(4)第2回国際連合軍縮特別総会に関する国会決議
(1982年5月27日衆議院,同28日参議院)
核軍縮を中心とする世界の軍縮の促進は,恒久の平和を願い非核三原則を国是として堅持する我が国国民の一致した願望であり,真の平和と安全を希求する諸国民の共通した念願でもある。
かかる諸国民の共通の悲願にもかかわらず,現下の国際情勢は極めて厳しく,核兵器,通常兵器の区別なく果てしない軍備拡張が行われ,特に,限定・全面核戦争を問わず,核兵器は人類の生存に最も深刻な脅威を与えており,広島,長崎の惨禍が再び繰り返されないよう,核兵器の廃絶を求める声が近時世界各地に急速に広がっている。
このような国際情勢の中で,本年6月第2回国際連合軍縮特別総会が開催され世界的規模で軍縮問題が討議されることは,誠に意義深いものがある。
この際,本院は,この総会において軍縮を一層促進させるため,政府が左の事項につき誠実に努力するよう要請する。
1.人類共通の崇高な目標である世界の恒久平和と安全に到達するため,被爆国日本国民の悲願である核兵器の廃絶を求め,すべての核兵器保有国に対し全面完全軍縮の一環として,核兵器の製造,実験,貯蔵,使用の禁止を目指し,特に,核兵器が2度と使われることのないよう実効ある国際的措置をとることを強く訴えること。
2.核兵器拡散防止の緊要性にかんがみ,中国,フランスをはじめとする核兵器不拡散条約未加盟国に対し,同条約への加盟を強く訴えること。
3.米ソをはじめとするすべての核兵器国に対し,核軍縮を軍縮分野の最優先課題とし,地下核実験を含む核実験全面禁止条約の早期実現を強く訴えるとともに,部分核実験禁止条約未加盟国に対し,同条約への加盟を訴えること。
4.非核武装地帯構想が,世界の平和,維持に重要な意義を有していることにかんがみ,適切な条件の整っている地域から漸次世界の各地域に非核武装地帯の設置が実現するよう国際的努力をするとともに,同地帯に核保有国による核攻撃が行われない保証を取り付けること。
5.国際人道法に反する化学兵器等の使用,開発,生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄のための国際条約が早期に実現するよう強く訴えること。
6.際限のない軍備の増強は,現在の国際社会が看過し得ない問題であるため,通常兵器の国際移転の規制,軍備費の削減の必要性を各国に強く訴えるとともに,その結果生じた余力を開発援助を含め広く世界の経済的社会的発展に活用するよう強く訴えること。
右決議する。