(5) 第1回湾岸協力理事会首脳会議声明(要旨)
(1981年5月26日,アブダビ)
(1) ア首連大統領の招請により1981年5月25,26日アブダビにおいて,ア首連,バハレーン,サウディ・アラビア,オマーン,カタル,クウェイトの6カ国元首は会合をもち,これら諸国間の協力の重要性に鑑み,当該諸国民の協力促進の熱望に応えて,更に本年2月のリヤド及び3月のマスカットの両外相会議に基づき「湾岸アラブ諸国協力評議会」なる名称の理事会設立に合意し,同理事会規約に署名した。
同理事会は,当該諸国間の協力促進,協調,統合,連帯の実現,各分野での紐帯の強化,共同プロジェクトの設立,経済,文化,情報,社会,司法等の各分野で共通の制度の設置等を目的とする。
(2) 協力理事会事務総長としてアブドッラー・ヤコブ・ビンヤーラ氏の任命及び常設本部のリヤド設置を決定した。
(3) 当該諸国にとって,経済的,社会的体制の共通性に加え,現下の情勢及び類似の諸問題は,当該諸国及び国民間での経済的,社会的統合をもたらす機関を設立する必要があるとの意見で一致した。理事会規約第4条に従いこれらの目的を実現する為,最高理事会によって承認された付属ワーキング・ペーパーにて詳述される特別委員会を設置することを決定した。
(4) 当該地域の現状をレヴューし,当該地域の安全及び安定は当該地域の諸国及び諸国民の責務であることを再確認した。本理事会は,当該諸国の安全を守り,独立を維持する意思及び権利を表明すると共に当該地域における如何なる外国の干渉をも全面的に拒否することを確認した。また,当該諸国及び世界の利益の為の当該地域を国際紛争,特に軍艦,外国基地から遠ざけておく必要性を求めた。
(5) 湾岸の安定の維持は中東和平の実現と結び付くものであり,右はパレスチナ問題につき,帰郷及び独立国家の樹立の権利を含むパレスチナ人民の合法的権利を保障し,更に,東ジェルサレムをはじめとする被アラブ全占領地からのイスラエルの撤退を保障する公正な解決が必要である。
(6) アラブ民族に対するシオニストによる侵略のエスカレートがもたらす危険な情勢につき検討し,またイスラエルによるレバノンの主権と独立の侵害の継続,レバノン村落及びパレスチナ・キャンプに対する攻撃,パレスチナ人民に対するせん滅戦,ADFに対する攻撃,シリアに対する脅迫につき討議し,シリアを全面的に支援することを確認した。また,レバノン内の全てのグループが対立を止め流血を回避し,レバノンの合法的枠内で和解交渉を開始する様提唱した。
(7) 当該地域の安全を脅かしているイラク・イラン戦争の停止の為に払われている努力を支持し,紛争の全面的解決を図る為に一層の努力の必要性を確認した。
(8) アラブ連盟憲章,アラブ・サミットの諸決議の履行を確認し,イスラム会議機構(ICO)の支援及び同機構の諸決議の履行を再確認し,また,非同盟の諸原則及び国連憲章の遵守を表明した。
(9) ハーリド・サウディ国王の招請により,第2回会議を1981年11月前半にリヤドで開催することを決定した。