(16)グレナダに対する米・東カリブ海諸国軍派遣についてのレーガン米大統領ステートメント(要旨)
(83年10月25日,ワシントン)
(1)23日米政府は東カリブ海諸国機構(Organization of East Caribbean Sta-tes)より,グレナダにおける秩序及び民主主義の回復のための共同の努力を支援するよう正式要請を受けた。
(2)米政府としては右要請に応じ,アンティグア,バルバドス,ドミニカ,ジャマイカ,セント・ルシア及びセント・ヴィンセント各国の軍からなる多数国による努力に加わることとした。
(このうちバルバドス及びジャマイカはOECSの加盟国ではないが,米国に先立ちOECSのアプローチを受けたものである。)
(3)本日早朝カリブ海の民主主義国6か国及び米国の軍は,グレナダにおける上陸を開始した。
(4)米国がかかる行動をとることとした理由は次の3つである。
(イ)1,000人にも及ぶ米国人を含む無こな人々の生命を守ること(この点が最も重要)
(ロ)これ以上の混乱を防止すること
(ハ)法と秩序の回復
(5)かかる行動は,東カリブ海はもとより文明社会において全く前例のない出来事の結果,やむを得ずとするものであり,この点誤解のないようにしたい。
(6)米国はグレナダにおける事態の推移を注意深く見守ってきた。また,グレナダにおける事態を悪化させ,同島の米国民に対する危険を増大させてはならないと固く決意していた。しかし,多数の米国市民が同島脱出を希望し,このため危険にさらされていることを知るに至り,また近隣諸国から支援の要請を受けるに至り,自分(レーガン大統領)としては,固い決意をもって行動するほかないとの結論に達した。
(7)米国の目的は,(イ)自国民の保護,(ロ)離島希望者の脱出を容易にすること,(ハ)グレナダにおげる民主制度の回復と明確なものであることを改めて強調したい,(ニ)いくつかのカリブ海諸国は本問題をOASが取り上げるよう要請していると承知している。米国としては,OECS諸国,ジャマイカ及びバルバドスと緊密に協力して外交的努力を行う所存である。
2.チャールズ=ドミニカ首相(OECS議長)の発言要旨
(1)ビショップ首相は民主的選挙の必要性を認識していた。同首相が殺害されたのはまさにそのためである。
(2)カリブ海諸国にとって民主主義は不可欠である。われわれとしてはグレナダ国民が自らの政府を選択する機会を確保する必要があると考えており,このため,閣僚を多数殺害した者を隔離する必要がある。われわれとしては同国における民主体制を回復する目的のみをもって(グレナダ人による)暫定政権が樹立され,早急に選挙が行われることを確保したい。