5. 西欧地域

(1) 世界がますます相互依存関係の高まりをみせ,日米欧の先進民主主義諸国が一致協力して対処すべき問題が山積している情況下にあつて,日欧間の対話をより一層強化することは,単に日欧双方にとつて有益であるばかりでなく,世界の平和と繁栄に必要不可欠であるとの観点から,79年においても引き続き西欧諸国との間であらゆるレベルの協力と交流を緊密にするための努力が活発に行われた。

(2) 特に6月に東京において第5回主要国首脳会議が行われたのを機にサミット参加の西欧諸国首脳・閣僚との間に活発な協議が行われたほか,わが方要人の往訪としては皇太子同妃両殿下のオランダ,ベルギーご訪問,三笠宮同妃両殿下の英国,フランスご訪問,秩父宮妃殿下の英国ご訪問,園田外務大臣の西独,フランス,英国,オランダ各国訪問,大来外務大臣のフランス訪問などがあり,またわが国へはジャンルクセンブルグ大公同妃両殿下,英国ケント公,トルンルクセンブルグ首相などが来日し,積極的な交流が行われた。

(3) 日欧間の相互理解を促進するためには,このような要人の交流と並行して,従来ともすれば看過されがちであつた一般国民,特に次代の日欧関係を担う青年層の交流を促進することが重要であり,そのための呼び水として8月中旬から9月下旬にかけ第1回欧州青年日本研修計画が実施された。本計画はEC加盟9カ国及びEC機関の青年を対象として日欧関係に関する論文を公募し,優秀論文筆者50名を3グループに分けて本邦に招待,2週間にわたりわが国の政治,経済,社会,文化などについて研修を行い,わが国の現状を最も効果的に学んでもらうことを目的とするものであり,交流の裾野をまさに草の根レベルにまで広げるという点で大きな成果を収めた。

(4) 日欧(EC)間の通商・経済上の諸問題については,5月及び11月の日・ECハイレベル協議の場などにおいて具体的問題の解決努力を行つたほか,園田外務大臣,ハーフェルカンプEC副委員長をはじめとする日・EC双方要人の頻繁な往来,MTN(多角的貿易交渉)や主要国首脳会議における多国間の話合いの場で積極的に問題解決を図つた。また,日・EC間の貿易不均衡については,わが方よりわが国の輸入手続の簡素化,輸入促進ミッションの派遣などの輸入拡大努力を行うとともにEC側の輸出努力を窓通したこともあり,わが国の黒字幅は約51億ドルとほぼ前年並みにとどまつた。

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