―国連における経済関係―

 

第4節 国連における経済関係

 

1.国連総会(第二委員会)

 

 第28回国連総会における経済関係議題は9月下旬から約3カ月間開催された同総会第二委員会で審議され,その結果に基づき国連大学設立問題,人間環境問題,開発事業活動,国連工業開発機関,国連調査研修所等(それぞれの問題については該当箇所参照)に関するほか,下記の主要問題について決議が採択された。

(1) 第2次国連開発の10年(UNDDII)のための国際開発戦略実施状況レヴュー

1973年は第2次国連開発の10年のための国際開発戦略実施状況の第1回目のレヴューの年にあたり,総会は経済社会理事会を中心とするこのレヴュー作業を基礎に,極めて困難な審議を経て,12月17日,第1回レヴューの合意文書をコンセンサスにて採択した(注)

本文書採択に際して,多くの国(ないしはグループ)が留保あるいは意見表明を行つた。わが国は,開発戦略に対する積極的姿勢を強調した後,合意文書が貿易交渉委員会の今後の作業を損なわないと了解する旨述べたほか,特恵,天然資源に対する主権,価格政策,エスケープクローズ,通貨改革等に関して意見表明を行つた。

(2) 天然資源探査のための国連回転基金の設立

わが国は当初から本件基金の設立の主な推進国として,その検討に積極的に参加してきた(注)

経済社会理事会の勧告にもとづき,第28回国連総会は73年12月17日,国連天然資源探査のための回転基金の設立を決定した。さらに,(i)基金活動の手続きと行政的取決めを事務総長がUNDP,世銀の事務局と協議の上作成し74年6月のUNDP管理理事会に提出する,(ii)74年中に基金事業活動を開始するなどを決議した。わが国は,本問題の審議にあたり,基金設立のあかつきには日本政府は74年度予算案に本件基金への適当拠出額を計上する意向である旨を表明し,あわせて,ケニア,フィリピン,マレイシア・インドネシア・ボリヴィァ,ジョルダン,ザイールなど13カ国と共同して決議案を提出した。基金の規模は事務局研究によれば年聞2千万ドル,15年間で2億5千万ドルが必要とされているが,わが国は74年1月,国連事務総長に対し,74年度は,国会の承認を条件に,基金初年度必要経費として150万ドルを拠出,75年度以降は,他の国が拠出することを希望して,基金の全体規模を考慮しつつできるだけの拠出を行なうよう努力する用意のあることを通知した。

(3) 経済特別総会の開催

ユーゴ,モロッコ,アルジェリアなど非同盟諸国をはじめ西側先進国を含む87カ国の共同提案により,「開発および国際経済協力のための国連特別総会」を第30回総会前(75年9月)にハイ・ポリティカルレベルで開催することが決定された。同会議の開催によつて非同盟諸国のめざしているのは,正義と平等に基礎をおいた新国際経済秩序作りであつたが,最終的には,世界経済の政治的ないしその他の側面のインプリケーションを検討することにより,開発問題への世界の関心を高めるとのラインで妥協が成立したものである。

なお,エネルギー危機による開発問題への国際的関心のたかまりを契機として「原料および開発の諸問題の検討」のため第6回国連特別総会が74年4月9日から開催される運びとなつた(注)。わが国は,2月13日,事務総長に対し,同総会開催に関するアルジェリア提案を支持する旨回答し,49番目の支持回答国となつた。

(4) 天然資源の恒久主権

12月17日,領海外の海底の上部水域の資源にも垣久主権が及ぶこと,国有化に伴う補償額・支払方法の決定,起りうるいかなる紛争の裁定も,国有化を行つた当該国の法律に従つて解決されるべきであること,および,天然資源を保護する効果的な方法の一つは,開発途上国が価格政策,生産調整などで歩調をあわせることであることなどを内容とする決議が採択された。また,同日,外国占領下にあるアラブの国家および国民はそのすべての天然資源に対して恒久主権をもつこと,占領下の人的資源と天然資源を搾取しているイスラエルの全ての措置は不当であることを確認する「アラブ被占領地における天然資源に対する垣久主権」の決議が採択された。わが国は第1の決議には棄権し,第2の決議には,わが国の中東問題に対する基本的立場からアラブ側の主張を十分理解しうるので賛成投票した。

