第3節 国際連合の諸活動に対する協力
1. 今日の国際連合
国際連合は,国際の平和と安全の維持及び諸国民の福祉の向上のための国際協力の促進を図る最も普遍的な国際機構である。51カ国の原加盟国で発足した国連は,設立以来30余年を経た今日,152の加盟国を擁するに至つており,この間に,当初意図されたものとはかなり異なつた形で発展してきている。例えば,憲章で予想された強制的紛争解決機能に代わり,いわゆる「平和維持活動」が発達をみせ,また,経済・社会分野においては南北問題の占める比重が著しく増し,この分野で国連が果たし得る役割が高まつている。
これは,国連が国際情勢の現実を端的に反映する機関であるということにほかならない。国連が世界の政治,経済,社会の現実に即応した形で何をなし得るかは,加盟国の意思と協力によるところが大きいが,近年,国連の限界を見極めた上で,可能な限り活用せんとの空気が加盟国の間に広がりつつある。
今日の国連は,その構成国数の増大及び取り扱う問題の複雑多様化などに伴い,各種専門機関をはじめ,多くの関連国際機関とともに,平和と安全の維持,軍縮,援助と貿易,社会,人権,文化,人口,環境,科学技術,海洋その他きわめて広範な分野で,国際協力の枠組みを提供している。