5. 国連における多国籍企業問題の検討

(1) 多国籍企業行動規範の作成

多国籍企業行動規範作成作業は,78年に引き続き,政府間作業部会において行われた。同作業部会は,79年1月及び3月の2回開催され,(イ)行動規範の法的性格,(ロ)実施のための国際機構,(ハ)ILO3者宣言,租税協定専門家グループの作業,UNCTADの制限的商慣行及び技術移転行動規範をいかに多国籍企業行動規範に組み込むか,(ニ)行動規範の実施,(ホ)政府間協力,(ヘ)多国籍企業の定義などに関し,討議が行われ,右討議に基づき,今後引き続き行われることとなつている行動規範草案作りのベースとなる議長案が作成された。

(2) 不正支払防止国際協定の作成

不正支払国際協定委員会は,79年5月協定最終案(未合意部分を含む)を採択し,経済社会理事会に送付した。

79年経社理第2通常会期では,開発途上国側が本協定と策定作業が進められている多国籍企業行動規範とをリンクさせ,同一の国連交渉会議開催を主張したのに対し,米国は本協定の早期成立を意図し,協定採択のみの外交会議開催を主張し,両者間に妥協が成立せず,結論は総会に持ち越された。

第34回国連総会は,本件について実質討議を行わず,なんらの決定も行われないまま閉会し,問題は再び経社理に差し戻された形となつた。

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