-環 境 問 題-
第7節 環 境 問 題
環境汚染の問題は先進工業国共通の重大問題であるとともに,その生物的,経済的影響が全世界に及ぶことから,この分野での国際協力が不可欠となっている。このような認識の下に現在各種国際機関,2国間などの場で,情報交換,人的交流,研究の共同企画及び実施など緊密な協力が行われている。
75年8月5日に署名された「環境の保護の分野における協力に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」に基づく第2回合同企画調整委員会が77年6月8,9,及び10日の3日間東京において開催された。
同合同委員会では米国環境保護庁次官バーバラ・ブラム女史が米国代表団長を勤め,石原慎太郎環境庁長官が日本代表団長を勤めた。同合同委員会において日米両代表はそれぞれ環境政策に関する見解を述べた。また,前記協定に基づいて実施中のプロジェクトの活動状況及びその成果について討議され,評価が行われた。ブラム次官は,米国としては有害物質を国際的に規制することに強い関心を有している旨述べるとともに,日本政府の協力を要請した。
(1) 日本の環境政策レビュー
77年5月の第20回環境委において,日本の環境政策の分析を行った東京会合の「結論」がとりまとめられ,8月には,理事会で承認された。この「結論」は,わが国の環境政策を高く評価し他のOECD諸国にとつても興味深いものとしているがその要旨は次の通りである。
(イ) 一般的結論:日本の直面した環境問題は極めて厳しいものであったが,日本政府は国民各層からの協力を得て迅速かつ効果的に対応した。他方日本の政策は,汚染防止,有害物質の規制など健康保護に重点がおかれており,広い意味の「生活の質」や「快適さ」を今後重視する必要がある。
(ロ) 基準の設定:上乗せ基準の設定など,地方自治体の役割が評価される。
(ハ) 補償制度:被害者,産業界の双方に不満があり完全な制度とは言えないが,緊急事態に対処するものとしては適切であった。
(ニ) 開発の立地:関係政府機関の緊密な協力が必要である。
(ホ) 経済への影響:日本の積極的な環境政策はマクロ経済にさほど重大な影響を与えなかった。
(2) そ の 他
77年11月に開催された第21回環境委では,今後の同委員会の作業内容が主要な議題となったが,化学品(PCBなど)による汚染規制問題,特に各国の規制の相違が貿易面での障害(いわゆるNTB)となりうる点にかんがみてアセスメント手法の国際的調整を主要テーマとしてとりあげることが合意された。同プロジェクトにおいてわが国は化学品の分解性・蓄積性に関するテスト手法についての主要国となったが,本分野では化学品規制について多年の経験を有するわが国の寄与が強く期待されており,今後の国際協力の動向が注目される。