2. わが国と中南米諸国との関係
(1) 全般的関係
(イ) わが国と中南米との間には従来より困難な政治問題もなく,伝統的に友好協力関係が培われてきたが,その関係は近年要人の相互往来の頻繁化,経済交流の活発化,経済・技術協力の拡充,文化交流の強化などを通じ,ますます緊密の度を深めてきている。また,中南米には約94万に及ぶわが国最大の在留邦人・日系人が在住しており,わが国と中南米諸国との結びつきを一層緊密なものにするのに寄与している。
(ロ) かかる状況を背景に,79年8月には園田外務大臣が,メキシコ,ブラジル,ペルー,チリ,アルゼンティン,ヴェネズエラの6カ国を公式訪問し,訪問各国政府要人と会談したほか,ブラジルでは第2回日伯閣僚協議会に関係閣僚とともに参加,ペルーでは邦人移住80周年記念行事に政府代表として出席した。同大臣の中南米歴訪は訪問先各国より盛大な歓迎を受け,わが国と中南米との関係緊密化の上で大きな成功を収めた。他方,中南米からは10月にヴィデラアルゼンティン大統領を国賓としてわが国に迎え,日・ア両国の友好親善関係,経済協力関係の促進が図られたほか,オルフィラOAS事務総長及び中南米各国政府要人がわが国を来訪した(詳細は別表参照)。
(2) 経済関係
(イ) 貿易(別表参照)
79年の対中南米貿易は,わが国通関統計ベースで輸出6,555百万ドル(対前年比△1.0%),輸入4,517百万ドル(同比+48.2%)を記録した。輸入が大幅に増加したのは,主としてコーヒー,鉄鉱石,銅をはじめとする非鉄金属などの国際商品市況の上昇によるものである。この結果,わが国黒字幅は約20億ドルに縮小した(78年36億ドル,77年32億ドル)。
(ロ) 投資(別表参照)
79年3月末現在のわが国の対中南米直接投資許可実績は,累計ベースで4,373百万ドルとなつており,わが国の投資総額に占めるシェアは16.3%で,アジア,北米に次いで第3位となつている。78年度単年ベースでも,616百万ドル(シェア13.4%)と北米,アジアに次く高い実績を記録した。業種別許可状況では,中南米においては,製造業部門に対する比率が高い(中南米51.3%,全地域34.2%)のが特徴である。
(ハ)各種レベルの経済交流
政府レベルの交流としては,79年8月にブラジリアにて第2回日・伯閣僚協議会が開催されたほか,2月にドミニカ共和国,ガイアナへ経済協力調査団を,10月には中南米経済協力調査団(グァテマラ,コスタ・リカ,エクアドル)を,さらに11月にはアルゼンティンに経済調査団及び農業開発協力基礎調査団を派遣するなど,中南米諸国との経済交流の促進が図られた。また民間レベルの交流としては,日・ア経済合同委員会(4月)及び日・智経済合同委員会(9月)が東京で,日・墨経済協議会(10月),日・玖経済懇話会(10月)がそれぞれアカプルコ及びハバナで開催されたほか,経済団体や民間企業から数多くのミッションが派遣された。また4月には初めての試みとして,東京で輸銀・米州開発銀行(IDB)共催のラ米シンポジウムが開催された。
<要人往来>
<貿易>
<民間投資>
<経済協力(政府開発援助)>