―アジア地域―
第5章 各国の情勢およびわが国とこれら諸国との関係
第1節 ア ジ ア 地 域
(イ) 東南アジア開発閣僚会議は,66年わが国の提唱で設立をみたもので,東南アジア諸国における経済開発の共通の諸問題について閣僚レベルで率直な意見を交換することにより,参加諸国間で経済開発のための地域協力を推進することを目的とするフォーラムである。第1回会議は東京で開催され,その後,毎年参加国持ち回りで開催されてきたが,第8回会議は再び東京で73年10月開催された。なお,第9回会議は74年フィリピンで開催される予定である。
参加国は従来,インドネシア,日本,カンボディア,ラオス,マレイシア,フィリピン,シンガポール,タイおよびヴィエトナムの9カ国であつたが,73年10月の第8回東京会議からビルマ,豪州,ニュー・ジーランドが参加し,12カ国となつた。
(ロ) 73年10月東京で開催された第8回会議では,東南アジア各国から,インドシナ復興および東南アジアの経済・社会開発のための地域協力の今後の展望等に関し率直な意見が述べられた。また,新参加の豪州,ニュー・ジーランドからそれぞれ,アジア太平洋地域との関係強化,開発援助の増加・改善等の諸点が述べられた。
一方,大平外務大臣は,わが国は東南アジア諸国の開発に最大限の支援を与えるとの基本的政策に基づき,政府開発援助の量的拡大に努めるとともに,援助条件の改善に新たな努力を傾けてゆくつもりであると述べた。さらに外相は約束援助の実施の迅速化,および国際機関への拠出の拡大に努めてゆくこと,東南アジアの農業開発,ことに食糧問題の長期的かつ,抜本的解決のための共同措置の探求を提案するものであること,インドシナ復興のための国際的協調体制の早期確立を希望するが,その成立以前でもわが国はこの地域の緊急要請に応じる方針であり,とりあえずヴィエトナムに対し5千万ドルの援助を供与する意向であることなどを述べた。
(ハ) 本会議を母体として種々の地域協力プロジェクトが生まれ,またその設立の検討が続けられているが,これらのプロジェクト,ないしその他加盟国間で共通関心事項となつている個別問題の内容は,次のとおりである。
(a) 東南アジア漁業開発センター
このセンターは,東南アジアの漁業開発の促進を目的として67年12月に設立された政府間国際機関で,閣僚会議が生み出した最初の地域協力プロジェクトである。
現在の加盟国は日本,マレイシア,フィリピン,シンガポール,タイおよびヴィエトナムの6カ国で,事務局はバンコックにある。センターには訓練部局(バンコック)調査部局(シンガポール)および養殖部局(フィリピン)があり,加盟各国の研修生に対する訓練,域内の漁業資源の調査あるいは漁業資源の養殖に関する調査研究等の活動を行なつている。養殖部局は,73年7月正式に設置が決定されたもので,現在,本部各種雄設窄建設中である。
わが国は,同センターに対し船舶,機材の調達資金等を拠出しており,73年度は,船舶特別修繕費30,000ドルの拠出のほか,約30,000千円相当の機材の現物供与を行なつた。また,専門家の派遣は,73年12月末現在訓練部局へは13名,調査部局へは9名行つておりその他奨学金として,73年度訓練部局20名分,調査部局6名分,専門家奨学金2名分を,また運営費一部補助金として,73年度27,500ドルを拠出している。
(b) 東南アジア貿易投資観光促進センター
本センターは地域協力により,東南アジア諸国からわが国への輸出を促進するとともに,わが国からこれら諸国への投資および観光客の増大を図り,もつてこれら諸国の国際収支の改善をはかることを目 的とする政府間機関で,72年1月に発足,事務局は東京にある。
加盟国はインドネシア,カンボディア,ラオス,マレイシア,フィリピン,シンガポール,タイ,ヴィエトナムおよびわが国の9カ国である。
わが国は,センター経費として,73年度において約1億4,700万円を拠出した。同センターの事業実施のため,ジェトロおよび国際観光振興会が協力している。
(c) 東南アジア医療保健機構(略称SEAMHO)
