3. わが国の対応

(1) 先進工業国における国際収支の不均衡問題解決のためには,黒字国及び赤字国双方の改善努力が不可欠であるが,わが国としても,世界経済の長期的かつ安定的な発展に協力するとの観点から,78年には内需拡大及び製品輸入を含む輸入拡大の努力を継続してきた。

(2) しかしながら,79年に入ると,石油価格の大幅引上げをはじめとする一次産品価格の高騰などから,先進工業国の輸入金額が大幅に増大した結果,これら諸国の国際収支の黒字幅は縮小ないしは赤字転化をみるに至つた。わが国においても,79年の国際収支は,78年当時とは様変わりに大幅な悪化を示し,経常収支は88億ドルの赤字へ転じた。

かかる状況下,わが国としては,国際協調の精神に立つて,石油の節約に努力する一方,秩序ある輸出に努力し,輸入面でもわが国市場の一層の開放化,製品輸入努力を通じて対処してきた。なお,わが国の輸出入動向を数量ベースでみると,輸出は79年1~3月期11.2%減(前年同期比,以下同じ),4~6月期1.0%減のあと,7~9月期1.4%増と回復に転じ,10~12月期8.5%増,80年1~3月期16.4%増と増加基調にある。他方,輸入は79年1~3月期14.8%増,4~6月期12.9%増,7~9月期11.4%増,10~12月期5.9%増とその伸び率に鈍化傾向が見られ,80年1~3月期には5.8%減と減少に転じた。

(3) 79年のわが国の経常収支(IMFベース)は,前年度の166億ドルの黒字から88億ドルの赤字へと悪化した。これを四半期別にみると(季節調整値),79年1~3月期の1億ドルの黒字から4~6月期には7億ドルの赤字に転じ,その後赤字幅を拡大し,10~12月期43億ドル,80年1~3月期52億ドルと大幅な赤字を続けている。

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