(5) 第18回OECD閣僚理事会コミュニケ(仮訳)
(1979年6月14日,パリ)
1. 経済協力開発機構(OECD)の閣僚理事会は,1979年6月13日,14日の両日,オーストリア副首相兼蔵相ハンス・アンドロシュ博士の議長の下で開催された。
2. 再燃したインフレ及び不確実なエネルギー供給は,OECD諸国において持続的経済成長及び雇用増大を達成するうえでの主要な障害となつている。経済政策及びエネルギー政策は,先進国及び開発途上国の双方にとつて深刻な結果を回避するためには,これらに対応しなければならない。加盟国が共同に行動すれば,必要とされる困難な決定を下すことはより容易となろう。
3. 従つて閣僚は,加盟国間の一層の団結の必要性につき合意した。閣僚は,昨年採択された協調的行動のプログラムを経済及びエネルギーの現況に照して修正した上でこれを継続させ,また,中期に亘る政策のためのいくつかの行動指針につき合意した。
閣僚は,UNCTADVの結果を検討し,開発途上国との建設的な協力に対するコミットメントを再確認した。
1 持続的経済成長に対する障害の克服
4. 昨年採択された国際的な協調的行動のプログラムは,国際的により均衡のとれた経済成長,国際収支不均衡の縮小及び為替レートのより一層の安定について積極的な成果をもたらした。
次の諸点には,勇気づけられる。
―いくつかの国は,インフレを1960年代の水準にまで引下げることに成功した。
―設備稼動率が上昇し,収益率が改善したところでは生産的投資が回復した。
需要管理政策及び為替レートが正しい方向に働いているところでは,国際収支不均衡は著しく縮小した。
5. 他方
―いくつかの国では,石油価格の急騰以前において,既にインフレ率の基調が再び上昇し始めていた。
失業は,大多数の加盟国において,依然として受け入れがたい程の高い状態にある。
短期及び中期のエネルギー情勢において悪化への重大な変化がみられた。
―低成長及び高失業の下では,あらゆる形態の保護主義が増大する危険が常にある。
6. インフレーション閣僚は,より高い成長及びより多くの雇用にとつての,もつとも頑固な障害は,多くの加盟国において継続している高いインフレ率及びそれが加速するかもしれないという危険性であることに意見の一致を見た。インフレは不確実性をもたらし,投資を抑制することによつて成長を直接的に阻害し,また,政府をして抑制的な需要管理政策を追求せしめることになるかも知れない。
7. エネルギー閣僚は,エネルギー情勢の経済的意味合いを検討した。閣僚は,5月21日,22日の両日に開催されたIEA閣僚理事会の結果に留意した。石油消費国と生産国双方による責任ある政策がなければ,今やエネルギー情勢が世界経済に深刻な打撃を与えるという真の危険が存在している。
8. 世界の石油市場における均衡を回復するための効果的な行動がなければ,石油価格の上昇は,1974~75年におけると同様に,インフレに帰因した新たな景気後退を引き起こしうる。エネルギー消費の伸びを早急に引き下げるために必要とされる諸措置の多くは,苦痛を伴うかも知れないが,これらの措置が成功しなければ,より低い成長とより高い失業を導くインフレの昂進という不可避の結果をもたらし,これはより多くの悪影響をもたらすとともに,社会的に有害であろう。
9. 輸入石油の価格上昇によつて引き起こされる実質所得の減少をのがれることはできない。貨幣所得の補償的な引き上げ要求は,インフレを昂進させ,失業を増大させることにより,事態を悪化させるだけである。
10. 国際収支の不均衡OECD域内における国際収支の不均衡を縮小することにつき歓迎すべき進展があつたが,かかる不均衡は各国の競争ポジションの強弱によつて再現し,再び成長に対する制約要因となる可能性がある。
11. より高い石油輸入支払い代金は,石油輸入国の経常収支の状況を不可避的に悪化せしめるであろう。既存の金融機構は殆んどの場合,より大きな経常赤字に対応すべく,充分な金融を供与することが可能であるようにみえるが,その結果生ずる債務の増加は,石油輸入国,特にその中の開発途上国にとつて懸念されるべきことである。
