(3)フォークランド紛争に関する我が国の立場
(国会における櫻内外務大臣答弁)
(1982年4月19日)
1.我が国としては,アルゼンティンによる武力行使は,国連憲章の基本的原則に反し,我が国の基本的外交方針とも相容れないもので遺憾であり,アルゼンティン軍は速やかに撤退すべきであると考えている。
また,本件紛争が外交交渉によって平和的に解決されることを希望している。
かかる基本的立場に基づき,我が国は英国提案の国連安保理決議案に賛成し,また,当面ヘイグ長官が現在行っている仲介努力に期待して,英・ア両国に対し,同長官の仲介努力に積極的に対応するよう要望している。
また,アルゼンティン側に対しては,4月12日に駐日アルゼンティン大使を招致し,外務大臣より申入れを行った際,現在の危機が長引く場合には,日・ア両国間の関係,特に経済面における円滑な関係の発展が妨げられるおそれがある旨を指摘した。
2.なお,本問題に対する具体的な対応に当たって,我が国として考慮すべき要因としては,第1に4月3日に採択された安保理決議の履行を確保するための手段は,第一義的には国連の枠内で求められるべきこと,第2に国連の枠外における我が国の努力は,我が国の現存の国際義務に合致する形で行われるべきこと,そして第3にそれらの努力は,自由と民主主義に関しての信条を同じくする西側先進諸国との間の協調及び中南米諸国との間の一貫した友好関係に配慮しつつ,自由民主主義陣営全体の長期的利益に関する我が国なりの判断に基づき行われることである。
3.政府としては,国連安全保障理事会の決議に従い,アルゼンティン軍の撤退が速やかに実現し,本件紛争が平和的に解決されるよう,以上述べたごとき考慮に則って,今後とも外交的努力を続ける所存である。
4.以上のような我が国の立場は,国連憲章その他の国際法規に則った公正なものであり,国際的な理解をも得られるものと確信している。