(3) 台 湾

(イ) 内 政

蒋経国総統を中心とする台湾の指導体制は,米中国交正常化の到来という重大な状況において79年を迎えたが,以後島民の団結を訴えるとともに内部の引締め,および若干の改革措置の実施を進め,一応島内の安定と繁栄を保持している。

これに対し,「党外人士」と呼ばれている本省人の政治活動家グループは,活動を強め,12月高雄市で大規模な衝突事件が発生した。

(ロ) 外交関係

米中国交正常化は,台湾に深刻な衝撃を与えたが,4月米国において「台湾関係法」が成立し,今後の米台間の実務関係を処理する機構として「米国在台湾協会」(米国側)および「北米事務協調委員会」(台湾側)が設置されたことより,米台の関係は新しい基礎の上に維持されることとなつた。米中国交正常化の結果,台湾において孤立感が増大したことは否定できないところであるが,台湾当局は外交関係を有している国々(21カ国)との間の友好関係の緊密化に努め,また,外交関係を有しない国々との間においても貿易・文化など実務関係を維持拡大するため努力している。

中国政府による統一の呼びかけに対しては,台湾当局は話合いに応じないとの方針を堅持している。

(ハ) 経 済

79年の台湾経済は第2四半期以降輸出の伸び悩みにより工業生産の成長は鈍化するに至つたものの,農業生産の回復,サービス業の好調などにより国民総生産はかなりの成長を達成し,実質成長率8.03%増を記録した。しかしながら79年における卸売物価上昇率が13.84%に達するなど,強いインフレ傾向が存在することが懸念される。

(ニ) わが国との関係

日台間の貿易・経済・技術・文化など民間ベースの交流は引き続き大きな伸びを示し,特に79年においては1月に台湾当局が観光渡航を自由化した結果,来日台湾人が激増し,通年で17万名に達した。また,日台貿易額も往復68億米ドルに増大した。日本側の交流協会および台湾側の亜東関係協会は,このような交流の増大に対応しながら,日台間のチャネルとして機能を円滑に果たしつつある。

<貿易>

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