-資   料-

3. 日本政府が締結した主要な条約・協定(78年に発効したもの)

(1) 漁業の分野における協力に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定

日本国政府及びソヴィエト社会主義共和国連邦政府は,

北西太平洋の漁業資源の保存,増大及び最適利用に関する共通の関心を考慮し,

両締約国間の漁業の分野における科学技術協力の促進に関し相互に関心を有し,

国際海洋法の新たな発展及び第3次国際連合海洋法会議における作業を考慮し,

1977年5月2日付けの日本国の漁業水域に関する暫定措置法に基づく漁業に関する日本国の管轄権並びに1976年12月10日付けのソヴィエト社会主義共和国連邦沿岸に接続する海域における生物資源の保存及び漁業の規制に関する暫定措置に関するソヴィエト社会主義共和国連邦最高会議幹部会令に規定されている探査,開発及び保存のための生物資源に対するソヴィエト社会主義共和国連邦の主権的権利を認め,

両締約国間の漁業の分野における互恵的協力を発展させることを希望して,

次のとおり協定した。

第1条

この協定は,両締約国間の漁業の分野における互恵的協力を発展させることを目的とする。

第2条

両締約国は,次に掲げる事項に関する協力を含む漁業の分野における協力の発展を促進する。

(a) 海水及び淡水における生物の漁獲の技術及び方法の改善

(b) 海水及び淡水における生物の増殖及び養殖の技術及び方法の改善

(c) 海水及び淡水の生物並びにこれらの製品の利用,加工,保蔵及び輸送の方法の改善

(d) 科学的調査の実施(科学的情報及び資料の収集及び交換を含む。)

第3条

両締約国は,北西太平洋の距岸200海里水域の外側の水域における漁業資源((さく)河性魚類を含む。)の保存及び合理的利用について協力を行う。

協力の具体的な措置は,この協定に基づいて毎年作成されかつ署名される議定書により,両締約国の間で決定される。

第4条

1 両締約国は,この協定の目的を達成するため,日ソ漁業委員会(以下「委員会」という。)を設置する。

2 委員会は,二の国別委員部で構成し,各国別委員部は,それぞれの締約国の政府が任命する3人以内の委員で構成する。

3 委員会の決定及び勧告は,国別委員部の間の合意によつて行う。

4 委員会は,その会議の運営に関する規則を決定し,及び,必要があるときは,これを修正することができる。

5 委員会は,少なくとも毎年1回交互に東京及びモスクワにおいて会合するものとし,また,そのほかに,いずれか一方の国別委員部の提案により会合することができる。委員会の第1回会議の期日及び場所は,両締約国間の合意で決定する。

6 委員会は,議長を委員会の会議が行われる締約国の国別委員部から選定する。議長は,1年の任期をもつて選定される。

7 委員会の公用語は,日本語及びロシア語とする。

8 委員会の委員が会議に出席するために生ずる経費は,その任命する政府が支払う。委員会の共同の経費は,委員会が勧告しかつ両締約国が承認する形式及び割合において両締約国が負担する分担金により,委員会が支払う。

第5条

委員会は,次に規定する任務を遂行する。

(a) 各締約国から提出される科学的情報及び資料に基づき,両締約国が共通の関心を有する北西太平洋の漁業資源の状態について検討し,並びに当該漁業資源の保存及び合理的利用について協議する。

(b) 第2条に規定する協力に関する計画を作成し,及びこれを両締約国に勧告し,並びにその実施状況につき意見の交換を行う。

(c) この条の規定の実施のために各締約国が委員会に提出する統計その他の資料の種類及び範囲を決定する。

(d) 漁業の分野における共同事業の実施の妥当性を検討する。

(e) この協定の実施に関連するその他の問題を検討する。

第6条

この協定のいかなる規定も,第3次国際連合海洋法会議において検討されている海洋法の諸問題についていずれの政府の立場又は見解をも害するものとみなしてはならない。

第7条

1 この協定は,それぞれの国の国内法上の手続に従つて承認されなければならない。

この協定は,その承認を通知する外交上の公文が交換された日に効力を生じ,1982年12月31日まで効力を有する。この協定は,いずれか一方の締約国がこの協定の有効期間の満了の日の6箇月前までにこの協定を終了させる意思を他方の締約国に書面によつて通告しない限り,自動的に順次1年間効力を存続する。

2 この協定は,第3次国際連合海洋法会議において多数国間条約が採択された時に,両締約国が再検討することができる。

以上の証拠として,下名は,各自の政府から正当に委任を受けてこの協定に署名した。

1978年4月21日にモスクワで,ひとしく正文である日本語及びロシア語により本書2通を作成した。

日本国政府のために

中川一郎

重光 晶

ソヴィエト社会主義共和国連邦政府のために

A・イシコフ

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(2) 日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約

日本国及び中華人民共和国は,

1972年9月29日に北京で日本国政府及び中華人民共和国政府が共同声明を発出して以来,両国政府及び両国民の間の友好関係が新しい基礎の上に大きな発展を遂げていることを満足の意をもつて回顧し,

前記の共同声明が両国間の平和友好関係の基礎となるものであること及び前記の共同声明に示された諸原則が厳格に遵守されるべきことを確認し,

国際連合憲章の原則が十分に尊重されるべきことを確認し,

アジア及び世界の平和及び安定に寄与することを希望し,

両国間の平和友好関係を強固にし,発展させるため,

平和友好条約を締結することに決定し,このため,次のとおりそれぞれ全権委員を任命した。

日本国     外務大臣 園田 直

中華人民共和国 外交部長 黄  華

これらの全権委員は,互いにその全権委任状を示し,それが良好妥当であると認められた後,次のとおり協定した。

第1条

1 両締約国は,主権及び領土保全の相互尊重,相互不可侵,内政に対する相互不干渉,平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に,両国間の恒久的な平和友好関係を発展させるものとする。

2 両締約国は,前記の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき,相互の関係において,すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。

第2条

両締約国は,そのいずれも,アジア・太平洋地域においても又は他のいずれの地域においても()権を求めるべきではなく,また,このような()権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対することを表明する。

第3条

両締約国は,善隣友好の精神に基づき,かつ,平等及び互恵並びに内政に対する相互不干渉の原則に従い,両国間の経済関係及び文化関係の一層の発展並びに両国民の交流の促進のために努力する。

第4条

この条約は,第三国との関係に関する各締約国の立場に影響を及ぼすものではない。

第5条

1 この条約は,批准されるものとし,東京で行われる批准書の交換の日に効力を生ずる。この条約は,10年間効力を有するものとし,その後は,2の規定に定めるところによつて終了するまで効力を存続する。

2 いずれの一方の締約国も,1年前に他方の締約国に対して文書による予告を与えることにより,最初の10年の期間の満了の際又はその後いつでもこの条約を終了させることができる。

以上の証拠として,各全権委員は,この条約に署名調印した。

1978年8月12日に北京で,ひとしく正文である日本語及び中国語により本書2通を作成した。

日本国のために

園田 直

中華人民共和国のために

黄  華

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