(5) 国連貿易開発理事会報告

本議題のもとでは,多角的貿易交渉および国際通貨制度の改革において開発途上国の利益増進がはかられるべきこと等を内容とする決議が採択されたほか,一次産品価格の指標化に関する研究を行なうことをUNCTAD事務局長に要請するとの趣旨の決議が賛成89,反対5,棄権26(わが国)で採択された。

わが国は多角的貿易交渉および通貨改革に関する決議については,そのコンセンサス採択のために積極的に貢献したが,価格の指標化に関する決議については,実体が明確でないこと,この種の研究は技術的に極めて困難であること,十分審議を尽さず直ちに採択するやり方は支持できないこと等の理由により棄権した。

なお,今総会で,第3代目のUNCTAD事務局長としてコレア・スリランカ駐EEC大使を本年4月1日から3カ年の任期で任命することが異議なく確認された。

 

2.経済社会理事会

 

 わが国は71年秋の第26回国連総会における選挙で74年末まで3年の任期で経済社会理事会理事国に選出され,第54回会期(73年4月-5月),第55回会期(同年7月-8月)の審議に参加した。

 上記会期では,天然資源の開発,地域経済委員会報告,後発開発途上国特別措置,科学技術委員会報告,経済社会理事会機構の合理化などの諸問題が審議された。

 なかでも,天然資源の分野では,回転基金の設立の決定,国連水会議の開祖(1977年)の決定,水,鉱物,エネルギー資源の中長期のグローバルな需給予測作業の実施などが決議された。とくに,需給予測はローマ・クラブによる資源枯渇論に国連が反論を試みるものとしてその研究成果が注目される。

 経杜理機構の合理化問題は,第57回会期(74年7月)で,国連と専門機関の間の基本的関係をレヴューすることになつた。

 地域協力については,第55回会期で,従来いずれの地域経済委員会にも属していないアラビア半島を中心とするアラブ12カ国からなる「西アジア地域経済委員会」を設立する旨の提案がレバノンなどからなされた。同委員会のメンバーシップがイスラエルを事実上除外することに米国が難色を示し,これにオランダ,デンマークなどが同調したが,結局多数の支持により,74年1月1日から同委員会を発足させることが決議された。わが国は基本的に,国連の全加盟国がいずれかの地域の経済委員会に属することが望ましいが,イスラエルの参加が少なくとも排除されない形の付託条項とすべきであるとの観点を考慮し,決議には棄権した。また,第54回会期ではバングラデシュのエカフェ加盟,第55回会期ではカナダのヨーロッパ地域経済委員会への加盟および,ギルバート・エリス諸島,太平洋諸島信託地域のエカフェヘの準加盟が認められた。

 

3.国連アジア極東経済委員会(ECAFE)

 

 73年4月には,国連アジア極東経済委員会(以下エカフェと略称)の第29回総会が東京にて開催され,わが国から大平外務大臣を首席代表とする67名の代表団が参加し,さらに招請国として会議の運営に全面的に協力した。

 73年以降におけるエカフェ活動のうち特に注目されたのは,第1に,エカフェの機構改革の動き,第2に,農業開発重視の動き,第3に,ウ・ニュン事務局長の退任とマラミス新事務局長の就任,第4に,中国,バングラデシュ等の参加,第5に,今般のエネルギー危機に対処するための政府間会議の開催であつた。

 このような種々の要素をはらんで,エカフェは現在一つの転機を迎えている。

 エカフェの機構改革問題は,エカフェが従来総合的な開発戦略に欠け,また,各活動のプライオリティについての十分な配慮もないままに活動の範囲 を拡大しすぎた結果,一面で,会議構成が複雑化,重複化し,他面,農業開発といつたアジア諸国にとつて真にその解決が必要とされる問題について,これに対応する機構が存在しないという点にあつた。さらに,これまでの活 動が事務局主導型に陥り,加盟国の意向が十分反映されていないことも,問題点の一つであつた。

 第29回総会で,フィリピン等のASEAN諸国が中心となつてエカフエ機構改革決議を提案,その結果「エカフェ会議構成の合理化に関する決議」が採択された(わが国は,共同提案国となつた)。

