(3) わが国と北朝鮮との関係

わが国と北朝鮮との間には国交はないが,経済,文化などの分野で交流が行われている。79年における主な動きは次のとおりである。

(イ) 漁業関係

77年9月,日朝間の漁業に関する民間の暫定合意書が,わが国日朝漁業協議会と北朝鮮側当事者との間で締結され,次いで78年6月,その有効期限を80年6月末まで2年間延長することが両者間で合意された。この合意書により,79年においても北朝鮮の実施している200海里経済水域内で,わが国の200トン以下の零細漁業者の漁撈活動が保証され,入漁料なしに操業が行われている。

(ロ) 人的交流

(a) 79年中の邦人の北朝鮮への渡航は,年間旅券発給数によれば,818名で,78年の639名に比し31.6%増加した。渡航目的別には,商用が約90%を占めている。

(b) 一方,同期間中の北朝鮮からの入国者数は191名で,78年の262名に比し27%減少した。

(c) 在日朝鮮人の再入国は,北朝鮮への里帰りをはじめ,スポーツ,学術,文化,商用,教育,祝典参加を目的とするものなどがみられている。

(ハ) 日朝貿易

日朝貿易は74年にピークに達した後低迷したが,78年より回復に向かい79年は輸出入とも前年に比しさらに大幅に増加した。対北朝鮮輸出は機械類が中心で74年に次ぐ額となり,輸入は卑金属類・水産物が中心で過去最高の額となつた。

(ニ) 対日債務問題

72年より対日輸入が急増し,他方,対外輸出は不振状態に陥つたため,北朝鮮は巨額の対日債務の支払いが困難となり,76年には債務繰延べ合意書が当事者間で締結されたが,78年には再び支払いの中断をみていた。

この問題の解決のため79年7月北朝鮮貿易銀行代表団が来日してわが国債権者と交渉を行つた結果,8月に再繰延べ合意書の仮調印,10月に本調印が行われ,12月末に第1回返済が行われた。

<貿易>

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