4. 中南米地域

(1) 中南米地域は,広大な領土と世界有数の豊富な鉱工業・食糧資源に恵まれた将来の発展性に富む地域であり,また開発途上地域の中では相対的に経済的,社会的に発展レベルが高い中進国グループとして,国際政治・経済上の発言力と立場を著しく強化しつつある。同地域は,わが国とは資源供給,貿易,投資など経済面で相互補完関係にあり,また同地域には94万人に及ぶ日系人が居住している。

(2) わが国は,中南米諸国との間で,経済面での相互補完関係を基盤としつつ,世界平和と双方の発展を目指しともに努力するパートナーとして友好協力関係を着実に強化している。このために,まず,政府首脳レベルを含む人的交流の強化,経済・技術協力の弾力的活用,文化・広報活動の拡充強化など諸般の施策を通じ,わが国と中南米諸国との交流と協力の基盤を広げつつ,長期的視点に立つた対中南米政策を推進すべく努力している。

(3) かかる観点に立つて,79年度においては,園田外務大臣が中南米6カ国(メキシコ,ブラジル,ペルー,チリ,アルゼンティン,ヴェネズエラ)を歴訪し,相互理解の増進と関係緊密化を図ることに大きな成功を収めたほか,中南米からは,ヴィデラアルゼンティン大統領を国賓としてわが国に迎えるなど,要人の往来を通して相互理解と相互協力の増進に努めた。

(4) 経済面においてわが国は,ブラジル,メキシコ,アンデス諸国,カリブ・中米諸国など域内のバランスに配慮しつつ,関係の緊密化と多角化に努めている。79年においては,具体的にはブラジルとの間で第2回目伯閣僚協議会が開催されたこと,及び園田外務大臣のメキシコ訪問の際に,同国原油の対日取引交渉がまとまったことが特筆される。このほか,アルゼンティンヘの経済調査団の派遣,カリブ・中米諸国への2回にわたる経済協力調査団の派遣,ペルー,パラグァイ,ボリヴィア,コロンビア,ハイティなどに対する円借款あるいは無償資金協力の供与,ジャマイカ,ドミニカ共和国,ドミニカ国,ニカラグァなどに対する緊急援助の実施など,多様な形で対中南米経済関係強化の努力が続けられた。

 目次へ