第4回閣僚会議でわが国は,アジア地域の医学の進歩および医療水準の向上が経済社会開発の基礎的条件の一つであり,このためには,これらの分野で,共通の問題に悩むアジア諸国相互の協力がきわめて重要であるとの観点から,この分野での地域協力の推進を提唱した。その後,閣僚会議,作業部会等の場で医学,医療面のみならず,保健向上のための活動も含めることで合意に達し,以上を内容とする東南アジア医療保健機構(SEAMHO)を設置することが,第7回閣僚会議で原則的に合意された。
この合意に基づき73年3月および7月に東京で開催された2回の政府間グループ会合で,同機構設立のための条約案が作成され,同年10月の第8回閣僚会議で同条約案が署名の用意のある国に勧奨された。また,豪州,ニュー・ジーランドも同条約案の原加盟国たる地位を認められた。
なお,SEAMHO発足後その事業の一つとなる予定の医療情報センターについては,SEAMHO発足前にもその事業の一部をわが国の責任で開始することで既に合意をみており,わが国としては,SEAMHO設立推進のためのわが国における民間レベルの母体である日本国際医療団に,準備事業をさせており,73年度は,情報センター設立の方途を探るための医療情報会議およびワークショップならびに要員訓練のためのセミナーを開催した。
(d) 「70年代東南アジア経済分析」
この分析は,第4回閣僚会議の要請に基づき,アジア開銀がとりまとめたもので,ミント,ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス教授ほか著名な学識者の執筆によるものである。この分析は,東南アジア諸国がその経済開発のため自らなにをしなければならないかとの観点からの種々の提言をその内容としている。
この分析は,閣僚会議で高く評価され,これを会議参加国間の共同努力に結びつけていくための検討が進められており,72年タイで70年代東南アジア経済に関する地域会合,および73年3月東京で70年代東南アジア経済開発セミナーが開催された。東京のセミナーでは域内諸国の経済学者の参加を得て,域内貿易自由化,技術協力,域外諸国との協力等を中心に意見交換が行なわれた。
(e) アジア租税行政および調査
第5回閣僚会議で,フィリピンから域内各国の税制,税務行政の改善・強化を図るとともに,投資にインセンティブを与えるため,税制上の環境を整備することが重要であり,各国間の情報交換のためのスタディグループを開催することが提案され,合意を得た。73年5月第3回会合が東京で開催された。
これまで,投資促進のための財政措置,売上税の役割,所得税の脱税防止,先進国・開発途上国間の租税条約,天然資源産業に対する課税,納税者と税務当局との関係等の問題点について各国の経験をもとにして種々の意見交換が行なわれている。
(f) 運輸通信地域協力
第2回閣僚会議でマレイシアから,東南アジア諸国の運輸通信部門拡充のため地域協力を進める目的で,東南アジア運輸通信高級官吏調整委員会(COORDCOM)の開催が提唱され,会議の支持を得た。
この調整委員会(COORDCOM)は,67年9月クアラ・ルンプールで第1回会合を開催して以来,毎年2回の定期会合を開き,各種開発プロジェクトのフィージビリティ調査の実施とりまとめ,東南アジアの総合的運輸調査である「地域運輸調査」(RTS,アジア開銀により 71年9月に完成)の実施等を行なつてきている。COORDCOMは,RTSの諸プロジェクトの実施推進を中心として,今後さらにその活動を継続強化してゆくため,常設事務局(SEATAC)を72年マレイシアに設置し,73年1月から活動を開始した。
COORDCOMは毎回東南アジア開発閣僚会議で,活動状況を報告し,支持を受けている。
(g) 家族・人口計画
第5回閣僚会議におけるマレイシアの提案に基づき,人口問題につき域内閣僚レヴェルで意見交換を行なうため,70年10月クアラ・ルンプールで東南アジア家族・人口計画閣僚会議が開催された。同会議では家族・人口計画に関する意見および情報交換が行なわれるとともに,閣僚レヴェルで随時会合することが合意された。73年5月チェンマイで第2回会議が開催され,地域協力の継続を確認し,常設事務局をクアラ・ルンプールに置くこと,憲章を作成すること等が合意され,これと同時に,第1回会議で合意された政府間調整委員会(日本はオブザーヴァー)の第3回委員会も開催された。また,セミナー,研修旅行等各種の活動も進められてきており,これらに関する報告は東南アジア開発閣僚会議で行なわれている。