閣僚は,現下の状況においては,スポット市場に大きく依存している諸国が特別の困難に直面するかも知れないことに留意した。
政策的対応
12. 閣僚は,経済政策とエネルギー政策が不可分になつたことを認識した。閣僚は,時間の経過とともに,経済成長に対するエネルギー及びインフレの制約を著しく軽減させ,かつ,持続的な経済的,社会的前進を可能にしうる諸政策の組合せが存在することを確信している。このため閣僚は,政策に関する次の行動指針につき合意した。
今後12-18ヵ月のための政策
13. 閣僚は以下に合意した。
(i) 昨年の協調的行動のプログラムにおける需要管理の要素は,特に次の点に重点を置いて,継続される。
―米国においては,インフレ率の重要な低下を達成するために冷却期間が必要なこと。
―他のOECD地域においては,全体として国内需要の伸びの顕著な停滞を避けることが望ましいこと,及び,ドイツ,日本,スイス,ベルギー,オランダ及びオーストリアが,国により程度の差はあるが,この点に関して果し得る役割。
―その他ほとんどすべての国については,インフレ及び,いくつかの場合には,最近の石油価格上昇以前から存在する対外赤字を縮小するために,慎重な需要管理政策を追求することが必要なこと。
(ii) しかし,この目的のためには,加盟国の世界市場における石油需要を約200万バーレル/日削減するという種々の場で合意されたコミットメントを実施するため,エネルギー消費を削減するか,またはエネルギー生産を増加するか,あるいは双方を行うか,という有効な行動が不可欠である。石油市場の運用に関する現在の認識の程度は不充分であり,改善されるべきものである。
(iii) 上昇した石油価格は,節約及び代替エネルギー源の開発を奨励するため,適切な方法により,エネルギー消費者に転嫁されるべきである。未だそのようにしていない加盟国は,国内産石油の価格を世界のレベルに可及的速やかに引上げるべきである。
(iv) 石油価格の上昇は,全ての社会的グループについてより高い実質所得の機会を減少させるという事実が受容されるため重要な努力が行われよう。
(v) 緊急の問題として,各国が石油需要の削減に向けて行つた前進についての評価及び,経済政策委員会の指導の下において,エネルギー情勢のマクロ経済上の影響に関しての評価がなされつつある。これらが完了した時,OECDは需要管理政策にとつての意味合いを検討する。もし効果的なエネルギー政策が実施されないままであり,また,石油価格の相当な追加的上昇が生じている場合は,1980年の成長目標は低下させられなければならないであろう。より高い石油価格のより高い貨幣所得への転嫁を抑制することに失敗することもより慎重な需要管理政策を不可避にする可能性がある。
(vi) 緊密な通貨協力は,米国,ドイツ,日本及びスイスの間で合意された取極,欧州通貨制度(EMS)及びIMFを通じての協力を含め継続されよう。
成長に対する中期的制約を克服するための政策
インフレの制約
14. 加盟国間ではインフレなき持続的成長に必要な諸条件の回復を達成した度合いについて差異はあるものの経済パーフォーマンスの改善には,物価安定の目標に対する一貫した,かつ持続的な注意が必要とされる。物価水準に対する国内圧力が減少した諸国は,経済活動を拡大させ,失業を低下させるうえで,より良い立場にある。他の諸国は,よりよき物価の安定の達成に専念しなければならない。これらの諸国はこれに成功するに従い,持続的成長のための条件を形成し,政策はより成長指向的となりうる。
15. よりよき物価パーフォーマンスは,慎重かつ着実な金融・財政政策を必要とする。
予算の赤字は民間部門における過剰貯蓄を超えるべきではない。税及び社会保障費の上昇がインフレ圧力を生じさせたところにおいては,GNPに占める公共支出のシェアを抑制しなければならないであろう。
16. また,よりよき物価パーフォーマンスのためには,生産的投資の収益性を回復し,賃金と物価の悪循環に帰因するインフレ圧力を緩和し,相対価格と賃金構造における必要な変化を円滑化するため,より大きなコンセンサスを追求しかつ,適当な場合には,賃金及び物価決定の行動様式を修正するという一層の努力が必要とされる。