 この決議に基づき,加盟国のエカフェ常駐代表会議が2回開催され,わが国が強く主張した農業開発委員会を含む9常設委員会および常駐代表諮問委員会の設立,小委員会等の原則的アド・ホック化等を内容とする勧告が作成され,第30回総会でこれが検討される運びとなつている。

 農業開発の推進についは,わが国は,これまでエカフェ活動の重点が工業化に編し,農業分野の活動に十分な考慮が払われていなかつた結果,最近のアジアの食糧危機にも十分対処し得ていない許りでなく,工業化への基礎固めも十分でないとの認識に立つて,第29回総会でアジア開発途上諸国における農業開発の必要性を強調した。さらに,従来エカフェに欠けていた農業開発のための政府間協議の場をもつよう提唱した。その結果,同総会で「農業部門における活動に関する決議」が採択され,現在,この決議により常設農業開発委員会の設置問題がエカフェ機構改革の一環として検討されている。

 73年後半以降の世界的なエネルギー危機に関連して,2月バンコックでエカフェ・エネルギー危機政府間会議が開催された。わが国は,現在のエネルギー危機が先進国,開発途上国を問わず,大きな影響を及ぼしており,特に,アジア開発途上諸国が深刻な影響を受けていること,わが国の経済がこれら諸国の健全な発展に大きく依存しており,また,エカフェを通ずるアジア諸国に対する経済技術協力を推進するという従来のわが国の政策を踏えて,エネルギー危機のための国際協力の推進につとめるとの基本的方針をもつて臨んだ。

 この会議には多数の国が参加した。この種会議としては最初のものであり,開発途上国ないし産油国の一方的な主張のみが前面に押出される事態も懸念されたが,現実には,建設的な雰囲気の下に,すべての参加国によつて事態の緊急性と汎世界性についての共通の認識と問題解決への国際協力の必要性が確認され,一応の成果を収めることができた。

 その他,わが国は,前述の域内農業開発推進の見地から,近くその設立が予定されているアジア農業機械センターおよび75年3月からの実施が予定されているアジア統計研修所第2期計画に対し,応分額の資金拠出等を予定している。また,アジアの開発途上国にとつて有意義と思われるプロジェクトに対しては積極的に援助,協力してゆくこととしている。

 

4.国連貿易開発会議(UNCTAD)

 

(1) 一次産品政府間協議

第3回UNCTADの一次産品に関する決議に基づき,73年2/3月開催された第7回一次産品委で,本件協議の付託事項および協議の場に関し,合意が成立した。同委で合意されなかつた協議対象品目については,UNCTAD事務局長が,アジア,アフリカ,南米の各地域グループから提出された品目リストの中から関係国との合意により選定すべきことで結着をみた。

この結果,UNCTAD事務局長は,関係政府およびFAOならびにICAC事務局長と非公式に協議の上,15品目の選定および同品目のタイムテーブルを決定した。このタイムテーブルに従い,上記品目に関する市場アクセス並びに貿易の自由化および価格政策につき協議するため上記品目のうち,73年10月タングステンを始めとして,74年に入つて米,かんきつ,ジュート,および油糧種子,油脂に関する各政府間協議が行なわれた。

(2) 製 品 関 係

73年8月第6回製品委が開催された。この会合で開発途上国から提出された6つの決議案のうち,非関税障壁の機構に関する決議(本問題審議のため第6回製品委の再開および第7回製品委に会期内委を設置する)が成立し,また制限的商慣行に関する決議(本問題に関する専門家グループを74年早期に再開する)が議長サマリーの形で合意された。

他の4つの決議案(調整措置に関する決議,開発途上国の輸出奨励に関する決議,セーフガードおよびスタンドスティルに関する決議,LTAを含む繊維貿易に関する決議)については,74年中に開かれる今次製品委再開会期まで審議が延期された。

(3) 特 恵

先進諸国が,特恵スキームを実施に移した後の初会合として73年4月第5回特恵特別委が開催された。この会合で米国が,特恵スキーム法案の発表を行つたことは多くの関心をよんだ。決議案の審議において特恵スキームの改善,一般特恵制度内におけるLLDC特別措置,原産地規則に関するWGの復活等の審議が行なわれ,原産地規則に関するWGの復活が決定された。

