3. 地域開発銀行を通ずる協力
(1) アジア開発銀行(ADB)
(イ) ADBはアジア及び太平洋地域の経済開発に寄与することを目的として66年に設立された。79年末現在の加盟国数は域内29,域外14の計43カ国である。
(ロ) ADBが業務を行うための財源には通常資本財源及び特別基金財源がある。通常資本財源の79年12月末現在の応募済資本額は88億6,113万ドルで,このうちわが国の出資額は15億4,786万ドルであり,最大の出資国(出資シェア17.5%,投票権シェア14.4%)となつている。
一方,特別基金財源のうちソフトローンを行うためのADFについては,79年12月末現在の拠出額合計は20億6,537万ドルであり,わが国は
これに9億1,250万ドルの拠出(拠出シェア44.2%)を行つている。このほか,贈与ベースにより技術援助を行うための技術援助特別基金があるが,わが国はこれにも加盟国中最大の拠出を行つている(79年12月末現在,拠出総額は4,108万ドルであり,うちわが国の拠出額は2,540万ドル)。
(ハ) ADBはこれまでその業務の拡大に伴い,増資ないし資金補充を行つてきているが,78年4月には総額21億5,000万ドルのADB第2次資金補充につき拠出国間の合意が得られた(同資金補充に対するわが国の拠出額は7億9,200万ドルである)。79年末までにわが国を含め三十数カ国が応募を完了した。
(ニ) 79年末現在ADBは累計ベースで414件のプロジェクトに対し,総額66億5,000万ドルの融資承諾を行つている。
(ホ) わが国は,このように資金面で主導的な役割を果たしているほか,歴代総裁を選出している。現在は吉田太郎一総裁である。
(2) 米州開発銀行(IDB)
(イ) 中南米地域の経済開発の促進を目的として59年に設立され,地域開発金融機関としては最大の規模を有する。加盟国は79年末現在,域内26,域外15の計41カ国である。
(ロ) IDBの財源としては,通常資本財源及び地域間資本財源並びに特別業務基金財源があり,さらにいくつかの信託基金が存在する。79年12月末現在の通常資本及び地域間資本の応募資本金は,それぞれ96億5,846万ドル,19億6,033万ドルであり,特別業務基金の拠出累計額は57億8,904万ドルである。
わが国は76年にIDBに加盟し,地域間資本に7,729万ドル,特別業務基金に6,873万ドルの出資及び拠出を行つている。これは域外加盟国中最大の出資及び拠出額である(79年12月末現在のわが国の投票権シェアは0.68%である)。
(ハ) 一方,IDBの融資承諾累計額は79年12月末現在,158億5,600万ドルに達しており,内訳は通常資本及び地域間資本計83億700万ドル,特別業務基金64億2,700万ドル,その他基金11億2,200万ドルとなつている。
(ニ) 79年から82年までの活動資金を賄うため,78年12月総額97億2,000万ドル(資本79億6,872万ドル,特別業務基金17億5,000万ドル)の第5次増資が拠出国間で合意された。本件は総務投票に付され,79年末までにわが国を含め32カ国が賛成投票を行つた。わが国の同増資に対する出資及び拠出額は2億1,386万ドルである。
(3) アフリカ開発基金(AfDF)
(イ) アフリカ開発基金はアフリカ開発銀行(AfDB)加盟諸国(79年末現在の加盟国はアフリカ地域独立国51カ国中の48カ国)の経済社会開発に寄与すべく,これら諸国に対して緩和された条件による融資を行うため,73年6月に設立された。そのメンバーは79年末現在,AfDBのほか,わが国をはじめとする域外21カ国である(アフリカ域内国は直接のメンバーとなつていない)。
(ロ) AfDFの財源は各参加国による出資金であり,79年12月末現在の出資総額は9億5,002万U.A.(1U.A.≒1.1米ドル)である。わが国は1億7,000万U.A.(出資シェア18.6%)を出資しており,最大の出資国となつている。
(ハ) 79年12月末現在の融資承諾累計額は7億4,263万ドルである。
(ニ) 79年末における第2次一般増資(79年以降81年までの融資財源を賄うためのもの)に対する各拠出国の引受け総額は4億7,964万U.A.にのぼつた(わが国の引受け額は9,500万U.A.)。