9. 香 港

(1) 香港の内外情勢

(イ) 政 情

(a) 香港の行政は安定しているが,中国からの合法,非合法人境者の増加,ヴィエトナム難民の滞留が依然大きな問題として残つている。

また,97年6月末に到来する中国からの新界地区租借期限問題が大きな関心事となりつつある。

(b) 中国との関係については,3月から4月にかけてマクルホース総督が初めて公的な資格で訪中し,中国側指導者と香港・中国間の諸問題について意見交換を行うなど新たな進展がみられた。

このような香港・中国関係を反映して,香港・広州間における直通列車の運行開始及び中国民航による旅客航空便の定期化など交通面での拡大がみられたほか,中国の経済特区(広東省深セン,珠海,汕頭の各市)の設置に伴い,これら地域に対する香港からの補償貿易,委託加工が活発化するとともに合弁企業進出の動きも伝えられている。

(ロ) 経 済

79年の香港経済は,物価の騰貴,香港ドルの弱化などの問題を抱えつつも,78年に引き続いての好調な輸出の伸長(前年比41%増)を主要因としてGDPで実質11.5%の成長を示した。また,58億香港ドルを投資して建設された地下鉄が10月と12月に部分的に開通し,香港の経済活動を広域に拡大する効果を持つものとして期待されている。

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