(4)大韓航空機撃墜事件に関する国会決議
(イ)衆議院における決議(83年9月12日)
9月1日未明,邦人28名を含む269名の乗客・乗員を乗せた大韓航空機がソ連軍用機のミサイルにより撃墜されたことは,いかなる理由があったにもせよ国際航空慣行・国際法を無視した非人道的行為であり,国際民間航空の安全確保からも断じて許し得ざる蛮行である。
本院は,この事件の犠牲者に対し深甚なる哀悼の意を表明するものである。
この事件に最大の責任を有するソ連当局が撃墜の事実関係について未だに納得のいく説明を行わず,犠牲者関係国の遺体捜索活動にも協力を拒んでいることは,誠に遺憾である。
よって政府は,人道上の見地から関係諸国と協力しつつ,速やかに次の事項について適切厳正な措置を講ずべきである。
1.国際機関等による事故調査団の派遣などあらゆる方途により,大韓航空機が領空侵犯をするに至った原因を含め事件の真相究明に努め,可及的速やかに事件の全貌を明らかにすること。
2.ソ連政府の公式の謝罪と,この種の事件再発防止についての保障措置を求めること。
3.ソ連政府に対し,ソ連領海における関係国の捜索の許可と,その活動に対する協力を求めること。
4.犠牲者の補償については,大韓航空並びにソ連政府に対し十分な措置を講ずるよう求めること。
5.今後かかる事件の再発を防止し,民間航空の安全を確保するため,関係国と協議しつつ,国際機関等において適切な措置が講ぜられるよう努めること。
6.今回の事件の背景が国際的軍事緊張にあるにかんがみ,国際緊張緩和と軍備縮減について最大の努力を行うこと。
右決議する。
(ロ)参議院における決議(83年9月13日)
9月1日未明,邦人28名を含む269名の乗客・乗員を乗せた大韓航空機がソ連軍用機により撃墜された事件は極めて重大であり,本院はかかる事件の発生を深く遺憾とし,この事件の犠牲者に深甚なる哀悼の意を表するものである。
いかなる理由があるにせよ,非武装かつ無抵抗の民間航空機を撃墜することは人道と国際法に反するのみならず,国際民間航空の安全確保の観点からも許されざる行為であり,強く非難さるべきである。
それにもかかわらず,この事件に最大の責任を有するソ連政府が,事実関係についていまだ納得のいく説明を行わず,また,関係国による捜索活動への協力を拒んでいる態度は誠に遺憾である。
よって政府は,関係各国との緊密な協力のもとに,次の事項について適切な措置を講ずべきである。
1.あらゆる方途により,事件の真相究明に努め,大韓航空機が領空侵犯をするに至った原因を含めて可及的速やかに全貌を明らかにすること。
2.ソ連政府に対し,ソ連領海における関係国の捜索を許可し,捜索活動に協力するよう求めること。
3.ソ連政府に対し,自国の責任を明確にし,公式の謝罪とこの種の事件の再発防止について保障措置を求めること。
4.犠牲者の補償については,ソ連政府並びに大韓航空に対し十分な措置を講ずるよう求めること。
5.事件の再発を防止し,国際民間航空の安全を確保するため,国際機関等において適切な措置が講ぜられるよう努めること。
6.今回の事件の背景に国際的軍事緊張があることにかんがみ,国際緊急緩和のために最大の努力を払うこと。
右決議する。