-外交体制の整備充実- |
外務省における職員研修の制度は,職員が在外公館に勤務して外交事務に従事するため必要な外交上の基本的心得および在外公館の事務に必要な知識を習得させ,かつ,わが国内事情,日本文化などについての一般的知識を深めさせることを目的として研修を行なっている。
1972年度に行なった主な研修は次のとおりである。
(イ) 外務公務員採用上級試験合格職員に対しては,入省後人事院・総理府主催の国家公務員合同初任研修に参加せしめた後研修所における3ヵ月間の国内研修に参加せしめ,次いで,本省各局課において1年間の実務経験を終了せしめたのち,海外における2~3年間の研修に派遣した。
(ロ) 外務公務員採用中級試験合格職員については,入省後研修所における3ヵ月間の研修に参加せしめ,次いで,本省各課における1年間の実務経験を経たのち海外における1年間の語学研修に派遣した。
なお,外務省語学研修員試験合格職員についても前記中級職員と同様の国内研修および実務経験を終了せしめた後海外における2~3年間の語学研修を受けさせるため,それぞれの研修語の国に派遣した。
(ハ) 外務省に出向のうえ在外公館に配置予定の他省庁職員52名に対し研修所において期間5ヵ月の赴任前研修を実施した。
(ニ) 在外公館に勤務する職員の夫人が直接,間接に果す役割の重要性にかんがみ,在外勤務予定者の夫人に対しその在勤中の夫人の役割を十分認識せしめることを主眼とした「夫人研修」および「夫人語学研修」を実施することとしているが,1972年度においては,前者については48名がまた後者については18名が研修を終了した。現在まで夫人研修終了者は388名,夫人語学研修終了者は77名に達している。
(ホ) 最近とくに在外公館における「経済および経済協力」に関する事務の重要性がとみに増加したことにかんがみ,職員約30名に対し,中間研修の一環として研修所においてこれらの事務の実務研修を実施した。
(ヘ) なお,以上のほか各省庁主催の研修または国際貿易研修センターにおける研修やEROPA外交官研修等外国諸団体主催の研修にも少数であるが職員を派遣している。
外交関係の事務が適正に実施されているかどうかは,内閣,国会,会計検査院などによって常時管理が行なわれているが,外務省においても大臣官房を中心として自ら外交関係事務の管理を十分行なうとともにとくに在外公館については,随時外交問題に造詣の深い有識者を査察使として派遣し,在外公館の管理運営のみならず,事務処理状況の全般にわたり査察を実施している。
1972年度においてはアジア地域に内田元駐独大使を,中米地域に高橋前駐スペイン大使をそれぞれ査察使として派遣し,これら地域の在外公館の査察を実施した。