(2) わが国と中国との関係
(イ) 大平総理大臣の訪中
大平総理大臣は12月5日から9日まで中国を公式訪問した。右訪問中,総理は華国鋒総理との会談を通じ率直な意見の交換を行い,日中間の相互理解の増進,信頼関係の確立に大きく寄与した。
また,日中間の交流・協力につき,円借款の供与,技術協力の推進,特恵関税の供与,文化交流の推進など突つこんだ話合いが行われ,具体的施策が打ち出された。
さらに,日中両国が,それぞれの立場からアジア及び世界の平和と安定の維持・確保のため,引き続き努力することがあらためて確認された。
(ロ) 日中経済貿易関係
(a) 79年の日中貿易は往復66億5,400万米ドルと前年比31%増,うち輸出は約37億米ドル(同じく21.3%増),輸入は29億5,500万米ドル(同じく45.5%増)と大きく伸長した。
(b) 3月には日中長期貿易取極の期間延長(85年までを90年まで延長)並びに取引額の増大(それぞれ100億米ドルを200~300億米ドルに増大)について当事者間で合意をみた。
(c) 輸銀の石油・石炭開発金融(4,200億円),市中銀行のシンジケート・ローン(短期つなぎ融資60億米ドル,中長期融資20億米ドル)について5月それぞれ基本的合意が成立,さらに12月総理大臣訪中の際円借款(79年度分として500億円まで)について日本側より供与の意図表明がなされ,80年4月に交換公文が締結された。
(d) 資源開発協力については石油,石炭,非鉄金属などについて話合いが進められ,石油については渤海湾南西部の探鉱開発について12月合意書に調印をみた。また,石炭については輸銀の借款使用を予定している7プロジェクトのほか,補償貿易及び合弁方式で協力を進めることについても話合いが行われている。
(e) 政府ベースの技術協力が79年から開始され,鉄道のほか,経営管理,保険医療などの分野での協力が進められている。
<貿易>
(ハ) 人的交流と文化交流
(a) 日中間の人的交流は72年(日中国交正常化当時)往復約9,000人であつたが,79年には約65,700人に達した。特に78年の日中平和友好条約の締結以後においては両国の閣僚レベル以上の往来が非常に活発になつている。
<要人往来>
(b) 日中間の文化交流も進展しつつある。78年に日中間の教育使節団が相互訪問して以来,日中留学生交流が大量に行われるようになつた。 中国からは79年に169名の研究留学生が来日し,80年に入つてさらに増加,80年4月1日現在465名が在留している。 政府ベースの文化公演としては,日本から歌舞伎,NHK交響楽団が訪中公演を行い,中国からは京劇団が訪日公演を行つた。 大平総理大臣訪中の際には,大来外務大臣と黄鎮文化部長の間において文化交流協定が調印されたほか,わが方より,中国における日本語の普及について協力するための特別計画を実施する旨表明した。