第4節 国際機関を通ずる協力

1. 世銀グループを通ずる協力

(1) 世銀及び第二世銀

(イ) 世銀(国際復興開発銀行,IBRD)及び第二世銀(国際開発協会,IDA)は,開発途上国に対する援助機関の中でも重要な役割を果たしているものである。

79会計年度(78年7月から79年6月まで)において,世銀は農業,運輸,開発金融会社などのプロジェクトに対し,69.9億ドルの融資承諾を行つた。また特に開発の遅れている低所得国を対象に,緩和された条件による融資を行つているIDAは農業,運輸,工業などのプロジェクトに対し,30.2億ドルの融資承諾を与えた。

世銀の79年12月末現在の応募資本金は335.8億ドルであり,わが国は16.05億ドルを出資している。これは米,英,西独,仏に次いで第5位の出資額であり,全体に占めるシェアは4.77%である(わが国は投票権シェア4.26%で世銀の任命理事国である)。

また,IDAの79年12月末の出資総額は183.3億ドルであり,このうちわが国は18.3億ドルを出資している(出資総額に占めるシェアは9.85%であり,投票権シェアは5.71%である)。

(ロ) 世銀は79年8月「世界開発報告」を発表した。同報告は開発途上国の開発の現状分析を通じ,将来の開発戦略の基礎となる枠組みを提供しようとするものである。これは,国連において進行中の,80年代の国際開発戦略(IDS)策定に関する討議に対し有益な情報及び示唆を与えるとともに開発に携わる国際機関の援助政策決定に大きな影響を与えることとなろう。

(ハ) エネルギー分野においては,79年1月の理事会において,石油輸入開発途上国におけるエネルギー自給努力を助けるため,(i)エネルギー(特に石油,天然ガス)生産プロジェクトに対する融資,(ii)生産前段階(地質調査,探査,試掘を含む)に対する技術協力及び融資の拡充などを骨子とするエネルギー分野の基本計画を決定した。同計画に基づき,79会計年度においては,スエズ湾の天然ガス生産プロジェクトなど4件,総額1億1,240万ドルの融資承諾が行われた。

(2) 国際金融公社(IFC)

(イ) 世銀の姉妹機関である国際金融公社(IFC)は,開発途上国における民間企業の育成を図り,もつて世銀の活動を補完することを目的としている。79会計年度における投融資承諾件数は48,投融資額は4億2,540万ドルであつた。

(ロ) 80年1月末現在1FCの授権資本は6億5,000万ドル,応募済資本額は5億305万ドルである。このうちわが国は2,555万ドルを出資しており,シェアは5.08%である。

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