17. 低成長は自律的に永続的なものとなる危険がある。それは投資を抑制し,また政府,産業界及び労働界において,保護主義や衰退しつつある非効率的な活動に対する支援のような防御的態度を助長する。このような対応は,一般的に生産性を損い,またコストを上昇させ入手可能な財の供給を削減することによつて成長に対するインフレの制約を強め為インフレの制約のゆえ不満足な成長パーフォーマンスを更に続ける必要を受容することは,もし政府がそこで生産性を低下させる,あるいは他の方法によりコスト及び物価を引上げる措置により雇用に与える影響を緩和しようと試みるならば,殆んど意味をなさない。
18. 従つて,慎重な需要管理政策は,より低い価格の輸入からの利益を享受し,投資を奨励し,必要な構造調整を助長することによつて,供給面を改善するための行動と,あるいは既にとられた行動の緩和撤廃と組みあわせられるべきである。
19. 従つて,閣僚はOECDによつて最近採択された積極的調整政策に関する特別2カ年計画の重要性を強調した。OECD内の,権限を有する各組織は,構造変化に影響を及ぼす,それぞれの権限分野における諸政策に特別の注意を払うこととなろう。労働力,工業,農業,地域貿易,その他諸政策分野で必要な構造調整を促進,あるいは妨げる諸措置のマクロ経済上の,及び国際的な影響について継続的な検討を行うために,高級事務レベルの特別グループが設置された。
20. 積極的調整は,最も生産的な用途へ向けて労働力及び資本のモービリティーを促進するうえで,可能な限り市場の諸力に依存すべきである。困難に直面している部門あるいは企業を援助する諸措置は,一時的なものであるべきであり,かつ老朽能力を次第に除去し,財政上健全な企業体を再建するための計画の実施の一環として関連付けられるべきである。積極的調整政策は,政府の措置の費用及び便益に関するより良い情報の普及,労使間の適切な協議,競争を維持し独占力を抑制する強力な行動,研究,技術革新及び投資を促進する政策,よく立案された地域政策並びに不必要な規制と報告要求を回避する努力によつて促進されることが可能である。
21. 閣僚は,開放世界貿易体制を堅持すること並びにすべての部門における保護主義に対し戦い続け,同体制の改善に努める決意であることを再確認した。閣僚は,そのため
(i) 多角的貿易交渉の完了を歓迎し,その結果を適時かつ効果的に実施する必要性を強調した。
(ii) 1974年の貿易宣言(「貿易プレッジ」)を更に1年間延長した。
(iii) OECDが今後1年農業貿易問題を検討するために特に努力することに合意した。
22. 閣僚は,改善された市場アクセス及び供給の安全を含め,一次産品市場がよりょく機能することは,消費者及び生産者双方に利益をもたらし,インフレの1つの潜在的要因を減少させることにつき意見の一致を見た。
23. 適当な場合には,特に不利な地位におかれた諸グループにおいて,より多くの雇用を促進するための諸努力を追求することの必要性につき広範な合意があつた。
(i) 若年層及び不利な地位におかれた諸グループの問題を軽減し,また増加しつつある柔軟なパートタイマーの求人に対する需要に応えるため公共及び民間部門におけるセクター毎の雇用慣行を修正する余地がありえよう。OECDは,限界的な雇用に対する補助金並びに社会保険料等の負担の軽減が果しうる役割,また移民政策の雇用に与える影響及び労働市場の効率的機能を更に検討するべきである。
(ii) ワーク・シェアリング取決めの可能性が評価されるべきである。しかし週当り就労日数の短縮化傾向を加速化することにより雇用の増加をはかる試みは,インフレをもたらす結果になる可能性もあり,慎重に検討する必要がある。
(司技能を向上させ,もつて将来の生産性を向上させるとともに,現在の失業の削減も図る手段として,職業訓練及び再訓練の諸計画を拡大する余地がありえよう。
上述のような諸措置は,それらの生産性及びインフレに対し与えうる悪影響を考慮した後に,はじめて実施されるべきである。
