(9) 第55回OPEC総会プレス・リリース(仮訳)
(1979年12月20日,カラカス)
第55回OPEC総会は,1979年12月17日から20日までヴェネズエラのカラカスに於て開催された。ヴェネズエラ共和国大統領ルイス・エレラ・カムピソス博士閣下が開会の挨拶を行い正式に総会を開会した。
総会は全会一致でヴェネズエラ石油鉱山大臣であり同国代表団首席代表であるフンべルト・カルディロン・ベルディ博士閣下を議長に選出した。またアルジェリア・エネルギー・石油化学工業大臣であり同国代表団首席代表であるベルカセム・ナビ閣下が副議長に選出された。
総会は第2回OPEC首脳会議をOPEC設立20周年に当る1980年にバグダッドに於て開催するとの招請をイラク共和国大統領が他のOPEC加盟国の君主及び元首に対して行つたことを謝意をもつて受止めた。
総会に於る議論は第三世界の諸国の団結を強める手段としての,経済協力及び開発の分野に於る他の開発途上国との協力措置に集中した。総会はこの目的の為にOPEC加盟国政府に対し,1979年ジュネーヴに於て既に合意された8億ドルに加えOPEC特別基金に対し16億ドルまでの金額を追加するよう勧告することを決定した。これら拠出の合計額24億ドルにより創設以来OPEC特別基金に与えられた基金総額は40億ドルになるが,これは財政援助の為のより恒久的な機構が設立されるまでの他の開発途上国への経過的かつ緊急の財政援助措置と見なされよう。この関連で総会はOPEC特別基金を独自の法人格を有する開発機構に改組することに原則として合意した。この関連でアルジェリア及びヴェネズエラ提案は,ジュネーヴで開催された第54回総会に提出されたイラク提案とともに検討のために長期戦略委員会に付託され,これらの提案の実施に関する最終勧告は可能な限り早期に開催される臨時総会に提出される。
更にまた総会は他の開発途上国がその国内需要を充足するための石油供給をOPEC加盟国の公式価格で確保することに優先度を与えることを決定するとともに,これら諸国がOPECの公式価格を越える価格を適用されることがないことを期すとの約束を再確認した。
総会は市場の動向と石油価格とを取扱つた経済委員会第50回会合の報告書を検討したが,何ら決定を行わなかつた。しかしながら加盟国が採用した価格に関する種々の立場を見直すための臨時総会が開催されよう。
OPEC通信社の設立に関する加盟国専門家による委員会の報告についても検討が行われた。総会はこの関連で事務局内に特別のグループを発足させることを決定し,また通信社が1980年の出来る限り早い時期に活動を開始できるようその設立を促進するよう事務局に対し指示した。
OPEC加盟国はより低いエネルギー価格の恩恵を受けることによつてその国民のために直接的な経済的利益を引出す権利を与えられているという事実を認識する一方,総会はOPEC諸国の石油製品の国内市場に関する現下の情勢及び増加する国内消費量に関して懸念を表明した。この点に関して総会は,全ての加盟国が枯渇する石油資源が増々希少化しつつあることを考慮した国内エネルギー政策を採用する必要があることにつき合意した。特に総会は全ての加盟国が石油資源の温存を助長し,更にエネルギーの国内消費合理化を促進するような国内の石油価格設定の仕組みを採用することを強く要請する。
総会は1980年のOPECの予算を承認した。
総会はヴェネズエラのホセ・マヌエル・ティネロを1980年の理事会議長に選出し,エクアドルの理事マウロ・ダバロス・コルデロを1980年の理事会副議長に選出した。
総会はヴェネズエラ共和国大統領閣下,政府及び国民に対し,その暖い歓迎と総会のための周到な準備につき深甚なる謝意を表明した。
総会は加盟国による批准後1980年1月20日に公表される諸決議を採択した。
次回通常総会は1980年6月9日アルジェに於て開催される。