(h) 東南アジア工科大学
第5回閣僚会議で,ヴィエトナムから,大学レベルの技術専門家養成のための地域的教育機関の設立が提案され,ヴィエトナムを中心に検討が行なわれてきたが,今後この構想をさらに検討していくため国際委員会が設けられることになつている。
(i) 公衆衛生および殺虫剤規制
第4回閣僚会議で,インドネシアから,公衆衛生の向上と殺虫剤の人体等への被害防止のための地域協力の推進が提案され,これに基づき以後セミナー開催や情報交換が行なわれてきたが73年8月ジャカルタで開催された公衆衛生水準の向上のための企画および実施についてのセミナーで一応の任務を終了したので,第8回閣僚会議で本プロジェクトを消滅させることが合意された。
(j) 東南アジア援助計画
第5回閣僚会議でインドネシアから,東南アジア開発のための外国援助資金の円滑な導入を増加させるための方策を検討する作業部会の設置提案があり,その後インドネシア側で検討が続けられている。
(k) 東南アジア投資前基金
第7回閣僚会議で,ヴィエトナムから東南アジアの地域全体の関心となるべき開発プロジェクトに関する投資前調査を行なうための基金設置提案があり,今後関係国間でさらにこの構想の内容を検討していくことになつている。
(イ) 第8回閣僚会議の開催延期決定
ASPAC第8回閣僚会議は,前年のソウル会議決定を受けて,73年バンコックで開催される予定であつたが,同年6月1日開催のASPAC常任委員会(閣僚会議開催国外相と同国駐在加盟国大使をもつて構成)で「現下の諸情況に鑑み第8回閣僚会議は将来の適当な時期まで延期する」旨決定された。
同時にASPACの下部機構である現存の4共同事業活動((あ)文化社会センター,(い)科学技術サービス登録機関,(う)食糧肥料技術センター,(え)経済協カセンター)については継続を支持する旨合意された。
また,ASPACのその他重要事項につき協議する方法に関しタイ政府が加盟各国政府と協議するよう勧告することを採択した。
(ロ) ASPACに対するマレイシアおよび豪州の態度
(a) マレイシアの脱退
マレイシアは73年3月,ASPACから脱退するとの同国外務省発表を行い,後刻加盟政府あてその旨文書で通報した。
(b) 豪州の態度
72年12月,ウィットラム労働党政権成立以来,豪州は「ASPACは(中国を含んでいないので)真のアジアの情勢を反映していない」として名目的にはASPACのメンバー国として踏み止まつているものの実際の活動からは徐々に手をひきつつある。(注)
アジア開発銀行は,66年12月アジアと極東地域の経済成長を助長し,地域の開発途上国の経済開発を促進することを目的として設立された。73年12月,業務開始後満7年を経過したが,73年中にバングラデシュ,ビルマ,ソロモン群島(英国保護領)の三カ国が加盟し,加盟国は域内26カ国,域外14カ国の40カ国となつた(メンバーについては付表参照)。創立以来総裁をつとめていた渡辺武氏は,72年11月辞任し,後任には前日銀理事の井上四郎氏が加盟国の全会一致で選ばれた。
アジア開銀の業務は順調に推移し,73年末現在,21カ国に対し171件13億4,128万ドル(内特別基金による融資68件3億1,970万ドル)の融資案件,また18カ国および地域調査等に対し約1,830万ドルの技術援助案件を承認している。
アジア開銀に対する旺盛な資金需要に応えるため,71年11月に前資本規模の1.5倍である16億5,000万ドルの増資が決議され,72年11月発効し授権資本は27億5,000万ドルとなつた。わが国は域内先進国として,従来からアジア開銀に対し積極的な協力を行なつており,米国と並び最大の2億ドルの出資を行なつていたが,今回の増資に際し,さらに3億ドルの応募を行ない,開銀活動の拡充に協力している。