エネルギーの制約
24. 強化された政策がなければ,中期のエネルギー供給は適切な経済成長率を支えるには十分ではないであろう。加盟国における異なつた事情を考慮に入れつつ,閣僚は次の緊急な必要性につき合意した。
(i) エネルギーの実質価格の長期的趨勢は,ほぼ確実に上向きであり,かつかかる予測はエネルギー利用者の意識の中にしつかりと植えつけられるべきであるということを認識した,石油及び他のエネルギー源に関する価格及び租税政策。
(ii) 価格政策,自発的計画財政的な奨励及び抑制策並びに必要に応じた強制的統制の適当な組み合わせ,に基づいた節約計画,石炭及びガスの生産,貿易及び利用を増加するための主要な努力,国産石油の生産,法律及び憲法上の規定に妥当な考慮を払いつつ必要な安全措置を備えた原子力の開発を継続すること,新エネルギーの技術及び再生エネルギー源についての主要な研究・開発努力,そして非産油途上国に対しそれらの国のエネルギー源の確認及び開発における援助。
国際収支の制約
25. 成長に対する国際収支上の制約を緩和するため
(i) 対外ポジションの強い諸国は,国内需要の勢いを維持し,赤字諸国は国内インフレの抑制に専念すべきである。また,為替レートは,調整過程においてその適切な役割を演ずるべきである。
(ii) 残存する構造不均衡は,赤字諸国における生産性改善と輸出刺激のための断乎とした政策を要請しておりまた,輸入を奨励して経済成長を主として国内需要に依存するという黒字諸国による政策を要請している。
(iii) しかしながら,なお,経常収支不均衡が重大な場合には黒字諸国は相殺するような持続的な資本流出を確保すべきである。OECDはこれらの問題につき更に注意を払うよう指示された。
II 世界の相互依存及び開発途上国との関係
26. 閣僚は,世界の経済動向が開発途上国との関係に与える意味合いを検討した。
閣僚は,より持続的かつ安定的な世界経済の成長を達成するための不可欠な要素であり,また開発政策にとつてより良い基礎を提供する開発途上国との強化された協力の必要性を再確認した。閣僚は当面の困難な世界的な政策課題に鑑み,開発途上国との改善された協力はより一層の重要性を帯びてきていることを強調した。
27. 閣僚はUNCTADVの結果を討議した。閣僚は,会議の全般的成果は限られたものであつたが,特定の諸分野において貴重な進展があつたと感じた。適切な場において,また,新国際開発戦略の準備において,開発途上国と建設的な協力を続けることは,今や肝要である。
この関連で閣僚はOECD外の工業国を含めすべての国が国際的な開発努力に参加することの重要性に留意した。
28. 閣僚は,8月にウィーンで開催される開発のための国際連合科学技術会議の召集を,特に開発途上国の利益のために有効な国際的科学技術協力を促進する主要な機会として歓迎し,その成功裡の終結を目指し努めることを約した。
29. 閣僚は,双方が重要な関心を有する諸分野における開発途上国との実際的な形の協議及び協力の価値に留意した。OECDがこの点でなしうる貢献について活発な検討が行われるべきである。
貿易及び調整
30. 世界の生産及び貿易の拡大並びにそれらの構造の一層の変化は先進国及び開発途上国の双方において生活水準の向上及び経済的,社会的発展の推進のための不可欠の手段である。
31. 閣僚は一層工業化をはかり,かつ比較優位に則り世界貿易のより大きなシェアを寄与したいという開発途上国の希望を認めた。閣僚は,貿易投資,技術協力等の分野で,この過程において支援する用意がある。
32. 閣僚は,開放的国際貿易体制を維持し,一層改善するために現在講ぜられている一般的措置が,開発途上国との貿易関係に対して有する重要性を強調した。特に,閣僚は,
(i) 生産及び貿易において相互に利益となる構造変化を容易にするための積極的調整政策に関するOECDの新たな特別の2ケ年計画の重要性を強調した。
(ii) 更新された貿易プレッジの開発途上国との貿易における重要性を強調した。
(iii) 多角的貿易交渉の成果を実施し,開発途上国の特別の関心を考慮しつつこれらの成果を積み重ねていく決意を表明した。
