(4)第7回非同盟諸国首脳会議関連文書
(83年3月12日,ニューデリー)
(イ)政治宣言(抜粋)
(イ)非同盟の原則問題
1961年にカイロ準備会議で定められ,ベオグラードの第1回非同盟首脳会議で採択された,非同盟運動の参加基準を再確認し,その遵守を要請する。ベオグラード・カイロ,ルサカ,アルジェ・コロンボ,ハヴァナの各首脳会議で定義された,非同盟政策と非同盟運動の原則と目的に対する誓約と遵守を再確認する。
(ロ)東南アジア(カンボディア問題)
東南アジア地域の紛争と緊張の継続を憂慮する。カンボディア及びその周辺での緊張がさらに拡大する危険な状態にあると警告する。全ての外国軍隊が撤退し,そしてカンボディアも含む全域内国の主権,独立及び領土保全が確保されるような包括的政治解決を通じてかかる緊張が緊急に緩和されるべきである。
カンボディア国民が外国からの干渉,破壊及び強制を受けることなく自らの運命を決定する権利を有していることを再確認する。全域内諸国が対話を開始し,意見の相違を解決し域内の恒久的平和と安定を確立すると共に,域外勢力の介入及び干渉の脅威が排除されるようにすべきである。これに関連し,同地域に平和・自由・中立地帯を早期に確立するための努力を認め,全ての国が全面的支持を与えるよう要請する。
(ハ)南西アジア(アフガニスタン問題)
外国軍隊の撤退及びアフガニスタンの独立,主権,領土保全,非同盟加盟国としての地位に対する十分な尊重,並びに不介入,不干渉の原則の厳守を基礎とする政治的解決が緊要である。アフガン難民が安全にかつ誇りをもって帰国する権利を有していることを再確認し,その人道的早期解決を要求する。アフガン国民が外部からの干渉なしに自らの運命を決定できるような解決に向け全当事者が努力することを要請する。
アフガン情勢の政治的解決を求める誠実な努力を評価するとともに国連事務総長によってとられている建設的な措置を支持する。同事務総長の仲介による話し合いの方向は正しいものであり,今後ともこの話し合いが非同盟運動の理念及び諸原則に従って継続されるよう勧告する。
(ニ)朝鮮問題
1972年7月4日の南北共同声明に語われていた自主,平和的統一及び民族大同団結の3原則に従って,祖国を平和的に統一したいという朝鮮人民の願望及びすべての外国の干渉なしに同目的を達成しようとする努力に対し支持することを再確認する。朝鮮人民の平和的再統一への願望が同地域から全ての外国軍隊の撤退により促進されることを希望する。
(ホ)次期開催国問題
1979年ハヴァナの第6回非同盟首脳会議で,イラクによる第7回首脳会議主催の申し出が受入れられたことを想起するとともに,イラクが非同盟運動の統一のために,その申し出を第8回首脳会議に延期するという建設的な態度を多とした。加盟国の圧倒的多数が第8回首脳会議のイラクでの開催に賛意を表したことに留意した。一方イラクは,非同盟運動の利益及び第7回首脳会議の開催地の変更がそれにより望ましいこととなった事情が依然として存在していることを考慮して,第8回首脳会議の開催地については遅くとも1985年末までに開催される外相会議の最終決定を受け入れるとの決意を表明した。参加非同盟諸国は,これに同意した。
(ロ)ニューデリー・メッセージ(要旨)
1.世界は,不安定及び不穏にゆれている。国際経済関係は,今後とも不平等,支配及び搾取により特徴づけられよう。大国間の軍備競争の激化,弱者の現状変革の試みに対する強者の妨害,地域紛争に対する大国の介入及び世界的規模の核戦争の脅威という状況の深刻さは明らかである。
2.非同盟諸国首脳は,大国に対して軍備競争の停止を訴える。軍備競争により地球上の希少な資源が浪費され,環境のバランスが崩され,科学技術が破壊目的のために浪費されている。軍縮により節約される資源が途上国の開発促進に振り向けられるべきである。
非同盟諸国は,核兵器大国に対し,核戦争防止への緊急かつ現実的な措置の実施,核兵器の使用及びそれの威嚇を禁止する国際約束の締結,これ以上の核兵器の製造及び配備の中止,軍備制限諸条約の遵守及び核軍縮を含む完全軍縮に向けての交渉の実現を要請する。
3.世界的経済危機にあって,多数の途上国が,莫大な国際収支赤字,債務累積及び交易条件の悪化に苦しんでいる。
今日ほど,先進国経済と開発途上国経済間の関係が緊密化している時はないが,先進諸国は「北」の経済再生が「南」の経済的生存なくしてあり得ないことを認めようとしない。現在の危機は,現存の国際経済体制が経済発展の問題に対処する上で不適当であることを示している。かかる体制の徹底的な改革が必要であり,GNが遅滞なく開始されなくてはならない。
あわせて,世界景気回復及び世界経済の持続的成長への復帰のために緊急措置をとることが必要である。途上国の国際収支問題の解決,食糧及びエネルギーの基本的ニーズの確保,並びに途上国産品の市場へのアクセス拡大及び一次産品の公正な価格の確保のため緊急措置がとられなくてはならない。
我々は,すべての国の参加を得て,国際通貨金融体制の包括的改革を目的とする,開発のための通貨金融に関する国際会議の即時開催を提案する。
4.大国間の緊張及び衝突並びにこれらが非同盟諸国に及ぼす悪影響について深く憂慮する。弱小国に対する大国の経済的,政治的圧力に対し断固として抵抗する。
パレスチナ問題,ナミビア問題,中米問題等は,東南アジア,南西アジア,インド洋,地中海その他の地域の諸問題とともに,緊急を要する政治問題であり,全世界の国々が解決のため努力すべきである。また南部アフリカの人種差別問題に対しても,アフリカ人民との連帯を確認するとともに,理解を寄せる大国に対しても協力を要請する。
5.第38回国連総会においてこれらの問題を主張する方針であり,世界の全ての国の首脳が同総会に出席することを要請する。超大国が相互信頼の精神に基づき,軍縮問題の解決及び経済危機克服のため,前向きに交渉するよう呼びかける。