6. 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)
(1) わが国は,アジア太平洋地域との協力拡充を目指し,第35回総会を始めとする諸会合に参加し,また,ESCAPのほとんどすべての分野にわたる事業活動に,資金拠出又は専門家派遣などによる協力を行つた。
(2) 第35回総会は,79年3月フィリピンのマニラで開催された。同総会の主要テーマは,「1980年代のアジア太平洋地域開発戦略」などであつたが,70年代を回顧し,80年代におけるアジア太平洋地域開発戦略と,それに応じたESCAPの方向付けと組織再編成への全面的検討を開始したものとして特徴付けられる。また開発途上国の中でも後発開発途上国,内陸国及び太平洋地域島興国に対して特別の配慮がなされるべき旨が指摘された。
(3) 79年中に開催された主要な会議としては,第3回UNIDO総会のための地域準備閣僚会議のほか,貿易,農業開発,天然資源,海運・運輸通信の4常設委員会がある。右第3回UNIDO総会のための地域準備閣僚会議では,従来よりESCAPが強調しているところの「農業と工業の連携」,「都市より農村地域への工業の分散」,「小規模産業の開発と近代的大規模工業との連携」,「貧困層の基本的必要を満たすための工業」などの諸点が,各国工業化政策にとつて重要であることが確認された。以上のほか,数多くのアド・ホック政府間会合,専門家会合などが開催され,そのうち,貿易促進センター・ネットワーク小グループ会合は79年7月から8月にかけて東京で開催された。
(4) ESCAP傘下のメコン河下流域調査調整委員会は,75年のインドシナ情勢急変後,その活動の大部分を停止していたが,77年4月のESCAP第33回総会の機会に,ラオス,タイ,ヴィエトナムの3カ国代表は,本委員会活動活発化のための暫定委員会を設置することをそれぞれの政府に勧告し,これら3国によるメコン暫定委員会が発足した。