(2) 第53回OPEC(臨時)総会コミュニケ(仮訳)
(1979年3月27日,ジュネーヴ)
OPEC加盟国首席代表による協議会が1979年3月26日より27日までスイスのジュネーヴにおいて開催された。現下の情勢に鑑み,また石油産業において生じている重大な展開のためこの会合を臨時総会に切り換えることが全会一致で決定された。
第52回総会の議長で,アラブ首長国連邦石油鉱物資源大臣であるマナ・サイード・アル・オタイバ博士閣下が議長をつとめた。
総会は,最近の国際石油市場の動向を検討し,産油国及び消費国の双方の利益,就中,開発途上国の利益につき,深い関心を表明した。総会は,これら諸国の石油供給に関してであれ,または石油会社及び商社によりこれら諸国が課されている法外な高価格に関してであれ,これら後者のグループの諸国により経験されている諸困難を分析した。
総会は,開発途上国の必要を保障するためにとられ得る措置並びにこれら諸国に課される価格がOPEC加盟国により設定された価格と確実に一致するような手段を検討した。全ての加盟国は,石油採掘会社を指導して開発途上国に対する供給量を保障し,かつ石油採掘会社がこの合意を確実に厳守するような措置をとることに合意をみた。
総会はまた,開発途上国に対して加盟国により決定された価格を上回るいかなる課徴金も課されないことを保障するため,採掘会社が開発途上国に適用する価格を継続的にモニターすることを合意した。
総会は,現下の市場情勢及びOPECの価格構造の推移を検討し,OPEC価格により是認されない正当化出来ない不当利潤を収めることにより生産国,消費国双方に害を及ぼすメジャー及び石油貿易業者による市場における投機的価格操作につき強い懸念を表明した。総会は更に市場の状況を制御するために先進工業国がとるべき必要な措置の欠如につき深い関心を表明した。
市場の通常の価格とOPECの公式販売価格との間に目下のところ存在する大幅なギャップにもかかわらず,総会は,1978年12月のアブダビの第52回総会で決定された1979年第4・四半期の価格調整を繰り上げ,1979年4月1日から適用することにより極めて妥当かつ穏当な価格調整を行うことを決定した。この調整の基準原油への適用により基準原油の価格は1979年4月1日から14,546米ドルとなる。右調整とは別に,各加盟国は各々の事情に照らして正当化されると考えられる価格プレミアムをその価格に上乗せすることを認められる。
上記の穏当な調整は,世界経済の安定的かつ持続的成長のための適切な条件の維持を助長するというOPEC加盟国の責任を確認する意図で行われた。
同時に総会は全ての消費国に対して,石油会社がOPEC加盟国によつて決定された価格を上回る価格を課することを防ぐような措置をとるよう求める。
総会はスイス連邦共和国及びスイス政府並びにジュネーヴ州に対して,その暖かい歓待と総会のための周到な準備につき深甚なる謝意を表明した。