-社会・人権・文化問題-

 

第4節 社会・人権・文化問題

 

1. 社会・人権問題

(1) 婦人問題

第32回国連総会において,「国連婦人の10年」期央の世界会議を80年5月にテヘランで開催することが全会一致で決議された。また,同総会中「婦人に対する差別撤廃条約案」検討のため第3委員会の下に作業部会が設けられ,同条約案の前文及び本文第9条までの検討を行つた。今後,第33回総会中に同じく作業部会を設けて検討が継続される予定である。

目次へ

(2) 国際障害者年

76年の国連総会において,81年を「国際障害者年」とすることが決議されたが,これに関連し,第32回総会において,今後諮問委員会を設置して国際障害者年のプログラムの検討を行うことなどが決議された。

目次へ

(3) 国際児童年

第31回国連総会において,79年を国際児童年とすることが全会一致で採択されたが,第32回総会においては,第33回総会で更に国際児童年の準備について審議を重ね,第34回総会本会議において,児童のおかれている状況に関し特別の討論を行うことが決定された。

目次へ

(4) 人   権

過去数年来,国連における個別の人権侵害問題審議は,南部アフリカ,イスラエル占領地及びチリの人権問題についてのみ行われるという傾向があつたが,77年もほぼこの傾向が継続された。

第32回総会においては,国連における今後の人権問題検討に関し,(イ)経済的,社会的及び文化的権利の享受を伴わない市民的及び政治的権利の完全な実現は不可能であること,(ロ)人権問題は種々の社会状況,個人の尊厳及び社会の発展と福祉の促進の必要性を考慮に入れて総合的に検討されるべきこと,(ハ)人権と基本的自由の効果的促進のためには新国際経済秩序の実現が不可欠の要素であること,などの事項を考慮に入れた決定をする旨の決議が採択された。他方,国連人権高等弁務官設置決議案については,積極的に支持する国も多かつたが,反対意見も根強く採決までには至らず,引き続き人権委員会で検討することとなつた。

このほか,78年の人権宣言30周年の祝賀を促す決議及び地域レベルでの人権保護促進に関する決議が採択されたほか、拷問などの禁止に関し4本の決議が採択された。なお、人種差別撤廃世界会議(78年までにガーナで開催する旨決定されていた)は,77年初め,主催国ガーナ政府が同会議開催を辞退したため、第32回総会において,再度,同会議を78年8月にジュネーヴで開催する旨決議された。

目次へ

2. 国連大学

国連大学は、(1)世界の飢餓問題,(2)天然資源の利用と管理,(3)人間,社会開発の3優先研究領域を中心に本格的な活動に入つている。また,77年には,東京で,第8回及び第9回国連大学理事会,地域懇談会などが開催された。

財政面では,わが国を初め,ヴェネズエラ,スウェーデンなど,各国から約7,800万ドル(78年2月現在,うちわが国は,7,000万ドル)の拠出が行われている。

目次へ

3. 国際人道法外交会議第4会期

1949年の「戦争犠牲者の保護に関するジュネーヴ諸条約」に対する追加議定書を採択するための外交会議第4会期は,3月17日から6月10日までスイス政府の主催によりジュネーヴで開催された。この外交会議は,74年以降毎年開催されてきたものであるが,第4会期においては,2つの議定書,すなわち「国際的武力紛争の犠牲者の保護に関し,1949年8月12日のジュネーヴ諸条約に追加する議定書(第1議定書)」及び「非国際的武力紛争の犠牲者の保護に関し,1949年8月12日のジュネーヴ諸条約に追加する議定書(第2議定書)」が採択され,外交会議の作業を終了した。採択された2つの議定書は,12月12日から署名のために解放された。

目次へ

4. 国連環境計画(UNEP)の活動

国連環境計画は,73年以降ナイロビに事務局本部をおいて世界的,地域的レベルの環境保全のために広範な活動を行っている。わが国は,UNEP環境基金に73年から77年までの5年間に1,000万ドルの拠出を行う旨の誓約をしており,77年には300万ドルの拠出を行った。

(1) 第5回管理理事会

第5回管理理事会は,わが国を含む58理事国中の48カ国が参加して,77年5月ナイロビで開催され,各種環境問題の審議を行い,今後のプログラム活動に関する政策決定を行った。

(2) 第32回国連総会での審議

77年秋の国連総会では,第5回管理理事会報告,国連砂漠化防止会議,国連人間居住機構取極などの審議が行われ,合計7つの決議が採択された。

(3) 国連砂漠化防止会議

本会議は,わが国を含む95カ国及び国連専門機関代表の参加の下に,77年8月から9月にかけてナイロビで開催され,砂漠化の現状とその防止対策につき知識・経験を交換し,今後,国際的,国内的レベルでとるべき砂漠化防止行動計画(勧告)を採択した。

目次へ