(16) ポーランド情勢に関する我が国の対応についての官房長官談話

(1982年2月23日)

1. 我が国は,昨年12月のポーランドにおける戒厳令の布告とそれ以降の事態は,国際情勢に重大な影響を及ぼしうるものであるとの観点より,ポーランドに対しては,現下の異常な事態の早期解消を累次にわたり求め,ソ連に対してはその責任を指摘し,自制を求めてきたところである。

しかしながら,ポーランドをめぐるその後の事態は依然として改善をみるに至っていない。

政府としては,かかる状況に鑑み,ポーランド問題に対処して行くに当っては,西側諸国の結束と協調が重要との認識に立ちつつ,ポーランド及びソ連に対し,今般,次のような措置をとることとした。

2. ポーランドとの関係においては次の措置をとることとした。

(1) 本年に支払期限が到来する公的債務の支払の繰延に関する交渉は当面見合わせる。

(2) 新規の公的信用供与の検討は当面見合わせる。

(3) 我が国在ポーランド大使館館員に現在課されている諸制限に対応するため,2月18日より在日ポーランド大使館館員に所要の旅行制限を実施した。

なお,既にポーランドに約束済みの経済的支援は継続するとともに,ポーランド国民に対する人道的支援は必要に応じ実施することとしており,今般,50万ドルを国際赤十字委員会の対ポーランド人救済事業に拠出したところである。

3. ソ連との関係においては,次の措置をとることとした。

(1) 日ソ科学技術協力協定に基づく科学技術協力委員会の開催には当面応じない。

(2) 日ソ貿易年次協議の開催には当面応じない。

(3) 在日通商代表部等の拡充については当面検討しない。

(4) ソ連買付ミッションの本邦在留期間(本年末までの期間)の延長については,今後のポーランド情勢をみながら慎重に検討する。

なお,アフガン情勢との関連で,我が国が従来とっている措置については従来どおりの基本方針を維持する。

4. 政府としては,他の西側諸国のとる措置を損うことのないよう配慮して行く考えである。

5. さらに政府としては,国連等種々の国際機関においても他の西側諸国と協調しつつ適切な行動をとって行く考えである。

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