(4) 第54回OPEC総会プレス・リリース(仮訳)

(1979年6月28日,ジュネーヴ)

第54回OPEC総会は,1979年6月26日より28日までスイスのジュネーヴにおいて開催された。

総会は全会一致で,アラブ首長国連邦石油鉱物資源大臣であり,同国代表団長であるマナ・サイード・アル・オタイノバ博士閣下を議長に再選した。またインドネシア鉱山・エネルギー大臣であり同国代表団長であるスボルト博士閣下が副議長に選出された。

総会は,特に先進工業国側に第三世界の問題に対する責任を十分に果す用意が依然として欠如していることにかんがみ,開発途上国の直面している諸問題に関心を表明した。OPEC加盟国側は従来より第三世界との間に強い連帯を示し,幾多の方法で他の開発途上国の諸問題を軽減することに貢献した。OPEC加盟国は,他の第三世界諸国に対する援助増加につき合意することにより,再びこれら諸国との不変の連帯に従い行動する。加盟国政府に対し,OPEC特別基金に8億ドルの追加額を補填するよう勧告することが合意された。この関連で総会はまた,開発途上国に対し,一方において輸入されたインフレ,他方において原油価格の上昇を補償するために先進工業国及びOPEC加盟

国が長期基金を共同で設置するとの提案を検討し,また本問題の一層の検討を長期戦略閣僚委員会に付託することを決定した。

総会はこの機会に先進工業国が,第三世界の諸問題に関し,国際経済秩序の再編とともに無償援助,援助及びその他の財政援助の面で,より積極的な姿勢をとり開発途上国が抱える諸問題の解決についてより良い可能性を得られるよう要請する。

総会は,OPECがその不可分の一体を成す途上国の関心事項を含めエネルギー問題につき引き続き話し合う意思を表明した。総会は,OPEC及び先進工業国間の対話についての提案に留意した。しかしこれらの提案の中には,意義ある対話は他の全体的な,経済的,制度的問題と切り離してエネルギー問題についてのみ可能である旨示唆したものも存在する。総会は,この機会を利用して改めて世界,特に途上国が直面している種々の問題に立ち入らず,エネルギー問題の種々の側面と共に開発,先進技術の取得,財政・金融制度の改革,世界貿易及び一次産品の諸問題を考慮に入れないような対話は断固拒否する旨再び声明する。

総会は,加盟各国が独自にあるいは共同で他の開発途上国に対する協力を行つた努力を認識し本機構とその加盟国に関する一般的関心事項のニュースとともに加盟国のかかる努力の真の範囲とその大きさにつき世界の他の諸国に通報する必要性を認め,かつ若干のOPEC誹謗者による情報の操作に対抗するため,国際的通信社即ちOPECNEWSを設立するとの構想に原則的支持を与えた。この目的のため,本問題は加盟国の専門家委員会に付託され,本件構想実施のための最も有効な措置を検討し,理事会を通じその報告書を総会に提出することが決定された。

総会は,国際石油市場における異常な事態が継続していることに多大な関心を表明した。需要が引続き価格体系に対するプレッシャーの源となつており,生産国及び消費国,特に途上国に対する困難を惹起する若干の現象を生み出している。総会は,主要先進工業消費国に対し,現在の市場状況に伴なう影響を回避するため,消費や備蓄積み増しの如何を問わず総需要を抑制するよう再び呼びかける。総会はまたこの機会に,現状を利用して不当な利益を得ようとする石油企業の無責任な行為に対し警告を発すると共に,これら企業が途上国への供給を保証するため,より建設的役割を果しかつ価格のスペキュレーションを防ぐことを要求する。

市場に一定の安定をもたらす努力の中で,総会は次のとおり決定した。

1. 標準油種価格を現行水準からバレル当り18米ドルヘと調整する。

2. 加盟国は,市場プレミアムが市場情勢により必要となつた場合には通常の油種間価格差に加えてバレル当り2ドルを上限とする市場プレミアムを原油価格に付すことができる。

3. 加盟国が課することのできる上限価格は油質,地域的優位性あるいは市場プレミアムの如何を問わずバレル当り23.50米ドルを越えてはならない。

加盟国は現在の価格スパイラルを止めるため共同で努力し,スポット市場における取引を制限するための手段を講ずることにも合意した。

総会は石油の実質価格を目減りさせOPECのバレル当りの購売力を一層減少させることにかんがみ,主要な国際通貨に対する米ドルの動きに懸念を表明した。総会はまた,かかる動きが,OPECの収入の実質価値を更に損うことを示すことになれば,米ドルの変動から生ずる損失をOPEC諸国に対し補償する手段として通貨のバスケット方式への切り替えをきめ,これら収入の購買力を一層保全することを決定した。

総会はスイス連邦共和国及びスイス政府ならびにジュネーヴ州に対して,そのあたたかい歓迎待と総会のための周到な準備につき深甚なる謝意を表明した。

総会は加盟国による批准後1979年7月28日に公表される諸決議を採択した。

次回通常総会は1979年12月17日月曜日にヴェネズエラのカラカスにおいて開催される。

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