73年末現在のアジア開銀の特別基金の資金規模は,多目的特別基金(農業特別基金を含む)3億3,200万ドル(内日本拠出分2億2,600万ドル)である。また,銀行が主として贈与べースにより行なつている技術援助特別基金の規模は,73年末現在1,500万ドルであるが,わが国は同基金に対しても同年末現在850万ドルを拠出し,この分野でも大きな寄与をしている。なお,わが国は,これまで国際機関拠出アンタイイングの唯一の例外であ つた本基金への拠出を73年12月拠出分よりアンタイしている。
特に緩和された条件による融資活動を拡大するために,先進加盟国による資金の計画的拠出の確保を目的として,73年4月のマニラ総会で,既存の多目的特別基金とは別個の新基金「アジア開発基金」の設置が決議され同年11月総務会も承認したので,74年6月30日までに順次各国からの拠出引受通告が行なわれる予定である同基金への各国拠出総額は5億2,500万ドル(内わが国拠出分1億7,700万ドル)である。
70年12月,初めて60億円のアジア開銀円建債の本邦発行が行なわれたのに引き続き,71年11月および72年5月には100億円ずつの円建債の本邦発行がなされた。
(イ) アジア生産性機構は,61年5月,アジア諸国における生産性の向上を目的として設立された国際機関で,わが国をはじめとする14のメンバーからなつており,事務局は東京で,現在関守三郎氏が事務局長を勤めている。
この機構は,訓練コース,シンポジウム等を開催するほか,専門家の派遣,視察団受入等により,中小企業の経営改善,生産技術の向上などにつき,助言,協力を行なつている。
(ロ) アジア生産性機構は,設立10周年にあたる70年幸「アジア生産性年」としてアジア地域における生産性運動を強力に展開し,生産性意識の高揚につとめた。さらに71年からは,分担金を25%引上げ,財源の強化を図るとともに,引続き積極的に事業を推進している。わが国は,同機構に対して73年,29万9,000ドルの分担金および90,000千円の特別拠出金を拠出し,またわが国で実施される同機構の事業費の一部等として54万5,000ドルを支出した。
国際稲研究所は,急激な人口増加をたどるアジア地域において米の生産増大を目的とし,60年にフィリピンに設立され,62年から正式に活動を開始した。同研究所では,稲の品種改良全般に一ついて広範な研究計画を実施しており,60年代後半の「緑の革命(グリーン・レボリューション)」を捲起こしたIR8を始め,現在までに,IR20,IR22,IR24,IR26など一連の高収量品種の育種に成功している。また,世界の稲に関する技術文献の蒐集,保存,研究成果の出版,関係各国,諸機関等との共同研究の実施,アドヴァイザーの派遣,研究員の受け入れなどを行なつている。
現在,農業研究に関しては,先進諸国,開発途上諸国,国連諸機関その他から成る国際農業研究協議グループが結成されているが,国際稲研究所は,その協議グループ傘下にある研究所として農業研究分野における国際協力体制の重要な一環を担つている。
わが国の国際稲研究所に対する援助は,70年度から開始され,同年度には,305万2,600円,71年度には,2,045万2,000円,72年度には1,752万円を拠出し,73年度は,従来の協力部門に加え,新たに同研究所の植物生理学部門の運営経費5,192万円を加え前年度の4倍に当る総額7,046万4,000円を拠出した。74年度には,引続き植物生理学部門に拠出し,これを含め8,116万円の拠出が認められた。
(イ) 第6回ASEAN閣僚会議
(a) 会議の拝要
ASEAN 第6回閣僚会議は,73年4月16日から18日の3日間,タイのパタヤで開催され,インドネシア,マレイシア,フィリピン,シンガポール,タイの加盟5カ国の代表が参加したほか,カンボディアおよびラオスの代表がタイ政府の賓客として公開の会合に出席した。
