(14)国際捕鯨委員会第34回年次会議における3年後の商業捕鯨禁止決定に対する異議申立てについての櫻内外務大臣談話

(1982年11月2日)

1.本日,我が国は国際捕鯨委員会が去る7月の年次会議で決定した「3年後に商業捕鯨を一律禁止」する旨の付表修正に対し,条約の規定に従い異議申立てを行うことを決定した。この異議申立ては近く,英国にある委員会事務局に対し通告される。その結果,右修正は我が国に対しては効力を生じないことになる。

2.我が国による異議申立ての理由は次のとおりである。

(1)個々の鯨資源の状態いかんを問わず商業捕鯨を全面的に禁止することは科学的根拠を欠き条約の目的等と相容れないものである。

(2)鯨が食習慣その他の面で我が国の伝統文化に深く根ざしていること,また,捕鯨業が地域産業として重要な役割を果たしていることを充分考慮していない。

(3)我が国は,今後とも科学的資源評価の推進に努め,IWCにおいて資源の保存と合理的な利用が許容されるよう努める所存である。しかし,3年の間に包括的評価が行われ合理的な結論が出されるか否か現時点で予測できないので,異議を申立てておく必要がある。

3.(1)しかしながら,今回の異議申立ては,我が国が3年後も捕鯨を継続することを決定することを意味するものではなく,いわば立場留保のために行うものであり,今後3年間に委員会において包括的評価が行われ,合理的な結論が得られることを願っている。

(2)また,このために米国等捕鯨問題に強い関心を有する国々とは,今後とも密接な対話を重ね意志の疎通をはかっていく所存である。

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