33. OECD諸国は,開放的国際経済体制の維持に特別の責任を負つているところ,閣僚は,開発途上国,特に工業化が相対的に進んだ段階に達し,国際市場において効率的に競争する能力を示してきた諸国は,かかる努力の中で次のことにより大きな役割を徐々に果たすべきであると信ずる。すなわち貿易を,同諸国間において及び世界向けにも自由化すること,この分野における国際的な規則をより完全に遵守すること,並びにより一般的には,満足のいく貿易及び支払関係に貢献するよう政策を採用すること。
エネルギー協力
34. 閣僚は,先進国と開発途上国との間の国際エネルギー協力に貢献し,石油輸出開発途上国及び石油輸入開発途上国と相互に関心のあるエネルギー問題を討議する意向を再確認した。閣僚は,世界銀行が石油輸入開発途上国の国内エネルギー生産の強化に資するエネルギー計画を採択したことを歓迎し,他の国際的及び地域的機構による関連した活動に留意した。閣僚は開発途上国のエネルギー資源を確認し,開発するための強化された協力の範囲について,関心を有するこれら諸国とともに検討することの緊急性を強調した。閣僚は,特に来たるべき新・再生可能エネルギーに関する国際連合会議に照らし,開発途上国が再生可能エネルギーに関する技術を実用化することに資するための協調的努力を発展させるために,昨年設置されたOECD理事会作業部会の報告を歓迎した。
一次産品
35. 閣僚は,共通基金交渉の結果に満足の意をもつて留意した。閣僚はこの機構の設立を,個別の商品協定に関する現在の討議及び交渉とともに,積極的な精神をもつて追求することに合意した。閣僚は,開発途上国の開発のニーズ及び優先度に留意しつつ,開発途上国における食糧及び一次産品の生産及び加工を強化するための一層の行動の範囲を検討することに関心を有する旨強調した。
環 境
36. 森林伐採,砂漠化並びに土壌及び水の浸蝕による環境破壊をくい止め,かつ,好転させることは,世界的な関心事であり,国際協力を必要とする。閣僚は,開発途上国がこの目的遂行のために限られた資源しか有しないこと及び国際的支持を必要としていることを認識した。
援助及び金融資源の移転
37. 閣僚は,相当に増大した,かつ安定的な援助,金融及び投資の流れの重要性を強調した。閣僚は,援助の本質的な役割を認識しつつ,政府開発援助について質的に改善され,かつ衡平に負担される,より拡大された集団的努力を要請した。緩和された条件による資金移転は,可能な限り,後発開発途上国及びそれを最も必要とする他の開発途上国に集中されるべきである。
閣僚は,開発援助委員会(DAC)が他の国際的な場における本問題に関する研究にも留意しつつ,新国際開発戦略に積極的に貢献する目的で,債務問題を含む開発途上国の特定の開発問題を反映させつつ,これらの国との資金協力の改善のための範囲について掘り下げた検討を適当なレベルで行うよう要請した。
III 国際投資及び多国籍企業
38. 閣僚は,国際投資及び多国籍企業に関する1976年の諸合意において予定されていた再検討を行つた(注)。閣僚は,多国籍企業の行動指針,外国人に支配されている企業に対する内国民待遇並びに投資の促進要因及び抑制要因の各々に関する1976年に承認された3つの関連した文書が,加盟国政府に対してのみならず,産業界及び労働団体に対して,国際投資及び多国籍企業に関連する事項における国際協力強化の枠組みとしての有効性を示したことに満足の意をもつて留意した。
39. 閣僚は,1976年の宣言に対するその各々の政府の引続いてのコミットメントを確認した。閣僚は,将来における協力の効果を一層強化するための諸措置につき合意した。この関連で,一ヵ所の追加修正がなされた多国籍企業の行動指針に関しては,産業界及び労働界との協議並びに報告についての新たなアレンジメントを通じ国内及び国際的レベルにおいてフォローアップの諸手続きが一層強化,発展されることとなる。閣僚は,また,投資の促進要因及び抑制要因の活用並びにこのような措置の他の諸国に与える国際的影響について行われる新たな作業を承認した。