(1972年9月1日 ハワイにおいて)
1 日米両国は,箱根における会議に際し,相互の国際収支目標について意見の交換を行なった。この関連で,両国政府は,双方の貿易収支不均衡の改善に資する長期及び短期の幾つかの措置についても討議を行なった。
2 箱根における会議以降,両国政府は,緊密に協力して箱根での会議の際に討議された具体的な短期措置の幾つかについてその数量化を試みる作業を行なってきた。ニクソン大統領は,田中総理との会談の機会に,鶴見外務審議官とインガソール大使との間の一連の会談において討議された,10億ドルを越える米国製品及び役務の購入を含む次のような作業の結果を歓迎した。
(a) 日本の農・林・水産物の対米購入は,昭和48年3月31日終了の47会計年度において約3億9,OOO万ドル増加すると見込まれている。これに加えて,約5,000万ドルの特別穀物購入が,妥当な価格を前提として見込まれている。これらの購入の結果は,対前年度比総額4億4,O00万ドルの購入増となる。47会計年度における日本の農・林・水産物の対米購入は以上によって,総額22億1,800万ドルに達し,これは米国の1国に対するこのような輸出として最高の額である。
(b) 日本の民間航空会社は,米国から約3億2,000万ドル相当の大型機を含む民間航空機の購入を計画中である。これらの発注は,47及び48会計年度になされることとなろう。日本政府は,購入契約が締結され次第,これら航空機の購入を容易ならしめる意向である。
さらに,日本政府は,予算措置を前提として,米国から2,000万ドル相当のヘリコプター及び航空関連施設を購入する予定である。
(c) 日本の電力会社は,米国からウラン濃縮役務3億2,O00万ドルを購入する予定であり,日本政府はこの支払いを容易ならしめる意向である。
(d) 最後に,日米両国政府は,総額約10億ドルの投資を伴う,平和利用を目的としたガス拡散式によるウラン濃縮施設を米国に建設するための合弁事業実現の可能性の検討を始めるため,日米共同の作業グループの早期設置を促進すべく最善の努力を行なうことに意見の一致を見た。
3 大統領は,また,日本政府が行なった最近の決定によって,小売,加工,包装の分野での投資機会の改善を通じて,日本の流通機構に対する参加がより自由となり,また,米国製電算機製品の日本における販売の拡大が認められることになったことに留意しこれを多とした。