(4) 砂 糖 協 定

73年5月及び9月~10月の2回にわたつて国際砂糖会議が開催され,10月13日に有効期間2年の「1973年の国際砂糖協定」が採択された。新砂糖協定は,現行協定に規定されている指標となる価格,供給を調査するクオォーター・メカニズム等のいわゆる経済条項を削除し,国際砂糖機関の存続その他の行政事項を規定した協定となつた。

(5) 援 助 関 係

73年7月に第6回貿易外融資委員会が開催された。開発資金の量的目標に関し開発途上国側は民間資金の流れや利子支払等を除外すべきことを主張したが,本件経過については政府専門家グループ会合(第1回は73年6 月開催)を再度開催し審議することになつた。また債務累積問題に関しても政府間専門家グループの開催が決定され,同グループは74年5月開催される予定である。

(6) 定期船同盟コード

定期船同盟の活動を規制するためのコードを作成することを定めた第27回国連総会の決議に基づき,73年1月と6月の2回にわたつて準備委員会が開催された。この準備会議を終えても,ごく一部の事項を除いて各グループとも譲らず,結局対案併記あるいはカッコ付きのままのコード草案を作成し,これが全権会議に付託されることになつた。

全権会議は同年11月から12月にかけて約5週間開催されたが,同盟への加入,トレードシェア,政府の役割,運賃に関する問題,紛争解決条項,盟外船の規制等の重要問題につき各国の合意が得られず,結局74年3月から4月にかけて再開会期を開催して引き続き検討した結果,賛成72(わが国),反対7,棄権5で条約として採択した。

(7) 技術移転

技術移転分野では,1973年1月に第2回政府間グループ会合で開催され,開発途上諸国が技術移転のための国際的なcode of conductを作成すべしとの主張を前面に押し出してきたこの会合は,その採択された決議において,第13回貿易開発理事会で,このcode of conductの問題を議題として取り上げるようUNCTAD事務局長に要請することを決定した。同年8月に開催された第13回貿易開発理事会でcode of conductの問題については,そのfeasibi1ityを研究するとの決議を採択した。

(8) 経済権利義務憲章

メキシコの提唱になる本憲章を起算するための作業グループが3回にわたり開催され,わが国もメンバー(40カ国)として参加している。

第1回会合(73年2月)では憲章の一応アウトラインが決定されたが憲章の法的性格に関して先進国と開発途上国が鋭く対立した。第2回会合 (73年7月)では,憲章の法的性格については棚上げにし,各項目につき各国の対案を併記した報告書をまとめたにとどまつた。第3回会合(74年2月)では,項目ごとの対案の数を絞るため各国が努力したが,一本化された項目は極めて少なかつた。しかし,具体的案文についての各国の態度がより明確になり,さらに各項目のおよその合意の範囲について漠然たるコンセンサスが生れ始めてきた。第4回の最終会合は74年6月,メキシコで開催されることとなつている。

(9) 調 整 問 題

IMF・GATT・UNCTADの3機関の活動をめぐる調整策を検討するとの本問題に関しては,第12回貿易開発理事会(TDB)再開会期(73年5月)で,討議のためのTDB特別会期を開催することが決定された。

なお第13回TDB(73年8/9月)で,本問題の一環としてUNCTADの新国際ラウンドヘの参加が討議され,UNCTAD事務局長に対し,GATT事務局長と本件に関する話し合いを進めることを要請するととが決定した。73年9月東京で開催されたGATT閣僚会議で,交渉委員会は時宜によりその会合にUNCTAD事務局長を招くことを決定し得るとのラインで合意した。

 

5.国連開発計画(UNDP)

 

 開発途上国に対する投資前調査と技術援助を中心に援助活動を行つているUNDPは,年々その援助額を増大しているが,わが国の拠出額は74年には,1,600万ドルに拡大され,(73年1,150万ドル)米・スウェーデン・デンマーク,蘭,西独,英,加に次ぎ拠出国としては第8位を占めることになつた。

