(4) ミッテラン=フランス大統領の就任演説(要旨)

(1981年5月21日,パリ)

人民戦線,対独解放戦争に次いで,三たび民主的に選ばれたフランスの政治的多数派が,その社会的多数派と一致した今日,私はジャン・ジョーレスの忠実な弟子として,200年にわたる戦争と平和の期間を通じて,その汗と血でフランスの歴史を築いてきた無数のフランス人民の名において語りたい。

私にとって重要なことは,敵を打ち負かすことではなく,納得させることである。

1981年5月10日の勝利者はただ1人,それは希望である。国民がその希望をよりよく共有せんがため,私は,複数主義の道,相手への尊敬を忘れることなく相異なる立場に立向っていく道を,たゆむことなく歩むだろう。

全フランス人の大統領として,私は,我々を待ち受ける大義のために全国民を団結させ,いかなる条件下にあっても,真の国民的共同体を創りあげたいと願う。

絶えざる緊張と利害対立のうずまく世界にあって,地球上の人口の3分の2が飢餓と侮蔑の中に生きている限りは,真の国際共同体は存在しないことをフランスは力説しなければならない。公正で連帯感に満ちたフランスが,すべての国と平和に生きようと努めれば,人間性発展の道を照らすことができる。そのためにはフランスはまず自分自身の力に頼らなければならない。

私は,国家に奉仕することを選んだすべての人々の知性,経験,そして献身に期待する。すべてのフランス人男女に私は呼びかける。未来を信頼しようではないか。共和国万歳,フランス万歳。

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