(2) わが国と韓国との関係
(イ) 概 観
日韓関係は65年の国交正常化以来着実な発展をみており,両国間で広範な分野にわたつて交流と協力が行われている。日韓友好協力関係の発展は,わが国にとつての関心事であるのみならず東アジア地域の安定のためにも重要であり,両国関係の円滑な進展をはかるため79年も双方の努力が引き続き払われた。
79年10月朴大統領の死去をみたが,両国とも引き続き相互の友好協力関係の維持増進という基本方針に変わりはない旨を明らかにしている。
なお,79年に開催される予定であつた第11回日韓定期閣僚会議は双方の事情により80年まで開催が延期された。
79年及び80年初期における主な動きは次のとおりであつた。
(ロ) 日韓大陸棚共同開発
大陸棚の共同開発事業は79年を通じて着実な進展をみた。
79年3月16日,両国開発権者の間で操業管理者の指定が行われ,5月18日,共同開発事業契約が両国政府により承認された。その後,10月15日及び16日の両日,ソウルにおいて日韓大陸棚共同委員会の第2回定例年次会議が開催され,本共同開発の実施に関連する諸事項に関して協議が行われた。次いで10月31日から12月3日まで本事業初の物理探査が第5及び第7小区域において実施された。
(ハ) 通商関係
日韓両国間の貿易不均衡問題は,78年の日本側34.1億ドルの出超から,79年には同28.9億ドル出超へと減少をみせたが依然高水準にあり,この不均衡を改善し,両国間貿易の拡大均衡を図ることが両国間の課題となつている。かかる背景のもとで80年1月10日及び11日の両日ソウルにおいて第15回日韓貿易会議が開催され,日本側は対韓輸入などを促進するための官民合同の使節団を早期に派遣したい旨表明した。
また,日韓両国間の生糸及び絹製品貿易に関し,秩序ある貿易を確保するために,79年5月にソウル,次いで9月に東京で専門家レベルの協議を行い,10月に両国政府間の合意が成立した。
(ニ) 漁業問題
北海道沖においては,わが国のオッタートロール禁止水域内で韓国の大型オッタートロール船が引き続き操業を行つたため,漁具被害,資源保護,海底形質破壊などの問題が深刻化した。本件問題については民間及び政府レベルで話合いが行われ,その結果,韓国側は操業隻数を削減するとともに,12月1日より一定の自主規制を実施に移したが,これらの措置のみでは十分な問題解決が得られず,日韓双方とも本件問題の早期解決を目指して引き続き話合いを行つている。
竹島周辺水域の安全操業を確保する問題は両国間の重要な懸案となつており,このため政府としては多々努力を払つている。
(ホ) 竹島問題
わが国は,韓国による竹島不法占拠に対し,従来から繰り返し抗議してきており,79年12月にも,同年10月に行われた海上保安庁巡視船の調査結果に基づき,竹島における韓国側各種建造物の設置及び官憲の滞在につき抗議し,これらの撤去を求める口上書を発出した。
<要人往来>
<貿易>
<民間投資>
<経済協力(政府開発援助)>