 次に特記すべきことは,73年7月の第16回管理理事会で重点的に討議された77年から81年までの5年間(第2開発サイクルと呼ばれる)の各国への援助資金の配分を算定する基準(IPF,事業計画指標)について74年1月の第17回管理理事会で各国に合意が成立したことである。

 一方,1972年から採用している国別計画を中心とする援助計画方式に従い,第16回管理理事会では24カ国,第17回管理理事会では22カ国(地域)についての国別計画がそれぞれ承認された。

 今後の課題としては,新たに合意された基準で援助受益国117カ国に対して試算すると資金の配分算出額が資金の配分予定額を1.5億ドルほど上回る,つまり資金が不足する見通しとなるので,この不足分をどうするかということが残されている。

 

6.国連工業開発機関(UNIDO)

 

 UNIDOの事業計画,活動方針の決定は,45カ国で構成される工業開発理事会(IDB)が行なつており,わが国は74年末までIDBのメンバー国である。

 UNIDOの活動は,技術援助のほか,専門分野のセミナー,研究会の開催, 企業内集団研修,工業投資促進サービスの実施,工業情報の収集,配布等広範囲にわたつている。

 わが国は,UNIDOに協力して73年10月19日から10週間にわたりアジア地域諸国からの研修生12名に対し,機械工業における生産管理に関する企業内集団研修を,また,1974年1月28日から8週間にわたりアジア地域諸国からの研修生10名に対し,輸出工業振興に関する企業内集団研修を実施した。

 

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(注) 73年は第2次国連開発の10年のための国際開発戦略実施状況の第1回目のレヴューの年にあたり,各国における国家的レベルでのレヴュー,各地域経済委員会およびUNCTAD,専門機関等における地域別ないし分野別レベルでの作業がそれぞれ行われた。この結果を踏まえた世界的なレベルにおける全般的レヴューは5月に開催された第2回経済社会理事会レヴュー委員会,ついで7月に開催された経済社会理事会を経て秋の第28回国連総会で行われた。

本総会は,12月17日,第1回レヴューの合意文書案を採択した。

本合意文書の構成は次のようになつている,

1.序論

2.一般的評価

A.諸目標の達成状況

B.開発途上国による努力

C.先進国による実績

D.総括

3.将来の行動

A.開発途上国による措置

B.先進国による措置

C.国際社会による措置     戻る

 

(注) 71年2月の第1回天然資源委員会で,事務総長によりこの基金の設立提案がなされて以来,わが国は資源開発分野における長期的な国際協力の一環として積極的にその基金の設立を推進してきた。72年6月第52回経済社会理事会で基金の設立が原則的に承認された後,第3回天然資源委員会(73年2月ニューデリー)などで,わが国がケニア,フィリピンなどとともに,専門的研究に基づいた具体的基金スキームの作成を主張した。その結果第54回経済社会理事会で次のスキームの基金の設立を総会に勧告する決議が採択された。

(イ)基金は国連事務総長の下に信託基金として設立され,UNDP事務局長により運営される。

(ロ)基金の目的は開発途上国における鉱物,エネルギー,水などの天然資源分野の国連の開発・探査活動を拡大し強化することにある。

(ハ)基金の管理にはUNDP管理理事会があたる。

(ニ)基金の枠組は,(i)UNDP資金に追加的な形で開発途上国の資源探査を融資する,(ii)基 金の資金源は当初は先進国,世銀などの諸機関からの拠出による,(iii)その後基金のメカニズムがフルに回転するようになれば,本基金より援助をうけ探査が 成功した国からの支払が基金規模を一定に保つ-などの点からなつている。とくに援助受入国からの支払いは基金によるプロジェクトから生じる資源生産額の一定率を基準として決定することとなつた。    戻る

 

(注) 74年1月30日,アルジェリアのブーメディエン大統領は国連事務総長に対しすべての国の平等と共同利益にもとづく国際経済関係の新制度の確立を目的として,開発と国際協力関係のすべてのインプリケーションを討議するため,「原料および開発の諸問題の検討」を議題とする国連特別総会の開催を提案した。この提案は2月14日,特別総会の開催に一必要な加盟国の過半数(68カ国)の支持を得たが,開催日はその後77カ国グループの要請により74年4月9日と決定された。 戻る