第5節 行 政 財 政 問 題

 

 

 国連は,その財政面よりみて,特に9割以上を占める経済・社会活動を年々拡大しており,それに伴つて行政及び財政について多くの問題が生じてきている。わが国としても,国連外交を有効に進めていくうえから,国連の諸活動の企画・実施・管理及び評価面に,従来にもまして,積極的に参画していく必要がある。

 国連の74~75年度通常予算の規模は,当初約5億4千万ドルであつたが,その後の世界的インフレとドルの実質的切下げ及び新規事業に約6千6百万ドルの追加経費が必要となり,また,第30回総会において,若干の追加が承認された結果,改訂予算は,約6億1千3百万ドルとなつた。なお,国連の財政状態は,わが国の1千万ドルとアラブ首長国連邦の1百万ドルの特別拠出があつたにもかかわらず,基本的には前年に比較して改善されていない。

 人事面では第29回国連総会で,専門職以上の国連職員の給与を,6%引上げる問題が審議され,アメリカ,ソ連等の諸国が,強く反対したが(わが国は賛成),結局75年1月からベース・アップが実施された。また,国連システム(専門機関を含む)の人事制度を統一的に運営すること等を目的として,75年1月より国際人事委員会(ICSC)が設置され,わが国の萩原徹外務省顧問が,そのメンバー(15名により構成)に選ばれた。75年は2回の会期を開き,第30回総会に地域調整給の改定等を勧告した。その結果,独身者の地域調整給の基準額が76年1月から改定された。

 国連事務局職員の採用については,地理的配分を考慮することになつているところ,日本人職員数は,75年の国連事務総長報告によれば,65名(加盟国中第5位)であるが,わが国の職員数の望ましい範囲(107~150人とされている)をかなり下回つているほか,特に幹部職員が3名と非常に少ないことが指摘される。この事態を解決するためには,長期的な観点に立つて,日本人職員の派遣を促進する施策を効果的に進める必要がある。

 また,第30回総会で,国連の分担率を審議する分担金委員会委員に,わが国の加藤淳平国連代表部参事官が当選した。

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