBMの開発。
(ニ)戦略防衛
技術の進歩が,弾道ミサイルに対する効果的な防衛を開発することによって,抑止を強化する機会を与えてくれるかもしれない。レーガン大統領はその可能性を十分探究する決意である。ソ連が既に弾道ミサイル防衛の研究を行っており,ソ連の一方的な配備は米国の安全保障を脅かすことになるので,不確実な点もあるが,米国も戦略防衛の可能性を充分に探究することを決意した。
現在提案されている研究計画は米国の条約上の義務に違反するものではない。更に,弾道ミサイルの効果を減らすことの出来る有効な戦略防衛は軍備管理の機会も増大させるであろう。
4.防衛予算
1985会計年度の予算案は支出権限ベースでは3,050億ドルで,対前年度伸び率は名目18.1%,実質13.0%である。又,支出額ベースでは2,644億ドルで,対前年度伸び率は名目14.5%,実質9.3%である。