タノム・タイ首相が,会議の開会演説で,「ASEANは団結と協力の精神による共同の努力で発展し,実力をつけて来たが,域内国民の生活を真に改善しうるような具体的成果を達成するまで引き続き努力を続けなければならない」と強調した。チャートチャイ・タイ外務副大臣を議長に選出し,それに続いて各国代表が一般演説を行なつた。その後会議は秘密会に入り,4月18日,共同コミュニケとブレス・ステートメントを採択して閉幕した。
(b) 会議の成果
(i) 中央事務局の創設
従来ASEANの最大の弱点として指摘されていたのは中央事務局の欠除であつた。
第5回閣僚会議では「中央事務局創設の必要性」がうたわれたが,今回の共同コミュニケでは,中央事務局創設のための特別委員会の任命,
同委員会を自動において開催する用意がある旨の比政府の招請,
他に同種の提案がない場合には,同事務局を自国に創設する用意がある旨のインドネシア政府の申入れの3点を明らかにしている。この結果近い将来中央事務局が創設されることになれば,ASEANの諸活動がより一統一的,円滑に実施されることとなり,東南アジア地域におけるユニークな地域協力機構としてのASEANの重要性がさらに高まることとなろう。
(ii) 安全保障の定義
これまでASEANは東南アジア中立化宣言の採択,全東南アジア諸国会議の開催提唱など,地域の平和と安定を自主的に確保して行くための努力を行つてきたが今回のプレス・ステートメントでは東南アジアの安全保障が「地域の政治的・経済的安定,真の平和と社会的平穏」と定義された。(軍事面にはふれていない)。
この定義の趣旨は,各国が自ら自主自立の政治,経済,社会的な基盤を固めて,外部からの影響に対する低抗力(レジリアンス)を強化するとともに,域内紛争防止に努力し,域外勢力の介入を防ぐという点にあり,ASEAN が今後の諸活動を通じて追求する基本的な方向を示すものとして注目される。
(ロ) わが国とASEANとの間の合成ゴム問題
(a) 第6回ASEAN閣僚会議共同声明でわが国の合成ゴム産業の生産,輸出の急増が天然ゴム生産国たるASEAN諸国の経済を危うくするとの懸念の表明が行なわれた。
合成ゴム問題に関しては,73年11月27日,ASEAN側首席代表マリク・インドネシア外相と大平大臣との間で会合が開かれ,双方は,問題に関するASEANと日本との間の対話を政府関係者および専門家レベルで引き続き行なう場を設けることに合意した。
上記の合意に基づき,74年2月19日から21日までクワラ・ルンプールで第1回事務レベル会合,次いで同年3月18日から20日まで第2回事務レベル会合が東京でそれぞれ開催された。
第2回事務レベル会合では第1回と第2回事務レベルの討議の結果として,大平大臣およびASEAN常任委員会議長としてのマリク・インドネシアの両大臣に対する報告書を採択したほか,プレスレリースを採択した。
第2回会合の結果は双方にとつて満足すべきものであり,この結果,わが国とASEAN間の合成ゴム問題は円満裡に一段落した。
(b) 第2回会合での両大臣に対する報告書およびプレスレリースで合意された主な内容は次の通りである。
(i) 合成ゴム問題(これに関連する天然ゴム問題を含む)に関する「日本,ASEANフォーラム」はわが国とASEAN間の良き隣人関係を促進強化し,ASEAN諸国が経済的安定および繁栄を享受しうる諸条件を進展させることにつき共通の願望を表明した。
(ii) わが国は,上記の精神に基づいて,合成ゴムなかんずく合成ポリイソブレンゴム(合成ゴムの中では特にその性質が天然ゴムに類似しているといわれる)についてASEANがもつている懸念を考慮し,これを軽減する希望を表明し,また,わが国による合成ポリイソプレンゴムの生産の進展および拡大が天然ゴム市場に対しいかなる不利益をも与えないよう配慮する用意のあることを表明した。
(iii) ASEAN諸国は,ASEANの天然ゴムの新用途を増大するために,わが国がASEAN諸国に対して技術協力を行なう用意があることを歓迎した。
(iv) わが国によるASEAN諸国の天然ゴムの使用増大が同諸国の経済発展と日本とASEAN間の善隣関係にさらに貢献することを共に確信する。
(v) 相互理解と友好関係の増進の見地から,「フォーラム」による対話を継続し,政府関係者および専門家レベル会合を必要に応じて年一回程度開催する。